今日は朝から雨だ。
散歩にも行けない。
拙者は憂鬱である。
憂鬱な気分でシトシト雨を眺めていると、ご主人様のうれしそうな声が聞こえた。
「おーいクロちゃん、コロラドの殿(との)からメールが入ったぞ」
殿からのメールと聞いて、拙者は思わず居住まいを正した。
それはネパールレンジャー部隊の最新情報らしい。
殿の指導で合気道訓練を受けているレンジャー部隊数百人の隊員が、首都カトマンズの市内を流れる河の清掃を行うため、訓練基地からその河まで10kmの道程を歩いて行ったという。
殿はAHANというボランティア団体の責任者でもあり、世界各地で様々な社会奉仕活動を行っているのだが、ネパールにおいては世界でも評判の精鋭グルカ兵軍団レンジャー部隊にドブさらいを行うよう指導したという。
行き交う市民達は彼らの活動にビックリし、何事が起きたかといぶかしがった。
殿は精鋭集団の彼らに、武士道の精神を教えたかったらしい。日本の自衛隊の例をひき、武器を持って戦うだけが軍人ではない。国を守るため、家族を護るため、そして平和を維持するために、時には誰もやりたがらない地道な活動を、忍耐強く行うことも必要なのだということを・・・・・・。
その活動は、ネパールにおいては前代未聞の出来事であった。
しかし、その前代未聞の出来事が、殿の周りでは起こるのだ。
さて、次はどんなニュースが届くやら・・・・・・・。
参考情報:
週刊文春(5月22日号)に、ルポライターの藤野眞功氏が書いた「ネパール・グルカ兵の肖像ー世界最強の戦闘集団に密着取材」という記事が掲載されている。