2015.3.15 19:40更新 MSN産経ニュース
メルケル首相の“慰安婦”発言、独報道官が否定 日中韓の歴史問題に巻き込まれるのを懸念
【ベルリン=宮下日出男】メルケル首相の訪日時の歴史問題に関する発言を受け、ドイツ政府は中韓を含む日本の内外の議論に利用されないよう、神経をとがらせている。発言について、日本に歴史問題への対応を促したと受け取る向きもあるが、独側は自国の経験を紹介したという認識で、歴史問題への対処の仕方は各国で異なるとの立場を貫いている。
メルケル氏が岡田克也・民主党代表との会談で、慰安婦問題の解決を促したとされることについて、ザイベルト独政府報道官は13日の記者会見で、「独政府は否定した。私自身が(否定)した」と言明した。
メルケル氏は9、10両日の訪日中、岡田氏との会談のほか、講演や安倍晋三首相との記者会見で「過去の総括が和解の前提の一部だった」とドイツの取り組みを紹介し、フランスなどの「寛容さ」も重要な要因だったと説明。中韓、欧州のメディアは、メルケル氏が安倍首相に「反省」などを促したと報じた。
ただ、メルケル氏は会見で記者の質問に対し、「助言のために日本に来たのではない。ドイツがしたことを伝える以外にできない」と断っており、ドイツの事例の紹介を踏み越えて言及はしなかった。
独メディアはメルケル氏の訪日前、朝日新聞の慰安婦報道の一部記事取り消しなどを踏まえ、歴史問題で「隅に追いやられた(安倍政権に対する)反対派」(南ドイツ新聞)がメルケル氏の言動に期待しているなどと報じていた。
シンクタンク、コンラート・アデナウアー財団の元日本代表のマルクス・ティーテン氏は、独仏などの関係改善には冷戦で西欧がまとまる必要に迫られた事情もあったと指摘。南京事件や慰安婦問題も「国家が政策として民族を抹殺する」ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)と違い、日独の比較は「意味がない」とする。
日中韓それぞれと関係を維持するドイツは、歴史問題の対立には巻き込まれることを避けてきた。約1年前、中国の習近平国家主席の訪独時には、ホロコースト記念施設への訪問の要望を断ったと伝えられた。
今回の首相訪日に関する独政府のホームページでは、歴史問題の部分で「どの国も独自の方法を見つける必要がある」というメルケル氏の発言を見出しに掲げた。日本が中韓との関係を改善することを望むが、ドイツの場合とやり方は異なるとの認識も示した。
メルケル首相発言、韓国で波紋 日本を牽制の一方、「『寛容』を韓国が示さねばならない日が来る」
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ドイツはギリシャから損害賠償請求を受けていますね。それをちゃんと補償して発言してください。
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150213-00000018-rcdc-cn
2015/02/13 - ギリシャがドイツにナチス占領時の損害賠償請求、ドイツは拒否「賠償請求の考えをどこから得たのかは明らか」「アレキサンダー大王は…」―欧米ネット. Record China 2月13日(金)8時18分配信 ...
慰安婦問題 ドイツで偏向報道ー2015.3.20 読売新聞
ドイツのメルケル首相が今月、来日した際、日本と近隣諸国との歴史認識問題に関し、日本に解決を促したがどうかが議論となった。日独両政府とも歴史問題の扱いには慎重だが、双方の考え方の違いが広がっている面もあり、一層の意思疎通の努力が必要だ。
日本政府は、メルケル氏が今回、歴史問題でどのような発言をするか注目していた。というのも、独メディアはこの問題に関し、極めて偏った報道を続けてきたからだ。
いわゆる従軍慰安婦問題について、主要紙「南ドイツ新聞」は、「朝鮮人女性など20万~30万人の奴隷化」と従軍慰安婦を表現し。「安倍(首相)は(朝日新聞による従軍慰安婦問題に関する誤報をきっかけに)性奴隷の歴史全体を取り除こうと望んでいる」と書いた。
主要紙「フランクフルター・アルゲマイネ」は、安倍首相が今夏発表する予定の戦後70年談話について,
「安倍首相)が日本の負の歴史を否定する)歴史修正主義を進めるため、利用しようとしているのは公然の秘密。安倍は日本が戦争の残虐行為がなかったことにしようとしている」と決めつけた。こうした報道は、ドイツの知識層にも影響を与えているとみられる。昨年9月
記者(三好)がベルリンで話を聞いた、ドイツを代表する歴史家アウグストーウィンクラー氏は「基本的人権を1945年の敗戦による(米国により押しつけられた)産物とみなす動きが、自民党の周辺にはある」と語り、憲法改正は西欧の啓蒙思想を否定しようとしているとの見方を示した。
こうした現状に関して日本外務省の幹部は「米国はもちろん、英、仏に比べても、独言論界の日本に対する知識は明らかに欠けているところがある」と見る。
ただ、日本でのメルケル氏の発言は、抑制されていた。都内での講演では、歴史問題についてワイツゼッカー元独大統領の発言を引用しながら、戦後ドイツの経験を語るにとどめた。
この講演や安倍氏との共同記者会見では、過去と根本的に取り組む必要性に触れたが、いずれも質問に答える形だった。フランスを始め国際社会がドイツとの和解を受け入れたことが幸運だった、とも指摘した。
メルケル氏に同行していたサイバード政府報道官は記者に対し、「各国は自分の道を見つけねばならない。ドイツは欧州の状況の中で過去数十年我々の道を選んできた。
聞かれれ心我々の経験を話すが、何を参考にするかしないかは日本次第だ」と語った。
しかし、南ドイツ新聞(電子版)は相変わらず「ドイ
ツと違い今日に至るまで近隣諸国に与えた災禍に対する責任をとろうとしない」日本に対し、メルケル氏は「綿にくるんだような間接的な批判」を行ったと報じている。
メルケル氏の真意は推し量りがたいが、ドイツメディアや知識層の対日イメージが偏ったままでは、ドイツの外交政策や日独関係にも悪影響を与えかねない。
日本外務省の幹部は「時間をかけて理解を深めるしかないのでは」としており、ねばり強い対外発信が求められそうだ。
(編集委員 三好範英)