先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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1923年第4回メーデー (読書メモ)

2022年02月23日 07時00分00秒 | 1923年の労働運動

1923年第4回メーデー  (読書メモ)

参照
「労働年鑑」第5集/1924年版 大原社研編
「協調会」資料
「植民地朝鮮と日本」趙景達 岩波新書

1923年第4回メーデー
1、東京メーデー
 会場の芝公園には、日本労働総同盟関東労働同盟会、関東車両組合、関東機械工組合、造機船工労働組合、南葛労働会、芝浦労働組合、本芝労働組合、純労働組合、日本労技会、全日本鉱夫総聯合会、時計工組合、機械技工組合など15団体、26組合の労働者1万余名が参加した。
メーデー会場演説者
関東鉄工組合(杉浦啓一ら)
南葛労働会(川合義虎、渡辺政之輔)
関東鉄工組合(山本県蔵)
純労働組合(奥野道之助、山田三次)
造機船工労働組合(澤田清、山田文雄)
信友会(野村重太郎)
時計工組合(渡辺満三)
機械工組合(鈴木宗一)
など

第4回メーデー決議(「協調会」資料)
 ♦俺たちが長い時間働くほど、資本家どもは俺たちを余計に搾取するんだ。そして失業者を多く出すんだ。長時間労働は結局俺たち労働者の共喰いに終わるんだ。
 ♦不景気は資本主義の必然の産物だ。儲からんからと俺たち労働者を飢餓にさらし資本主義の墓穴に俺たちを打ち込むんだ。
 ♦俺たちは長い時間の労働に、不合理な失業に、俺たちの力で抗議しよう。だが兄弟俺たちは更に進んで失業者のない社会、飢餓のない社会建設のため根強く戦おう。

決議 
一、8時間労働制の即時実施
一、産業生産権の獲得
一、失業防止の徹底
1923年5月1日
東京全労働組合同盟

他のスローガン
一、労農ロシア承認、対ロシア通商即時実施
一、朝鮮総督府大正八年発布制令の撤廃(*注)
一、民族の解放(禁止された)

長旗のスローガン
一、日鮮労働者団結せよ
一、今日より後は8時間以上働くな
一、自由を取る前に先ずパンをとれ
一、民族の解放(禁止された)
一、失業無き社会へ
一、賃金奴隷の打破

(*注)
1919年大正8年、3・1運動に対し朝鮮総督府は4月15日「大正8年制令第7号(「政治に関する犯罪処罰の件」)を公布した。これは、「政治の変革を目的」とする運動を一切禁じるもので、それまでの弾圧法の保安法よりも厳しい内容を持ち、1925年4月に公布された治安維持法の先駆けとなった悪法であった。被害状況は、7509名、負傷者1万5961名、被囚者4万6948名にのぼった。(趙景達「植民地朝鮮と日本」)

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 事前に警視庁は、メーデーに関して芝浦労働組合など主催者に、「革命歌の高唱の禁止」「朝鮮の独立又は植民地の解放の主張の禁止」などでようやくメーデーを許可した。しかも、警視庁は、メーデーへの社会主義者の参加を阻止しようとメーデー前日までに社会主義者、思想団体員を一斉に検束し、その数は200余名にもなった。
 メーデー5月1日の当日、警官隊はメーデー会場への社会主義者や朝鮮人労働者の参加を阻止し、公園入口で社会主義者や朝鮮人とみれば一人残らず検束しようとした。警察はデモ行進の途中で社会主義者がデモ隊に入ろうとする時は即座に検束することを決めていた。このような集会発言やデモに対して妨害してくる警官隊の横暴に抗して労働者は敢然と「革命を起こせ」と演説し、またデモ中は「革命歌」を高らかに歌った。<労働要視察人>と要注意人物として指名されている平澤計七は馬場門前で電車の窓からデモ隊に向かって赤旗を振り即時に検束された。またデモ隊は故意に行進のスピードを極端に落とし、デモは遅々として進まなかった。神田橋では社会主義者がデモ隊に合流し、労働者は共に革命歌を高唱した。これを弾圧しようとする警官との衝突があちこちで起き、こうしてメーデーと当日の検束者は196名にのぼり、内3名が起訴された。

2、野田メーデー
 5月1日、一斉休業をした千葉の野田労働聯合会2千余名は、江戸川堤に集合し「失業防止の徹底」「生産権の獲得」と書いた大旗を押し立て、メーデー歌を高唱しながら練り歩き、清水公園に繰り込み演説会を開催した。

3、足尾メーデー
 足尾では200余名がメーデー歌を高唱しつつデモを行った。日本鉱夫総聯合足尾聯合会主催のメーデー講演会を開催した。

4、名古屋メーデー
 過去名古屋ではメーデーが禁止され一度も開かれていなかった。1923年本年こそ挙行しようと、事前に4回のメーデー宣伝演説会が開かれるなど機運は高まった。5月1日鶴舞公園に名古屋自由労働者組合、名古屋労働者協会、中部機械工組合、向上会有志、鉄工所組合等が「万国の労働者団結せよ」「8時間労働制即時実施」「生産権管理の獲得」「失業防止の徹底」「対ロシア通商即時開始」「最低賃金の制定」「土地の社会化」等のスローガンをあげてデモを行った。

5、大阪メーデー
 5月1日中之島公園内の反り橋を境にして、総同盟と反総同盟系の組合同盟会は相対峙して集合した。総同盟系は大阪機械労働組合、伸銅工組合、電線工組合、大阪電気電業員組合、尼ヶ崎合同労働組合、堺輪工革新会、大阪合同労働組合、朝鮮労働組合、木材労働組合、西部交通労働組合、煙草労働組合、向上会等22団体約4千名。
 組合同盟会は、大阪鉄工組合、関西紡績労働組合、造船工組合、純向上会関西自由労働組合、京都印刷工組合、大阪印刷工組合、友禅工組合等約1千名。

 総同盟系の決議スローガン
一、8時間制の即時実施
一、失業防止
一、労農ロシアの承認
一、産業管理権の獲得
一、朝鮮における八年制令の撤廃(*注)

 デモは、反総同盟の組合同盟会系が先に正午に出発し、総同盟系はその1時間半後に出発するという互いに別個のデモを行った。組合同盟会系のデモが天神橋来ると警察隊がデモ隊の赤旗や長旗や骸骨旗を奪おうと襲撃し、デモ隊側と修羅場となるほどの衝突を繰り返し、デモは完全に止まった。警察は、この場に後から来る総同盟系のデモ隊に押しかけられたら堪らないと、総同盟系のデモコースを無理やりに変更した。これに怒った総同盟系デモ隊は、谷町筋に至るや隊伍を一斉に街路一杯に広げ(フランスデモ?)駆け足で南下し、組合同盟会系がまだいる天王寺公園に閧(かちどき)をあげてなだれこみ組合同盟会系と合流した。

6、神戸メーデー 
 総同盟神戸聯合会に属する神戸機械工組合、神戸造船労働組合、神戸合同労働組合、神戸ゴム工組合、兵神銅工組合や朝鮮人労働者の労友会ら800余名が午後1時から湊川公園に集合し、2時からデモ挙行した。

7、京都メーデー
 京都では警察が、不当にも示威行列(デモ)を禁止し、岡崎公園市公会堂での演説会のみが許可された。午後6時からの演説会終了と同時に、参会者数百名は、組合旗を先頭に革命歌を高唱しつつ五条大橋を東に渡り、本町通りを練り歩き京都聯合会本部へ引き上げるデモを敢行した。また、堺輪工革新会員労働者約100名が午前10時高須神社境内に集合し、市内を1時間にわたってデモを敢行した。

8、中国地方のメーデー
 岡山では岡山労働組合員約50名が、午後1時仁王町正覚寺に集合し、市中を2時間余りデモをした。広島では、労働総同盟の日本製鋼労正会、活版印刷親友会、広島赤衛会など800余名が、午後1時東練兵所に集合し、三か所で演説会を開催しデモを敢行した。広島で最初のメーデー挙行となった。因島でもメーデーは挙行され、旗行列が行われた。

9、九州地方のメーデー
 九州では警察がすべてのメーデー関係のデモを禁止した。しかし、福岡市において、九州水平社が大会を予定し、また小倉市では同志会戸畑支部約50名が「遠足会」を挙行した。

10、朝鮮でのメーデー
 京城の労働聯盟会は計画した野外集会も示威行動はすべて警察が厳禁し、やむなく屋内メーデー講演会のみを開催した。しかし、全南務安郡智島の青年会と普通学校生徒120余名が秘密に集合し、韓国国旗を押し立て、「大韓国万歳」を三唱しながらデモを敢行し、巡査と衝突した。



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