百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「3」
※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。
和歌番号003
作者:持統天皇
author of waka:THE NOBLEMAN KAKI-NO-MOTO(KAKI-NO-MOTO NO HITOMARO)
原文
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
(あしびきの やまどりのをの しだりをの ながながしよを ひとりかもねむ)
現代訳
夜になると、雄と雌が離れて寝るという山鳥だが、その山鳥の長く垂れ下がった尾のように、こんなにも長い長い夜を、私もまた、(あなたと離れて)ひとり寂しく寝るのだろうか。
英訳
LONG is the mountain pheasant's tail
That curves down in its flight;
But longer still, it seems to me,
Left in my lonely plight,
Is this unending night.
The writer was a foundling, picked up and adopted by Abaye at the foot of a persimmon tree, which is in Japanese kaki, from which he got his name. He was an attendant on the Emperor Mommu, who reigned A.D. 697-707, and was one of the great poets of the early days of Japan; he is known as the rival of Akahito Yamabe (see next verse), and after death was deified as a God of Poetry. There is a temple erected in his honour at Ichi-no-Moto, and another at Akashi, not far from Kobe; he died in the year 737.
In the fourth line nagashi may be taken as the adjective 'long', or the verb 'to drift along'; and yo may mean either 'night' or 'life'; so that this line, which I have taken as 'long, long is the night', may also mean 'my life is drifting, drifting along'. Yamadori (pheasant) is literally 'mountain bird', and ashibiki is a pillow-word for mountain, which is itself the first half of the word for pheasant.
解説
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)は持統、文武の両天皇に仕えた優れた宮廷歌人ですが、生没年(660年頃から720年頃と言われています)や官位など、詳しいことは伝わっていません。
柿本人麻呂は天皇をたたえる和歌を数多く残していますが、挽歌(死んだ人を悲しむ和歌)や相聞歌(互いにやり取りをする和歌)など、各種の和歌にも通じ、特に相聞歌では特に優れた和歌を多く残しています。
和銅三年頃、 石見の国で亡くなったとも伝えられていますが、山部赤人と共に優れた歌人として名を残し、「三十六歌仙人」のひとりにも挙げられています。
「万葉集」も多くの和歌が残されていますが、「勅撰集」にも240首以上の歌が収められています。
人麻呂には、密かに思いを寄せる女性がありましたが、その女性は天皇に仕える人だったので、人麻呂はそのことを打ち明けらず、この和歌をつくったと言われています。
山鳥を題材にして、自らの恋心を見事に表現していますが、上三句に繰り返される「の」の響きは、恋のわびしさだけでなく、秋の夜長を優雅に詠んでいます。
★おススメ本★
本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/
厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。
そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。
※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。
和歌番号003
作者:持統天皇
author of waka:THE NOBLEMAN KAKI-NO-MOTO(KAKI-NO-MOTO NO HITOMARO)
原文
あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
(あしびきの やまどりのをの しだりをの ながながしよを ひとりかもねむ)
現代訳
夜になると、雄と雌が離れて寝るという山鳥だが、その山鳥の長く垂れ下がった尾のように、こんなにも長い長い夜を、私もまた、(あなたと離れて)ひとり寂しく寝るのだろうか。
英訳
LONG is the mountain pheasant's tail
That curves down in its flight;
But longer still, it seems to me,
Left in my lonely plight,
Is this unending night.
The writer was a foundling, picked up and adopted by Abaye at the foot of a persimmon tree, which is in Japanese kaki, from which he got his name. He was an attendant on the Emperor Mommu, who reigned A.D. 697-707, and was one of the great poets of the early days of Japan; he is known as the rival of Akahito Yamabe (see next verse), and after death was deified as a God of Poetry. There is a temple erected in his honour at Ichi-no-Moto, and another at Akashi, not far from Kobe; he died in the year 737.
In the fourth line nagashi may be taken as the adjective 'long', or the verb 'to drift along'; and yo may mean either 'night' or 'life'; so that this line, which I have taken as 'long, long is the night', may also mean 'my life is drifting, drifting along'. Yamadori (pheasant) is literally 'mountain bird', and ashibiki is a pillow-word for mountain, which is itself the first half of the word for pheasant.
解説
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)は持統、文武の両天皇に仕えた優れた宮廷歌人ですが、生没年(660年頃から720年頃と言われています)や官位など、詳しいことは伝わっていません。
柿本人麻呂は天皇をたたえる和歌を数多く残していますが、挽歌(死んだ人を悲しむ和歌)や相聞歌(互いにやり取りをする和歌)など、各種の和歌にも通じ、特に相聞歌では特に優れた和歌を多く残しています。
和銅三年頃、 石見の国で亡くなったとも伝えられていますが、山部赤人と共に優れた歌人として名を残し、「三十六歌仙人」のひとりにも挙げられています。
「万葉集」も多くの和歌が残されていますが、「勅撰集」にも240首以上の歌が収められています。
人麻呂には、密かに思いを寄せる女性がありましたが、その女性は天皇に仕える人だったので、人麻呂はそのことを打ち明けらず、この和歌をつくったと言われています。
山鳥を題材にして、自らの恋心を見事に表現していますが、上三句に繰り返される「の」の響きは、恋のわびしさだけでなく、秋の夜長を優雅に詠んでいます。
★おススメ本★
A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu | |
Tuttle Pub |
図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化) | |
河出書房新社 |
百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! ) | |
歌林苑 |
本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/
厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。
そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。
※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!