魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「5」

2017年11月26日 | 百人一首
百人一首の和歌の原文・現代訳・英訳を紹介します。「5」

※英訳については、1909年にWilliam N. Porterが書いた百人一首の本
『A HUNDRED VERSES FROM OLD JAPAN』を参照しています。

和歌番号005 
作者:猿丸大夫
author of waka:SARU MARU, A SHINTO OFFICIAL(SARU MARU TAIU)

原文
奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しき
(おくやまに もみぢふみわけ なくしかの こゑきくときぞ あきはかなしき)

現代訳
奥深い山の中で、(一面に散りしいた)紅葉をふみわけて鳴いている鹿の声を聞くときは、この秋の寂しさが、いっそう悲しく感じられることだ。

英訳
HEAR the stag's pathetic call
 Far up the mountain side,
While tramping o'er the maple leaves
 Wind-scattered far and wide
 This sad, sad autumn tide.

Very little is known of this writer, but he probably lived not later than A.D. 800. Stags and the crimson leaves of the maple are frequently used symbolically of autumn.

解説
 猿丸大夫(さるまるだゆう)は藤原公任が選んだ三十六歌仙のひとりに上げられていますが、生没年など詳しいことは伝わっていません。
 奈良時代の人とも、平安時代初期の人とも言われていますが、猿丸大夫が実際にいたかどうかも分かっていません。
 この和歌も「古今和歌集」では「読み人しらず」となっていて、猿丸大夫の和歌なのかどうかも分かっていませんが、「百人一首」の中では猿丸大夫の詠んだものとされています。

 この和歌は、ある秋のこと、是貞親王(これさだしんのう)のお屋敷でひらかれた歌合せのときに作られた和歌だと言われていますが、冬を迎えようとする秋の寂しさがよく伝わってきます。



★おススメ本★  

A Hundred Verses from Old Japan: Being a Translation of the Hyaku-Nin-Isshiu
Tuttle Pub


図説 百人一首 (ふくろうの本/日本の文化)
河出書房新社


百人一首の歌人列伝(業平、定家に西行…人気二十歌人の面白エピソードと代表歌を知ろう! )
歌林苑


本書は「平成和歌所」のウェブコンテンツ「一人十首の歌人列伝」を再編集したものです。
http://wakadokoro.com/

厳選した百人一首歌人の「おもしろエピソード」と「十首の秀歌」を分かりやすく解説した読み物は、幅広い層の和歌ファンに人気を博しました。
これを読めば「はるか昔にいた正体不明のオジサン」だった歌人たちが、グッと身近に感じられることでしょう。

そして本書を読み終わった後、あらためて百人一首を一番から眺めてみてください。
王朝の歴史絵巻が紐解かれ、つまらなかったあの百首歌たちが息吹を宿し、断然おもしろく感じられるはずです。

※読みやすい文字サイズ&文章で、約200ページがあっという間に読み終わります!
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