魚鳥木、申すか?申さぬか?

ぎょ・ちょう・もく、申すか?申さぬか?
申す!申す! 魚⇒ニシキゴイ。鳥⇒ニホンキジ。木⇒制定無し、花は桜と菊

老子『道徳経』を翻訳してみました。77

2017年11月15日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第七十七章
原文

天之道其猶張弓與。髙者抑之、下者擧之。有餘者損之、不足者補之。天之道損有餘而補不足。人之道則不然、損不足以奉有餘。孰能有餘以奉天下。唯有道者。是以聖人、爲而不恃、功成而不處、其不欲見賢。

英訳文
Heaven's way is like to string a bow. You lower the upper part and lift up the lower part. If a string is long, you shorten it. If it is short, you add to it. Heaven takes from the haves and gives to the have-nots. But human world is opposite of it. It takes from the have-nots and gives to the haves. Who is able to give people his fortune? Only a person who knows "the way". So the saint who knows "the way" does not rely on his success, does not cling to his achievement, does not boast of his wisdom.

書き下し文
天の道はそれ猶(な)お弓を張るがごときか。高き者はこれを抑え、下(ひく)き者はこれを挙(あ)ぐ。余りある者はこれを損(そん)じ、足らざる者はこれを補う。天の道は余り有るを損じて而(しか)して足らざるを補う。人の道は則(すなわ)ち然(しか)らず、足らざるを損じて以(も)って余り有るに奉(ほう)ず。孰(た)れか能(よ)く余り有りて以って天下に奉ぜん。唯(た)だ有道の者のみ。ここを以って聖人は、為(な)して而も恃(たの)まず、功成りて而も処(お)らず、それ賢を見(あら)わす欲(ほっ)せず。

現代語訳
無為自然の天の道は、弓に弦を張るときと似ている。上の部分は下に引き下げ、下の部分は上に引き上げる。弦の長さが長すぎれば短くし、短すぎればつぎ足す。この様に天の道は余った所を減らして足りない所を補っているのだ。しかし人の世の道はそれとは逆で、足りない所からさらに奪って余っている所に補っている。自らに余るものを人々に分け与える者は誰であろうか。それは「道」を知った者だけである。そうして「道」を知った聖人は、何かを成し遂げてもそれに頼らず、過去の功績にいつまでもしがみつかず、自分の賢さを人に誇る事も無い。

老子『道徳経』を翻訳してみました。78 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。76

2017年11月14日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第七十六章
原文

人之生也柔弱、其死也堅強。萬物草木之生也柔脆、其死也枯槁。故堅強者死之徒、柔弱者生之徒。是以兵強則不勝、木強則折。強大處下、柔弱處上。

英訳文

Human body is weak and soft when he is born, and it is stiff and hard when he is dead. Plants and other lives are soft and delicate when they are born, and they are stiff and fragile when they are dead. So strength and hardness are companions of death, and weakness and softness are companions of life. An army cannot win a battle only by its strength. A stiff branch is easily snapped. So the weak and the soft are superior to the strong and the hard.

書き下し文
人の生まるるや柔弱(じゅうじゃく)、その死するや堅強(けんきょう)なり。万物草木(ばんぶつそうもく)の生まるるや柔脆(じゅうぜい)、その死するや枯槁(ここう)なり。故に堅強なる者は死の徒(と)にして、柔弱なる者は生の徒なり。ここを以(も)って兵強ければ則(すなわ)ち勝たず、木強ければ則ち折る。強大なるは下(しも)に処(お)り、柔弱なるは上(かみ)に処る。

現代語訳
人の体は生まれてくるとき弱々しく柔らかいが、死ぬと固く強ばってしまう。草木やその他の生命も生まれてくるときは柔らかで脆くみえるが、死ぬと固く干からびてぼろぼろになってしまう。つまり固く強ばっている方が死に近く、柔らかく弱々しい方が生に近いのだ。だから軍隊がいくら強くとも力攻めでは勝てないし、樹木に柔軟性がなければ簡単に折れてしまう。このように強く大きなものこそ下にあり、弱く柔らかいものこそが上にあるのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。77 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。75

2017年11月13日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第七十五章
原文

民之飢、以其上食税之多、是以飢。民之難治、以其上之有爲、是以難治。民之輕死、以其求生之厚、是以輕死。夫唯無以生爲者、是賢於貴生。

英訳文
People are starved, because their government collect too much taxes. People disobey, because their government does too many things. People make light of life, because they value their own life excessively. In the first place, people who don't think about their life are better than people who think too much about their own life.

書き下し文
民の飢(う)うるは、その上(かみ)の税を食(は)むことの多きを以(も)って、ここを以って飢う。民の治め難きは、その上の為すこと有るを以って、ここを以って治め難し。民の死を軽んずるは、その生を求むることの厚きを以って、ここを以って死を軽んず。それ唯(た)だ生を以って為すこと無き者は、これ生を貴ぶより賢(まさ)る。

現代語訳

民衆が飢えに苦しむのは、お上が税を取り立て過ぎるからで、それゆえに飢えるのだ。民衆が逆らいがちになるのは、お上があれこれと余計な事をするからで、それゆえに逆らうのだ。民衆が命を軽んじるのは、人々が自分の命に執着するからで、それゆえに命を軽んじる様になるのだ。そもそも人生についてあれこれ考えずにありのままに生きる者こそ、無駄に知恵を働かせて人生を尊ぶ者より勝っている。

老子『道徳経』を翻訳してみました。76 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。74

2017年11月12日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第七十四章
原文

民不畏死、柰何以死懼之。若使民常畏死、而爲奇者、吾得執而殺之、孰敢。常有司殺者殺。夫代司殺者殺、是代大匠斲。夫代大匠斲者、希有不傷其手矣。

英訳文
If you oppress the people until they get desperate, they won't be afraid of the death penalty. If you govern them well and they are afraid of death, and someone disturbs the order, I can catch and kill him. But who takes charge of his death? Human life is beyond the human jurisdiction. If you kill him by your judgment, it is as if an amateur planes a wood instead of carpenters. If an amateur planes a wood, he cuts his finger inevitably.

書き下し文
民、死を畏(おそ)れざれば、奈何(いかん)ぞ死を以(も)ってこれを懼(おそ)れしめん。もし民をして常に死を畏れしめば、而(すな)わち奇(き)を為(な)す者は、われ執(とら)えてこれを殺すを得るも、孰(た)れか敢えてせん。常に殺(さつ)を司(つかさど)る者有りて殺す。それ殺を司る者に代わりて殺すは、これを大匠(たいしょう)に代わりて斲(けず)るなり。それ大匠に代わりて斲る者は、その手を傷つけざる有ること希(まれ)なり。

現代語訳

民衆が死を恐れなくなるまで追い詰めてしまったら、どのような刑罰をもって彼らを恐れさせる事ができるだろうか。もし人々が生を楽しみ死を恐れるような世の中に、秩序を乱す輩がでたならば、私はその者を捕えて殺すことができよう。だが一体誰がその刑を実行するのか。人の生死はそれを司るものが殺すのだ。生死を司るものに代わって人を殺すというのは、素人が大工に代わって木を削るのと同じことだ。そのような無理をすれば、結局自らが傷つく事になる。

老子『道徳経』を翻訳してみました。75 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。73

2017年11月11日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
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第七十三章
原文

勇於敢則殺、勇於不敢則活。此兩者、或利或害。天之所惡、孰知其故。天之道、不爭而善勝、不言而善應、不召而自來、繟然而善謀。天網恢恢、疏而不失。

英訳文
If a judge is brave to punish criminals, they are killed. If a judge is brave to pardon criminals, they survive. These two kinds of bravery, some say the former is right, some say the latter is right. Since it is difficult to tell right from wrong of human judgement, it is impossible to tell right from wrong of Heaven's judgement. Heaven, wins a victory without any battle, answers without speaking, gathers everything without calling, and is loose but has a grand program. Heaven's net is very loose, but it never fails to catch a sinner.

書き下し文

敢えてするに勇なれば則(すなわ)ち殺され、敢えてせざるに勇なれば則ち活かさる。この両者、或(ある)いは利あり、或いは害あり。天の悪(にくむ)む所、孰(たれ)かその故を知らん。天の道は、争わずして善く勝ち、言わずして善く応じ、召さずして自ら来たし、繟然(せんぜん)として善く謀る。天網(てんもう)恢恢(かいかい)、疏(そ)にして失せず。

現代語訳
裁判官が勇気をもって刑を執行すれば罪人は殺され、勇気をもって刑を免除すれば罪人は生き延びる。この二種類の勇気は、それぞれ時と場合によって良いとされたり悪いとされたりする。人間の裁きでさえその是非を判断するのは困難なのに、天の裁きについてはなおさら人の身で理解するのは困難である。大いなる天のやり方は、争わずに勝利し、言葉を用いずに応え、呼びよせずに自ら来させ、ゆったりとしながら遠大な計画を内に秘める。天が悪を捕える網は、粗い目をしているように見えて悪を決して逃しはしない。

老子『道徳経』を翻訳してみました。74 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。72

2017年11月10日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第七十二章
原文

民不畏威、則大威至。無狎其所居、無厭其所生。夫唯不厭、是以不厭。是以聖人、自知不自見、自愛不自貴。故去彼取此。

英訳文
If you oppress the people with punishments, you will get a divine punishment. You must not threaten their house. You must not hinder their living. If you do not threaten their life, they will not threaten your reign. So the saint who knows "the way" never attracts others' attention though he has wisdom to know himself. He never considers himself as a special one though he loves himself. He never governs the people by oppression. He governs them by doing nothing.

書き下し文
民、威(い)を畏(おそ)れざれば、則(すなわ)ち大威(たいい)至る。その居る所を狎(せば)めること無く、その生くる所を厭(あつ)すること無かれ。それ唯(た)だ厭せず、ここを以(も)って厭せられず。ここを以って聖人は、自ら知りて自ら見(あら)わさず、自ら愛して自ら貴(たっと)しとせず。故に彼(か)れを去(す)てて此(こ)れを取る。

現代語訳
為政者の権威を恐れなくなるほどに民衆を追い詰めると、世は乱れて大いなる天の罰を受けることになる。人々の住む所をおびやかしてはならないし、人々の生業を邪魔してはならない。人々の生活をおびやかす事がなければ、人々が為政者をおびやかす事も無い。だから「道」を知った聖人は、自らの分を弁える知恵を備えて自ら目立とうとはせず、自らを愛しながらも自らを特別な存在だなどとは思わない。こうして権威を振りかざす政治を捨て去り、余計なことはしない無為の政治を選ぶのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。73 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。71

2017年11月09日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
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第七十一章
原文

知不知上、不知知病。夫唯病病、是以不病。聖人不病、以其病病、是以不病。

英訳文
It is the best to consider that you still don't know though you know enough. It is human's fault that they consider that they know enough though they still don't know. If you notice your fault, you can correct it. So the saint who knows "the way" admits his faults and corrects them. Then he has no fault.

書き下し文
知りて知らずとするは上、知らずして知るとするは病(へい)なり。それ唯(た)だ病を病とす、ここを以(も)って病(へい)あらず。聖人は病あらず、その病を病とするを以って、ここを以って病あらず。

現代語訳
自分がよく理解していてもまだよく解っていないと考えるのが最善であり、よく解っていないことを解ったつもりになってしまうのが人間の欠点である。そもそも自分の欠点を欠点として自覚するから、それを改善することもできる。このように「道」を知った聖人は、自分の欠点を欠点と素直に認めて改善しているからこそ、欠点の無い聖人でいられるのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。72 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。70

2017年11月08日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第七十章
原文

吾言甚易知、甚易行。天下莫能知、莫能行。言有宗、事有君。夫唯無知、是以不我知。知我者希、則我貴矣。是以聖人、被褐而懷玉。

英訳文
My teachings, as a matter of fact, are simple and easy to practice. But people cannot understand and practice them. My teachings have the gist, yet people do not notice it. So they cannot understand me. It means how valuable I am if people cannot understand me. So the saint who knows "the way" wears rags while holding precious treasures in his heart. People cannot understand how precious he is.

書き下し文
わが言は甚(はなは)だ知り易く、甚だ行ない易きも、天下能(よ)く知るもの莫(な)く、能く行なうもの莫し。言に宗(そう)有り、事(こと)に君あり。それ唯だ知ること無し、ここを以(も)って我れを知らず。我れを知る者は希(まれ)なるは、則(すなわ)ち我れ貴(たっと)し。ここを以って聖人は、褐(かつ)を被(き)て玉(ぎょく)を懐(いだ)く。

現代語訳
私の言っている事は本当はとても解り易く、誰にでも簡単に出来る事なのだ。しかし世の人々はそれを理解できず、また行う事も出来ない。私の言葉や行いには要点があるのだが、人々はそれに気づかないでいる。だから私の言う事が理解できないのだ。だが私の言葉を人々が理解できないという事は、それだけ私という存在が貴重という事でもある。このように「道」を知った聖人は、粗末な衣服を着ていながらも心の内には大切な宝を抱いている。その貴さは上辺からは理解できないのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。71 へ続く。




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老子『道徳経』を翻訳してみました。69

2017年11月07日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第六十九章
原文

用兵有言、吾不敢爲主而爲客、不敢進寸而退尺。是謂行無行、攘無臂、執無兵、扔無敵。禍莫大於輕敵。輕敵幾喪吾寳。故抗兵相如、哀者勝矣。

英訳文

They say about tactics, "I had better defend against enemy's attack than attack aggressively. I had better go back a long distance than advance a short distance." This is called "No way to advance, No arm to raise, No troop to command and No enemy to attack." To underestimate your enemy is the most dangerous thing in a battlefield. If you underestimate your enemy, you will lose almost all my teachings. So in a battle that both sides have the same troop strength, the side who feels sorrow wins the battle.

書き下し文
兵を用うるに言えること有り。吾(わ)れ敢えて主(しゅ)と為(な)らずして客(かく)と為り、敢えて寸(しん)を進まずして尺(しゃく)を退けと。これを行くに行(みち)無く、攘(はら)うに臂(うで)無く、執(と)るに兵無く、扔(つ)くに敵無しと謂(い)う。禍(わざわ)いは敵を軽んずるより大なるは莫(な)し。敵を軽んずれば幾(ほと)んど吾が宝を喪(うしな)わん。故に兵を抗(あ)げて相い如(し)けば、哀しむ者勝つ。

現代語訳

用兵術にこんな言葉がある、「こちらから攻撃するよりは、むしろ守って応戦せよ。わずかの距離を進軍するよりは、むしろ大きく後退せよ」と。これは「行軍しようにも道が無く」「振り上げようにも腕が無く」「命令しようにも兵が無く」「攻撃しようにも敵がいない」と言われる事である。戦いにおいては敵を軽視する事以上の災いは無い。敵を軽視すれば私の言う三つの宝、「慈しみの心」「倹しく暮らす事」「人に先んじようとしない事」の効力をほとんど失ってしまう。だから同兵力での戦いの時には、慈しみの心で事態を哀しむ方が勝つのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。70 へ続く。




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今年の酉の市は 参の酉まであります

2017年11月06日 | 民俗学探究
酉の市とは?
鷲(おおとり)神社・大鳥(おおとり)神社・酉(とり)の寺などの、「とり」にゆかりのある寺社で行われている行事で、毎年11月の酉の日に商売繁盛を祈願して行われるお祭りのことです。

(新宿の花園神社さんの酉の市)


酉の日とは?
酉の日というのは、昔の暦の読み方の1つ。

日めくりカレンダーなどで、「丁酉」「己酉」「辛酉」といった文字を見た事があると思いますが、これは60日で一周する「干支(かんし)」と呼ばれる暦の一種です。この干支に「酉」の字が有る日が「酉の日」と呼ばれているのです。



酉の日は、全部で3つあり、それぞれ 一の酉・二の酉・三の酉とされていて、12日おきにめぐってくるのですが、11月の酉の日は暦のめぐりによって、「三の酉がない」という年もあります。

なお、「三の酉まである年は火事が多い」といわれており、火の用心につとめる風習もあります。これは、「宵に鳴かぬ鶏が鳴くと火事が出る」という言い伝えや、寒くなって火を使う機会が増えるため注意を呼びかける意味などがあるようです。

2017年は三の酉まであり、一の酉が11月6日(月)、二の酉が11月18日(土)、三の酉が11月30日(木)です。


酉の市って何するの?
酉の市は露店などがいくつも出店し、とても賑やかなお祭りとなっていて、開運招福・商売繁盛を願い縁起物の熊手を売り買いする光景は、テレビでも取り上げられているので、目にされている方もいらっしゃるのでは?

名物は「縁起熊手」です。


縁起熊手というのは、おかめや招福の縁起物を飾った熊手で、酉の市では、縁起熊手を買い、新年の商売繁盛・金運アップを願うのが王道です。参拝後に屋台で縁起熊手を買うのが定番ですが、ルールはありませんので、その逆でもかまわないので、ピピッと来たら御縁の印ですから、参拝前でも購入しちゃいましょう!


熊手を酉の市で買う由来
熊手といえば、穀物や落ち葉をかき集めるものです。竹で出来ていて、長い柄の先に多くの曲がったつめが、熊の手のような形についていることから熊手と呼ばれます。

で、この熊手が縁起熊手のルーツなんですよぉ~

どういうことかというと、もともとの酉の市は、農作物の収穫祭として行われていたんです。

収穫祭には人が集まり、今も昔も、人が集まるところでは、市(フリーマーケットのようなもの)が催されるようになります。

酉の市でも、収穫祭に訪れる人達を相手に、農機具や農作物、古着などが、露店で売られていました。

そこで売られていたのが、『熊手』です。

商売人のやりとりするしゃれや言葉遊びで、熊手は「福をかき集める」「運をかきこむ」「金銀をかき集める」といった道具として意味付けされていくうちに、熊手は縁起物として広まっていきました。

そのうち、『縁起が良い』とされる七福神や松竹梅・大判小判・おたふくなどを、『縁起物の熊手』に飾ることで『縁起』が更なるパワーアップ。こうして今に至っているのです。





酉の市と熊手 (1979年) (江戸伝承手作りシリーズ)
松沢 光雄
古今書院


歳時記のある暮らし (和の暮らし術 1)
坂東 眞理子
ジェイティビィパブリッシング
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老子『道徳経』を翻訳してみました。68

2017年11月06日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第六十八章
原文

善爲士者不武。善戰者不怒。善勝敵者不與。善用人者爲之下。是謂不爭之徳、是謂用人之力、是謂配天。古之極。

英訳文
A good warrior is not fierce. A man who is good at battles does not get angry. A man who always win a battle does not fight with his enemy. A man who uses others cleverly is humble. These are called "virtues without rivalry", "to use people's power" and "to equal to heaven". These are laws from ancient times.

書き下し文
善く士たる者は武ならず。善く戦う者は怒らず。善く敵に勝つ者は与(とも)にせず。善く人を用うる者はこれが下と為(な)る。これを不争の徳と謂(い)い、これを人の力を用うと謂い、これを天に配(はい)すと謂う。古えの極(きょく)なり。

現代語訳
良い武人というのは猛々しくない。戦いが上手い者は怒りを見せない。勝利するのが上手い者は敵とは争わない。人を使うのが上手い者は相手にへりくだっている。こういうのを「争わない徳」と言い、「人の力を活用する」と言い、「天と並ぶ」と言って、古くからの法則である。

老子『道徳経』を翻訳してみました。69 へ続く。




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長岡市蓬平町の 高龍神社さんへ行ってきました。(2017年11月03日)

2017年11月05日 | 民俗学探究
長岡市蓬平町の 高龍神社さんへ行ってきました。

新潟県長岡市にある「高龍神社(こうりゅうじんじゃ)」。
[住所] 新潟県長岡市蓬平町1284 
[電話] 0258-23-2020 
[駐車場]あり

商売繁盛の神様として、全国各地から参拝者が訪れる新潟県の超有名な金運神社です。



参道の入り口にある「ふじや売店」で売っている「お供えセット」。お参りの際は、これを手に入れることをおススメします。内容は御神酒、ロウソク、ゆで卵のセット。なぜ、ゆで卵がお供え物にあるのかは、、、。


高龍神社さんは、太田川の上流で三方を山に囲まれた美しい地に建ち、神秘的なムードが漂っています。ここに来て、まず圧倒されるのが118段の石段。この石段を必死に上ると、小じんまりとした境内が現われます。(エレベーターあります。)


横の幅が狭く、雨や雪の日はとても滑りやすいのでご注意を。



高龍神社の歴史は、今から約600年前に南北朝の戦いで傷を負った高野木民部永張が、お滝谷の慈光寺(新潟県五泉市)に向かう途中、この地に迷い込み、里人に助けられましたが傷が悪化し、生死の境を彷徨っていたところ、夢枕に、日頃信心する丹生川上大神の分身で、この地に鎮座する高龍と名乗る老翁が現れ、白泉(蓬平温泉の源泉)の場所を告げました。

そのお告げに従い、その白泉にて専心療浴した結果、傷が癒え、無事に慈光寺に向かう事が出来たそうです。その話を聞いた里人が、現在の高龍神社の奥の院の場所に、高龍大神の小祠を建てたのが始まりだそうです。


拝殿
「商売繁盛」の御利益があるということで、拝殿の中には多くの会社の名刺が置かれていました。県外からも多くの参拝客が訪れるそうです。


拝殿の額縁

ちなみに、「神社では簡単にお願いごとをしてはいけない」という噂話もありますが、高龍神社ではOKとのこと。ただし、ご利益があったときのお礼参りはしっかりと行いたいものです。


龍神様ですねっ

ご神体として奥の院には龍神様が、拝殿には龍のお使いとも龍の化身とも云われる白蛇様が祀られています。 なので、拝殿では白蛇様へのお供えとして卵とお酒をお供えしますぅ~「お供えセット」で用意されていますねっ。

だば!龍神様が祀られている「奥の院さん」へ向かいますぅ~ かなりの山奥なので冬季期間中は雪のため閉鎖されますので注意してください!

「奥の院さん」の途中にある「中之院さん」。

白蛇様がおまします。白蛇は御神体である龍の使い。


「中之院さん」から、空を見て写真①


「中之院さん」から、空を見て写真②


「奥の院さん」に到着!
「中之院さん」「奥の院さん」共にドームのような形状は、雪国ならではの対策ですかねっ


「奥の院さん」の額縁


「奥の院さん」 左上の空の雲が気になり


雲の形が 微笑んでいる様に見える


ニコちゃん!


「奥の院さん」の手水 お不動さんが祭られていました。


手水から滴る雫たち 


「奥の院さん」 横の沢


現在の神社が造営されたのは大正中期ですが、中越地震を乗り越え地元の方たちによって長く信仰されてきた歴史があります。蓬平の守り神として篤く信仰されてきた高龍神社。金運アップのご利益がある神社さんですが、その歴史にも思いを馳せつつ、参拝してみてはいかがでしょうか?

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寳徳山稲荷大社さんの 神幸祭(よまつり)に行ってきました。2017年11月02日

2017年11月05日 | 民俗学探究
寳徳山稲荷大社さんの「神幸祭(よまつり)」に行ってきました。









神社概要
由緒

社伝によれば、縄文時代に殷帝大王(いててのひみこ)の命により、物部美万玉女命(もののべのみのわひめのみこと)が 瓊名乃里(現・越路原)に「日の宮の御社」を建てたことに始まるとされています。

その後、第41代 持統天皇の御代、久辰稲輿玉女命(くしいなごしひめのみこと)が奉幣使の来訪の折りに「日の宮」の改築を請い、勅許を得て社殿を造営に至ったとされ、以後 越国五十六座の第一等社として「越国総鎮守一の宮」の社格を賜わったそうです。

また、第77代 後白河天皇の御代からは各地の争いの影響で度々遷宮し、昭和49年に内宮殿、昭和54年に本宮殿・祖霊殿、平成5年に現在の朱塗りの奥宮大殿堂がついに完成したとされています。

公式サイト: http://www.houtoku.or.jp/index.html

社伝に表されている「殷帝大王(いててのひみこ)の命」は『記紀』には登場せず、これを伝える史料の存在は確認されていないようです。また、創建に当たった人物は「物部美万玉女命(もののべのみのわひめのみこと)」とされています。この名から、恐らく物部氏にまつわる人物であると推測できますが、越国で物部氏と言えば「天香山命(あめのかごやまのみこと)」が思い浮かびます。

この「天香山命(あめのかごやまのみこと)」は、新潟県では彌彦神社の主祭神として知られており、通称「おやひこさま」と呼ばれて親しまれています。

天香山命については、『先代旧事本紀』という文献に「天香語山命(天香山命)は饒速日尊(ニギハヤヒ)の子であり、尾張氏等の祖神である」とあります(当文献では天香語山命は高倉下命であるとされる)。また、「彌彦神社の社伝」には「天香山命は神武天皇の勅命を受け、越国を平定して開拓に従事した」とあります。

その他にも、『ホツマツタヱ』という文献に「神武天皇の御代に越後が初穂を納めなかった際、タカクラシタ(天香山命に当たる)が越後に向って太刀を抜かずに皆を従えた。君はこの功績を讃えてタカクラシタを越国のクニモリ(国守)とし、ヤヒコカミのヲシテ(称号)を与えた」とあります(ただし、当文献ではタカクラシタはカゴヤマの子とされる)。

なお、一般的に物部氏は饒速日尊(ニギハヤヒ)を祖神としているとされ、越国にまつわる物部氏は天香山命に関わると推測されます。よって、当社の創建に当たったとされる物部美万玉女命は、弥彦神社に鎮まる天香山命と何らかの関係があるかもしれませんねっ。

・参考リンク:ホツマツタヱ31文 直り神 三輪神の文:タカクラシタがヤヒコカミとなる【2】



主祭神
天照白菊宝徳稲荷大神(あまてらすしらぎくほうとくいなりおおかみ):人間の幸せを司る神とされる
日本古峰大神(やまとふるみねのおおかみ):厄除・病気平癒など祓いを司る神とされる
八意思兼大神やこころおもいかねのおおかみ):文化を守る神、学問の神とされる

「天照白菊宝徳稲荷大神」「日本古峰大神」の2柱は『記紀』をはじめとする諸文献には登場しない神であり、これら神々を祀っている神社は他に見られないようです。よって、この2柱について、どのような由来で祀られているのかは一切分かりませんでした。

一方、「八意思兼大神」については、『記紀』における「オモイカネ」を指すものと思われ、オシホミミの后であるタクハタチヂヒメの兄神に当たるとされています。

なお、『ホツマツタヱ』という文献には「オモイカネはヒルコと結婚した後、オシホミミの養育を任させれていた頃にネノクニ(北陸地方)とサホコクニ(中国地方)を兼ね治めた」とあります。このことから、八意思兼大神は これに由来して祀られているのかもしれません。

・参考リンク:ホツマツタヱ6文 日の神 十二后の文:ヒルコの結婚【13】


宝徳山稲荷大社さんが建つ「瓊名乃里(ぬなのさと)」では、毎年11月3日の0時に天の岩戸が開かれて、「幽世の神々の岩磐(いわくら)」「常立の神の岩磐(いわくら)」「神のお遊び」「御息所(みやすところ)」として、全国の千五百万の神々が降臨すると云われています(一説には、この後に神々が出雲に向うと云われる)。

そのため、寳徳山稲荷大社さんでは この日に「神幸祭(よまつり)」が行われ、この際に紅ローソクに願いを書き、幣(みてくら)・供物(くもつ)を捧げて願事をすれば、必ず一つは叶えられるとされているそうです。

なお、瓊名乃里は時代の変遷と共に「朝日長者が原」「太田乃庄」と名が変わり、現在は「越路原」となっています。



寳徳山稲荷大社 神幸祭 の由来
神の世も人の世と変わる事なく、私達の生活と共になされていることは申す迄もありません。

当瓊名乃里ぬなのさと長者ヶ原ちょうじゃがはら、天の岩戸あまのいわとを開かれ、幽世かくりよの神々の岩磐いわくら、常立とこたちの神々の岩磐いわくら、神遊び、御息所みやすところとして八百万やおよろず(千五百万)の神々が御降臨され、年一回11月2日夜12時を機して奥之宮に集い、国の隆昌、人民の安全、諸産業発展の祈念祭を厳いづしく執り行われる日であります。

この良き日、人の道をつくして神々に御願いをする年一回の絶好の機会であります。

古くから、紅ローソク1対に願いを書き記し、誠心まことのこころの幣みてくら、御供物おくもつを捧げ、一筋に願事をすれば必ず一つは叶えられると伝承されております。(寳徳山稲荷大社HP転記)

神事工程表
11月2日
午前12時 本殿にて大祭奉仕者祓
午後5時30分 本殿にて来賓者式典
午後6時30分 参集殿にて演芸大会開始
午後7時30分 奥之宮にて神幸祭 紅ローソク点火
午後9時40分 本殿にて宝徳会総会
午後10時 宵祭大祭神事開始

11月3日(11月2日夜12時)
午前0時(11月2日夜12時) 奥之宮にて暁之儀大祭神事開始 午前1時30分頃まで



奥宮への参道


点火前の ろうそく畑










夜景工場:奥宮用の駐車場から見える国際石油開発帝石(株)越路原プラント


県外から参拝(御祈祷を申し込んだ方)の方は、食事を頂くことができます。手作りの優しい味で美味です!


点火開始です!ガスバーナーを使用し人の手で一個ずつ点火(有難い限りです)




神事中に花火も打ち上げられます。


















長岡市の不動産屋さんに火の鳥の絵!!

迎神歌
きよきともしび
あかあかと
とよさかいわう
かみんこが
ともにさかえん
このつどい
あめつちのかみ
いまぞ
きませる
きませる

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老子『道徳経』を翻訳してみました。67

2017年11月05日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第六十七章
原文

天下皆謂我大似不肖。夫唯大、故似不肖。若肖、久矣其細也夫。我有三寳、持而保之。一曰慈、二曰儉、三曰不敢爲天下先。慈故能勇、儉故能廣、不敢爲天下先、故能成器長。今舍慈且勇、舍儉且廣、舍後且先、死矣。夫慈、以戰則勝、以守則固。天將救之、以慈衛之。

英訳文
People call me "great, but silly". I look silly because I am great. If I were normal, I would have become a worthless person long before. I have three treasures and always keep them. The first is compassion. The second is to live frugally. The third is not dare to take the lead. You can be courageous if you have compassion. You can have a broad mind if you live frugally. You can become a good leader if you do not try to take the lead. However, if you try to be courageous without compassion, try to have a broad mind without living frugally, and try to take the lead selfishly, you die. With compassion, you always win a battle and never lose a defensive battle. Heaven also save and protect you with compassion.

書き下し文
天下皆我れを大なるも不肖(ふしょう)に似たりと謂(い)う。それ唯(ただ)大なり、故に不肖(ふしょう)に似たり。若(も)し肖ならば、久しいかなその細なるや。我れに三宝(さんぼう)有り、持(じ)してこれを保つ。一に曰(いわ)く慈(じ)、二に曰く倹(けん)、三に曰く敢えて天下の先(さき)と為(な)らず。慈なるが故に能(よ)く勇(ゆう)、倹なるが故に能く広く、敢えて天下の先と為らざるが故に能く器(き)の長(ちょう)を成す。今慈を舎(す)てて且(まさ)に勇ならんとし、倹を舎てて且に広からんとし、後なるを舎てて且に先ならんとすれば、死せん。それ慈は、以(も)って戦えば則(すなわ)ち勝ち、以って守れば則ち固し。天将(まさ)にこれを救わんとし、慈を以ってこれを衛(まも)る。

現代語訳
世の人々は私の事を「偉大だけれども、愚か者の様だ」と言う。偉大だからこそ愚かに見えるのだ。もし人並みであったならば、とうの昔に取るに足らない人物になっていただろう。私には三つの宝物があって、それを常に大切に守っている。第一に慈しみの心、第二に倹しく暮らす事、第三に人に先んじようとしない事である。慈しみの心があれば、人々のために勇敢にもなれる。倹しく暮らしているから、心広々とし気持ちが豊かになる。人に先んじようとしないから、人々を上手く用いる指導者となれるのだ。もしも今、慈しみの心無くして勇敢であろうとし、倹ましく暮らさずに心豊かになろうとし、人々を押しのけて先んじようとすれば、死あるのみだ。だが慈しみの心があれば人々を団結させて、戦えば必ず勝ち、守りを固めれば敗れる事は無い。天もそんな人々を救おうとし、慈しみの心によって守ってくれるのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。68 へ続く。




ビジネスリーダーのための老子「道徳経」講義
田口佳史
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老子『道徳経』を翻訳してみました。66

2017年11月04日 | 老子『道徳経』
英語と中国語を学ぶため 
老子『道徳経』を 翻訳してみました。
訳に間違いが有りましたら御教示下さい。


第六十六章
原文

江海所以能爲百谷王者、以其善下之、故能爲百谷王。是以欲上民、必以言下之、欲先民、必以身後之。是以聖人、處上而民不重、處前而民不害。是以天下樂推而不厭。以其不爭、故天下莫能與之爭。

英訳文
Large rivers and the ocean are kings of many rivers because they are at the lower reaches. So if you want to rule the people, you should make your speech humble. If you want to lead the people, you should make your body follow them. So when the saint who knows "the way" rules the people, they don't feel any burden. When he leads the people, they don't feel any obstacles. So the people in the world delightfully have him as their leader and nobody hates it. He never competes with others, and nobody can compete with him.

書き下し文
江海(こうかい)の能(よ)く百谷(ひゃっこく)の王たる所以(ゆえん)の者は、その善くこれに下るを以(も)って、故に能く百谷の王たり。ここを以って民に上(かみ)たらんと欲すれば、必ず言(げん)を以ってこれに下り、民に先んぜんと欲すれば、必ず身を以ってこれに後(おく)る。ここを以って聖人は、上に処(お)るも而(しか)も民は重しとせず、前に処るも而も民は害とせず。ここを以って天下は推(お)すことを楽しみて厭(いと)わず。その争わざるを以って、故に天下能くこれと争うことなし。

現代語訳

大河や海が幾百もの谷川の水を集めて河川の王となっているのは、常に下流にあってへりくだっているからである。だからこそ河川の王となれるのだ。そこでもし民衆の上に立とうとするならば、必ず謙虚な物言いで人々にへりくだり、民衆の前に立とうとするならば、必ず自分の身を人々の後にするべきだ。だから「道」を知った聖人は、民衆の上に立っても彼らの重荷とならず、民衆の前に立っても彼らの邪魔とはならない。そうやって天下の人々は彼を喜んで指導者として推戴し、誰も嫌がる事が無い。他人を押しのけて指導者になろうとする訳ではないから、誰も彼と争おうとする者がいないのだ。

老子『道徳経』を翻訳してみました。67 へ続く。




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田口佳史
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