【存在の哲学者】
古代ギリシャの哲学者パルメニデス「BC:520~450年」は、富裕な貴族の出身でした。パルメニデスは、クセノファネスの弟子だったとされています。同時代に生きた人物には、ヘラクレイトスがいました。パルメニデスは、エレア派の首領であり、その創始者です。理性によって、感覚による憶測から、真理が開かれるとしました。そのため、合理主義や論理学の祖と言われています。パルメニデスは、形而上学の創始者の一人とされる、非自然主義者でした。彼は、古代ギリシャにおいて、難解な思想家の1人に数えられています。「存在の哲学者」と呼ばれ、独自の存在論を展開しました。私生活においては、静かで模範的な生活を送ったとされています。
【有】
パルメニデスは、世界には「有」のみがあり、それ以外には何もないとしました。存在「有」とは、有るもので満たされた不生不滅の唯一の全体だとされています。それは、無から生じたものではなく、また無に帰することもありません。そのため、初めも終わりもないものでした。有は、分割が出来ず、一つにつながっています。不可分なひと続きものとして、存在は存在に接し、全体が連続的なものでした。それは、分断されず常にあり続けています。全体的に見れば、世界は、恒常不変で、分散や集合などの生成変化はしません。パルメニデスは、時間は、絶対的なものではなく、それぞれに特定の配置があるだけで、過去も未来も、今現在において同時に存在しているとしました。
【運命】
全ては、不変の運命「宿命」によって定められています。それぞれのものは、運命によって密接に結びつけられ、強く束縛さていました。また、空間的にも、運命によって限定され、特定の場所に配置されています。有は、外側からは、限定されることがありません。パルメニデスは、有を、それ自身で完結した欠陥のない完全無欠なものだとしました。そのため、その外側からは何も必要としません。有とは、恒常不変の一つだけのものです。パルメニデスは、それを中心からあらゆる方向に等しく、均衡のとれた球体のようなものだとしました。
【無】
パルメニデスは、非存在を否定しました。なぜなら、完全に何もない「無」と言う状態は、かつて在ったことがなく、これからもないからです。そもそも無と言う状態から、何かが起きる原因がありません。また、その状態へ移行することも考えにくいことです。そもそも、もし無があるなら、それは一つの有であり、何もない無いとは言えません。パルメニデスは、無と言う存在しないものだから、その名前は語れないし、また知ることも出来ないはずだとしました。ただし、有の中のそれぞれのものには、名付けられた名称があります。
パルメニデスは、思考と有「存在」を同一視しました。それについて思考することが可能なのは、それが存在するからです。また、肉体と精神を同一し、精神的なものを特別視しませんでした。パルメニデスにとっての神は、全体として見聞きし思考する唯一の一者です。この一者が、全体として適切に世界を秩序づけ、全てのものを操っているとしました。
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