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ピタゴラスの「天体音楽説」と「輪廻転生」

2023-09-13 21:26:00 | 西洋哲学

【ピタゴラス】
 ピタゴラスは、サモス島で生まれ、その後、イタリアに移住し「クロトーンの哲学者」と呼ばれました。その後、エジプトに遊学し、幾何学や宗教の奥義を学んだとされています。同時代の人物して有名なのが仏陀です。ピタゴラス自身は、著作を残しませんでしたが、弟子たちが思想を広めました。その思想は、プラトンの「イデア論」に受け継がれています。

【ピタゴラス教団】

 ピタゴラスは「ピタゴラス教団」という一つの団体を組織しました。その教団は、秘密の宗教教団だったとされています。そのため、内部の情報を外に漏らすことは、固く禁じられていました。ピタゴラス教団は、全体の利益のため、共同で資産を管理する「原始共同社会」だったとされています。教団員たちは、お互いに固い友情で結ばれ、禁欲的で清浄な生活を送っていました。教団には、魂の浄化のため、守るべき厳しい「戒律」「禁忌」があったとされています。そうした厳しい生活態度は、ピタゴラス的な生き方と呼ばれました。

【数】
 ピタゴラスは「3平方の定理」で有名な数学者です。数学を研究し「数」こそが、宇宙の基本的な構成要素で、恒常不変の本質だとしました。ピタゴラスは、数学を学ぶことによって、魂が浄化されるとしています。全ての数のうち、ピタゴラスが、最も神聖だとしたのが「10」です。10は「テトラクテュス」と呼ばれてます。テトラクテュスは「無限大」「始まりと終わり」「生と死」などの象徴です。10という数字は、14の基本的な4つの数の合計なので、9までの数字よりも、高い位が与えられました。10からは、新たに事物が始まるとされています。三角形を作る10個の点は、生命を生み出す創造力の象徴とされました。また、ピタゴラスは、音と数の比例関係に注目し、そこから、音階を発見したとされています。

【天体音楽説】
 ピタゴラスの根本思想は、均整と調和の理念です。宇宙には「コスモス」と呼ばれる、調和的に組織された秩序があると考えました。ピタゴラスの宇宙論は、地動説ではなく、天動説です。宇宙にある10個の天体が、各層の周りを回転するたび、調和的な音楽が流れるとしました。それを天体音楽説と言います。もし宇宙に音楽が流れているとすれば、人間は、その音楽を生まれながらに聞いているはずです。ただし、普通の状態では聞くことが出来ません。ピタゴラスは、理性によらなけらば、それを聞くことが出来きないとしました。また音楽も、魂を浄めるものだと考え、そこから、音楽療法を開発したとされています。

【輪廻転生】
 ピタゴラスは「輪廻転生説」を唱えました。全てのものは、変転するだけ、何一つ消滅するものはないと考えたからです。例えば、蝋は溶かされも、形が変わるだけで、蝋自体は無くなりません。 そのように、人間も死んだら生まれ変わるものだとしました。ピタゴラスによれば、魂は肉体という牢獄に閉じ込められた状態にあります。肉体というものは、欲望や感覚に支配された不浄なものです。それに対し、魂は純粋で自由なものとされています。魂は、死ぬことがなく、たとえ一つの住処を失っても、すぐに次の住処に移って生き続けるものだとされました。死後、魂は解き放たれ、いったん死者の国で浄められます。清められた魂は、再び地上に送り返され、別の肉体に宿るとされました。何度も繰り返される輪廻転生は「必然の輪」「運命の車輪」とも呼ばれています。ピタゴラスは、そこから脱することが、魂にとっての救いだとしました。また、この現世を来世のため訓練所だと位置付けています。




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