波の高さ…

鯉幟を見上げていると、その人は穏やかな物言いで呟いた…

「鯉幟を支えているあの棒が、津波の高さなんです…」

大川小学校…

大惨事を伝える報道の中で、その名前は繰り返し繰り返し聞こえた…

門柱に供えられた花の数と同じくらいの幼い命が、あの日のこの場所で消えている…

二つの街…

南浜町・門脇町…
消えてしまった二つの街に建物が建つ事は二度と無く、やがては地図からもその形が消えてしまうのだと聞きました…

一丁目、二丁目、三丁目の、その丁目ひとつごとに百人以上の方々が亡くなり、その命は、今も天国に旅立つ事が出来ず、辺りをさまよい歩いているのだと、街では大人も子供もみんなが話しています…

家を流され、家族を失い、故郷までうばわれる…

僕達が見ているのは、本当に現実の世界なのでしょうか…

五月の風景…

僕の連休は、やがて二カ月目となりますが、世の中の皆々様は、この黄金の一週間をどう過ごされているでしょうか…

ここ被災地でも、遠方から遙々ボランティアに来られる方々、そして、カメラ片手に被災地観光をされる人達をよく目にします…

人それぞれ目的はどうあれ、その目で見た五月の風景を、どうかいつまでも忘れないでいて下さい …