泊原発…

「泊が止まりました…」
そんな、ダジャレのような原発ニュースを、ラジオが得意気に教えてくれた…

おそらく、日本全国の居酒屋では、おっさん達が似たような話で、失笑されたり苦笑されたりしているのだろう…

フクシマのあの日以来、そんな時が来るのだろうと思ってはいたけれど、それが自分の誕生日直前というのも、メルシーな話です…

おかげで僕は、生まれて初めて、原発の稼動していないバースディを明日迎える…

伊達男…

仙台…
この街に住むベニーという旅仲間は、僕が来る度に、なけなしの給料から何かをご馳走してくれようとする…

伊達な男です…

手の数…

千手観音の手を数えたら、982本足りなかった…

飯の時間…

松島町…
遊覧船の投げ餌に、海のカモメはてんやわんや…

そんなハングリーな飛び方をされたら、野鳥の会でも、きっと数えられない…

音の無い景色…

東松島市・野蒜地区…
広大な土地は、未だ水底に沈み、風に晒される喜びも知らずに、遠く遠いいつの日かを、いつまでも待ちわびていた…

慣れ親しんだ鉄道は、山側へと道を変え、その風景がもう戻って来ないという事実が、人々の囁かな希望の灯を、またひとつ吹き消してしまう…

主を失った建物達は、音も無く隔たり合いながら、いつか取り壊されるその日を、やがて静かに迎え、そして、消えてゆくだろう…