音景色…

そのオルガンの音色は、切なく、懐かしく、物悲しく、たった一枚の投げ銭で四曲も聴いてしまった事が、今更ながら申し訳無い…

席を立つ僕に深々と頭を下げるその人が描いた音のある景色は、写真ではとても伝える事が出来ない…

鯉幟…

石巻市…
商店街を歩いていると、鯉幟の飾りつけをしていたので手伝わせてもらっちゃった…

様々な人と、笑い話しながら作業をしたその時間も、僕の旅の景色の中に深く刻まれてゆく…

祝…

蝦夷森の牧場で大変お世話になったご家族がいる…

僕に、乳の搾り方を丁寧に教えてくれたその御長男が今日結婚、遠くの空から御祝いする為に、あまり飲めないお酒を昼から呑んだ…

速達で送ったハガキは、無事に届いただろうか…

新しい命…

今日、小さな九州男児が生まれた…

博多の友人から届いた知せには「今朝7時12分2720g男」と書いてあった…


僕が生まれたその日にも、こうして人々が喜んでくれたのだろうか…

僕が生まれたその日にも、誰かの命が何処かで消えたのだろうか…

そして、僕がいつか死んでしまうその日にも、新しい命が、きっと何処かで生まれるのだろう…

紅い靴…

その長靴のかたわれを探して辺りを歩いてみても、見つける事はとうてい出来ない…

紅い長靴も、その靴を失った女の子も、きっときっと寂しいだろう…

一人ぼっちの寂しさを、僕らは知らずに生きている…