棚からぼた餅--岩淵龍王丸

信州の山郷での暮らしと、絵本と無縁になってしまった大人に向けた創作絵本や、芸術活動をお話します。

映画 ほたる

2015-11-07 09:39:39 | 山郷の暮し
昨夜の晩酌タイムにあてもなくTVチャンネルを変えると、高倉健特集で「ほたる」が放映される。
名画だと聞いたことはあるが鑑賞するの初めてだ。


映画「ほたる」は知覧特攻隊で生き残った主役・健さんと、韓国籍で戦死した特攻隊員の関係が織りなす話だ。
話が進むに従い、ゆるみきった涙腺と鼻水をそのままに、晩酌をする。
「きたねーなー」とおっしゃる前にお聞きください。

といいますのは10年以前に酒飲み仲間と「河岸を変えて飲むか」的な気分で薩摩旅行をした。
その折、私は全く知らなかった「知覧特攻隊記念館」に行き、それまで飲んだイモ焼酎が涙となって流れ出してしまった。
と、オーバーな表現だが私はそお言いたくなるほど衝撃を受けたのです。

特攻記念館といってもその性質上 遺書や日記 がガラスケースに展示されているだけだが、それらを読んでいるうちに体が硬くなり涙をこらえるのに必死だった。
近くで読んでいた女子高生の嗚咽が聞こえると、もーー我慢が出来きなかったことをありありと思い出したのだ。正直 こうして書いている今もグッときてしまいます。

20歳前後の若者が死出の旅にでる直前の言葉なのである。
検閲という理不尽(戦争そのものが理不尽だが)の中で、感情を抑えながら精いっぱ「生きてきた証と感謝」を綴った数々だ。
私がいくら書いても仕方がないので是非記念本を読んでほしい。

蛇足ですが、会館内部にゼロ戦が展示されており、そのお粗末な飛行機に一層腹が立ってきた。

話を映画に戻しますと、物語が後半になると特攻で戦死した戦友韓国人の遺品をもって韓国にわたる。
当然「いまさらなんだ!!」と激怒されるが、国や民族を超えた 人間愛 に心を開いてゆく。
この映画の主題は 生命の尊厳と人間愛 だと感じる。
ラストは漁夫である主役が乗っていた老船を燃やすシーンは、まさに戦友たちや人々の荼毘である。

ついでですが、健さんの女房役・田中裕子さんの控えめな演技でありながら存在力のある様に「この人ならばこそ」と。
そして「美しい」と感じた。

久しぶりに心満ちた晩酌タイムでした。

ryusun

つぶやき

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子供たちに向けたというより、内なるものを呼び覚ます大人への絵本