内海 聡
患者について
私にとってすべての患者は等しく嘘つきであり等しくジャンキーである。彼らの行動パターンは常に決まっており、クスリをやめるクリニックであるうちの患者であっても例外はない。というよりうちのようなクリニックであるからこそ、その行動はより先鋭化されて映ることになる。最も多いのはもちろん精神薬であるが、精神薬以外でもすべてのクスリで似たようなことが必ず起こる。ステロイドやホルモン剤なども同種なので典型的である。
西洋医学におけるすべてのクスリは対症療法であり、病態を押さえつけ、病態をこじらせ、最終的にすべて悪くするという点で共通している。しかしジャンキー患者であるニホンジンたちは、そのようなことは決して考慮せず「その場良ければすべてよし」「症状がなくなればそれでいい」「楽になれれば後はどうでも」しか考えることはない。もちろん実践することもないので、何かの症状が出れば必ず西洋医学のクスリを使う。これほどまでにアホな種族はいないのかもしれない。
その症状が怒るのはすべて理由があり原因があり、いうならばその患者たちがクスリを飲んできたツケであり、すべての生活がオワッテイルという証であり、食生活がアホすぎるという証であり、思想のすべてがジャンキーでその場しのぎ、症状を消せ、それしか考えない目先の利益頼みの表れでしかない。言い換えるならジャンキー患者たちは「クサいものに蓋」が最も得意であり、努力などしもしないのにしているふりをするのだけは一人前である。
彼らは必ず様々な言い訳をする。
「症状が苦しいからクスリを飲むのはしょうがない」
「仕事を続けるためにはクスリを飲むのはしょうがない」
「落ち着くためにはクスリを飲むのはしょうがない」
「家のトラブルをなくすためにはクスリを飲むのはしょうがない」
「周りにいわれるからクスリを飲むのはしょうがない」
「体がしんどいからクスリを増やしてしまった」
「病院はおかしいとわかっているけど検査に行った」
などといった具合である。彼らはいつもわかっているという嘘をつくが、実際には何もわかっていない。彼らに幸せや健康が訪れないことなど当然でしかない。
彼らジャンキー患者は苦痛を克服するということを知らない。
苦痛の原因を考えるということも知らない。
生きるうえで何が最も重要かを考えることも知らない。
その苦痛が生きるうえで必要であることも知らない。
その苦痛が自業自得であることをも知らない。
彼らはジャンキー患者は真の意味での努力も知らない。
そして永久不滅に嘘をついていることさえ気づかずに生き続けるのだろう。