十二月八日
・中心が病んで居るのを隠しつつ六十五歳の冬に入る
・荒波を選びて寄せる鰰(はたはた)のDNAなど神の魚なり
・吾子二人この年共に大過なく息災にての暮らしに安堵
・末娘呑気症からイレウス病みてやせ細る身を案じて暮らす
・梢(うれ)に咲く白雪の花満開に凍てつく日々をせめて楽しも
・この年も長女背負いて歩き居り齢(よわい)重ねていつまで保(も)つや
・ハンディ持つ娘(こ)の行く末を案じつつきょう一日も綱渡りする
・輝きし時代の家に我育つ主代わりて狐穴となりぬ
・賢治画を時折眺め息を吐く創造の神背後に坐(おわ)す