海南市井田の鍛冶屋 3.

和歌山県海南市井田の鍛冶屋
村の鍛冶屋であった祖父は、
和歌山県秋津川村(今は、秋津川)の刀鍛冶の師について
修行したというブログを書いてきました。

職人の"命"として大切にしているものとは何でしょうか。
なんだと思いますか?

それは@@です。
親方、師匠から伝えられ、またゲンコツをもらいながら
厳しく仕込まれる過程で得た命の言葉、それが口伝です。

大事なのは、技術じゃないとこの歳になって思います。
いくつ口伝(活かすことができる)をもっているか
身につけているかという事です。
それが大事なんだと考えています。

ですから武術家はあまり教えたがりません。
極意、秘伝、口伝をです。

鍛冶屋は、鎚をふるい続けます。
祖母も向う鎚で手伝います。
鎚を持った方は(向う鎚)わかると思いますが
日本刀どころの重さではありません。(私の使っていたのは鞘を払って1.25ｋｇ）
それを毎日振り下ろしていて
鉄を鍛えて
では手は疲れないのでしょうか？

多少は疲れますが、
筋肉痛にはなりません。それは何かコツがあるのだろうか？
あります。
ただしコツという類のものやテクニックではありません。
コツとかじゃないのは、すぐその場で教えられてほぼ
だれでも出来るからです。
スグというのはちよっと語弊ありかもしれません、
しかしできます。
応用としては、
のこぎりで木を切る（木材）とか、
のこぎりで石やレンガや鉄を切るとかでも
全然平気できれます。
筋肉痛なしです。

合気道の先生レベルならだいたい知っている技術です。
つまり手力を使わないのです。
正確には手の力を極力少なくして（ホールドする程度の力）
それをアシストしつつ別のところから物理的に力を使うというものです。
「氣」とかそんなまやかしではありません、
きちんとした技術です。
どんな不思議な手品でもタネがあります。
タネは、無料公開のモノから数千万円のネタまであります。
超能力は物理の支配する手品の世界にはありません。

それと同じで
武術の世界には表に出ない技術（秘伝）というものがあります。
それを言っているわけです。

しかしそんなものは「ない」と思われる方は
このブログ内容は無視してください。

本題に入ります。
祖父は和歌山県最後の野鍛冶でした。
今は和歌山県には野鍛冶はいません。
ということは、職人さんが消えていけばいくほど
伝承されるべき「技」「秘伝」「口伝」も
失伝していくということです。
本当にもったいないことです。