《基本Ⅰの応用》
基本Ⅰとは、
鴻心館合気道で初心者が行う、
これだけは外せないという基本の学びです。
その中で
立ち姿(結立)
立姿から正座へ、そして"礼"をしてから立姿へ
という所作があります。
立ったり、座ったりすることの中に
実に多くの身体操作の鍵があります。
そういった所作を重要視して
教えることや、口伝は現在ほぼ失われ消えています。
茶道でのこの基本ともいえる立ち姿、正座などの所作は
室町時代(東山文化)に完結、完成されました。
武術の中での正座や立ち姿というのは
直接に武術に関係のないことだと思われがちです。
しかし、それは早計であると言えます。
(つまり統一体を無視している軽視しているからこそ言えることだから)
お茶の稽古では、
それがよくわかるのは
両手に茶器(お茶碗・棗)をもったまま立ったり、座ったりする場合。
その際に基本Ⅰがきちんと理解して体現できていれば
グラつかずしかも安定してスーッと立ったり、座ったりが可能です。
それも完璧にです。
私も17歳から表千家流を稽古してきていますが
24歳には不審庵家元講習(1週間の泊まり込み稽古会)終了
していますが、
この立ち方や座り方というものはお茶の世界では教わった記憶が
まったくありません。
でも武術からみれば
本当は、これが無茶苦茶大事です。
姿勢を制御するのは根本中の根本であるし
基本中の基本だからです。
ちなみに、
以下の茶道の本(2冊)から立ち方に触れているところを紹介します。
『はじめての茶の湯』
表千家家元 千 宗左 主婦の友社
その28ページから以下引用しますと、
「立ち方
座った状態から立つとき、表千家では『一束立ち』(いっそくだち)という立ち方をします。
両手を膝に置いたまま腰を浮かせ、両足をそろえたままでかかとを立て、
ゆっくりと立ち上がります。このとき、
上体が揺れないように注意してすっと立ち上がれるようにしましょう。」 引用終わり
『基本の稽古』
(表千家流)指導堀内宗心
世界文化社
その11ページから引用します、
「座っている姿、立ち姿が美しくても、
健康な人がよっこらしょといった感じで立ち上がったり、
立ち上がるときにふらついては、立ち振舞いが美しいとはいえないのは当然である。
すなわち『立ち上がる』の要点は、座っている姿勢から、いかに安定感のある動作で
スムーズに立つ姿勢に至れるかである。
腰を浮かせるときに、背筋は伸ばしたまま、前のめりにならないようにすること。」 引用終わり
以上の書だけに限らず
他の書も同じような感じです。
簡単にサラッと書いています。
立つ、座る動作はもはや当たり前すぎて
その中に身体操作に関するお宝が眠っている事に氣づかないのも無理ないことです。
武術の専門とするところです。