著者村上明子は国連に勤務後、2013年よりOECDセンター長を務める女性である。
国際結婚をし海外生活も長い。
極めてアグレッシブな考え方をしている。
しかも本著は2016年に出版された。
これは、以前の社会の夢物語ではなく、今現在日本が取るべき姿勢をきっちり考えたという事だ。
豊富な統計を駆使して世界の労働人口の推移、日本人の学歴と職業との関係など、細やかに現状を分析している。
本の骨子は、相対的に見て、日本人の学力は高く、中高年の職業能力は抜群で、日本のイノベーションの実力は非常に高いという事だ。
それでも、世界に先駆けて少子高齢化の崖っ淵に立った日本の希望が、実質どこにあるのか、私には分からなかった。
条件的に見て良くても活かせる場所がないと思った。
そして最終章を読んで成る程と思った。
同時に今社会全体で進められる風潮について(かなり抵抗はあるが)、頷けた。
優れたスキルを持つ人材の有効活用、定年制廃止によって、又テクノロジーを駆使する事で道が開けると言うのである。
私は日本はこれからの世界の先駆けモデルとなり得ると言う事と捉えた。
分かりやすい解釈をすれば、少ない人口であれば当然機械を活用する必要がある。
幸い、高齢者の熟練したスキルや現役の潜在的能力が日本にはある。
必要は発明の母という。
ここでテクノロジー大国としての日本の将来を描く事が出来るのだ。
更にグローバル化を推進して、イノベーションを世界で共同開発すれば、日本人はそこで活躍する事が出来る。
要する明るい未来社会を想像するならば、テクノロジーを自由に動かす生き生きとした全世代的な共同社会という事になる。
ならば、スキルの無い人はどうするのか?テクノロジーの暴走は無いのか?逆に片寄ったナショナリズムに陥る恐れは無いのか?
と自分の中に疑問は一杯ある。
最近述べたブログでしみじみした緩い社会を懐かしんだが、それらの痕跡も無くなってしまうのかと危ぶむ。
しかし、高齢化に伴う定年制の廃止や働き方の自由、よく理解出来るテクノロジーの普及によって、改善される点は非常に多い。
又、国際化を進める必要は平和な社会を目指す意味においてもあると思う。
日本は大昔大陸の一部だった。私たちの祖先には中国韓国始め様々な人種がいる筈だ。
そういう意味で、感情的な人種差別化よりも、何が全世代の益となるかを考える方が利口だと思う。
それはどの国にとっても同じで、純粋無垢の何国人などこの世にいるのだろうか?
著者のおおらかでスケールの大きな考え方は希望を与える鐘の音に思える。
読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️
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