読書の森

愛してるから その4



お互い休みの日が違う為デートはなかなか実現しなかった。
最初のデートはおままごとの様なものだった。
実際に、美味しいランチを繁華街のレストランで食べて、街を歩いて終わりだった。
その間覚は無口で不機嫌そうだった。

櫻子にしてみればステデイな相手を見つけ、大人の階段を登りたいだけである。
遊び好きな覚みたいな男は結婚には向いてない。
彼女は結婚にそれ程夢を抱いてない。
不仲な両親に育てられ、夢を持てない状況だった。
本のスペシャリストになるという意気込みで就いた仕事に充分未練もあった。
覚との結婚願望は無かったのである。

覚は、豪華な料理の支払いをしてくれただけで優しさの欠片も見せない。
これほどすげなくされると、櫻子は自分の考えを彼は見透かしてるのでないかと思った。
なら、何故忙しい中会ってくれたのだろう。



デートの翌日から櫻子のスマホの調子がおかしなものに変わった。
友達にメールしようと思ってもメール機能が作動しない。

SNSで男性のフォロワーのリツイートしようとしてしても上手くいかない。
「スマホが乗っ取られた」と彼女は思った。

櫻子は思わず覚に電話した。

「ねえ、聞いてくれる。私のスマホの調子おかしいの」
「それで、どうして僕にそんな電話かけるの?」
「あなた、メカに強いじゃない。
私のスマホ見てもらえないでしょうか。お願い」
「チョット今会社が忙しいんだ。ダメだよ」
「あなた、私が嫌い?」
「嫌いじゃない。忙しいから」
ガチャ、と電話は切れた。

読んでいただき心から感謝いたします。

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