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新しい会社も経験を積むに連れ売り上げが伸び、待遇が改善された時である。
彼の勤める本店に家電メーカーから説明員が来た。
それが当麻由比だった。
由比は余分なものを削いだ様にスリムな体型になっている。
説明も充分分かり易かったが、気のせいか顔を時々顰め、瞬きが多いのを知った。
緊張感が強いと感じる。
以前には無かった癖である。
多分心の病いの後遺症だと戸田は思った。
以前、向精神薬の副作用の一つに瞬きの激しさがあると聞いた事がある。
由比はまだ治療を受けているのだろうか?
じっと見つめる戸田と由比の視線交錯した。
由比の瞬きが激しくなった。
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その後、戸田は由比の勤務先を訪れてい
る。
仕事にかこつけて由比と勤務先の地下にある珈琲店で話した。
由比は上気した表情で戸田を見つめていた。
その時彼は彼女の住所と携帯のアドレスと電話番号を職場用の携帯にインプットした。
何度かたわいないメールのやり取りがあった。
職場の携帯はチェックはされるが自宅に持ち込んでもいい事になっている。
梨沙は帰宅後の夫の持ち物を必ず点検していた。
勿論スマホも彼が入浴してる間に見た。
そこで梨沙は由比の存在を知ったのである。
梨沙は非常に嫉妬深い女だった。