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読書の森

おヨネとモルガンお雪ー熱愛された女性たち

鬱陶しい雨が降り続くこの頃、本日はガラリと気分を変えて、大金持ちの外国人の「玉の輿」に乗った明治の女性についてお話します。




最初にご紹介するのは、かの瀬戸内寂聴さんの故郷、徳島生まれの「おヨネさん」です。

楚々とした美人の彼女を熱愛したのがポルトガルの名家の生まれ、1898年神戸大阪ポルトガル領事になったデ-モラエスです。

彼は文学者、生物学者、かつ軍人の肩書きを持つ方で背の高い当時のイケメンだった。
お国の女性にもモテた方だったのでしょうが、大阪の芸者だったおヨネに一目惚れ、落籍(置き屋に大金払って芸者を辞めさせる)、同棲、入籍、後に結婚したそうです。
以後11年間睦まじく神戸で暮らしたのですが、哀れ儚くおヨネさんは病没、、。

嘆き悲しんだモラエスは領事を辞して、おヨネの故郷、徳島に渡り隠遁生活を送ります。そこで身の回りの世話をおヨネの姪、コハルにしてもらう内に愛するようになり一緒に暮らすのですが、、コハルも結核で夭逝してしまう。

上の写真は故ヨネの親戚と共にモラエスが撮った写真です。

愛する女性を次々と失った晩年のモラエスは非常に悲惨だったそうです。
背が頭抜けて高くボロボロになった古着を身にまっとった彼が徳島の街を彷徨うと、「ドイツのスパイ」とか「気狂い」とか罵られ、石を投げられる事もあったとか。

瀬戸内寂聴さんの随筆に、幼い頃出会ったモラエスを見た経験が載ってます。それによると彼は乞食みたいなボロを身にまとい、ヨタヨタと彷徨う可哀想な爺さんだったそうです。危ないから近寄るなと周りの大人から言われてたとか。
高齢による痴呆症なのでしょうか?とても可哀想だと思います。

モラエスは1929年、75歳で徳島の街で哀れな最期を遂げました。
日本を紹介した彼の著作には見るべきものが多く、死後、神戸や徳島に彼の碑が建ってますが、生きてる内にその功績を認めてあげたら良かったのに、と思われてなりません。



次に紹介するのは、これぞホントの玉の輿に乗った富豪(一時的なモノですが)女性、モルガンお雪の話です。

彼女は祇園の芸妓としてお座敷に出た時に、当時のアメリカの代表的な財閥モルガン一族のひとりジョージ-モルガンにこれ又一目惚れされるのです。
上の写真を見ると大人しそうな女性だけど、「これが一目惚れ?」と思う方が多いと思います。
しかし、この若きジョージ-モルガンは、失恋した直後で傷ついてたし、(私の考えでは)これ幸いと財産目当てで近寄る女性たちに辟易としてたらしい、そこで物静かでエキゾチックな日本女性に強く惹かれたという事です。お雪は祇園芸者の中でも上品かつ無口で彼女の弾く胡弓の音は客の心を大いに癒したそうなのです。

可憐な美人歌手に超有名人が惹かれるのと同じ理屈と私は思うのですが。

1904年に落籍された彼女の身請け金は現在の8億円相当だったとか(╹◡╹)。モルガンの強い要請で即結婚します。
そこから金に目が眩んだ女とか非常にスゴイ悪口を内外で叩かれたそうです。(実は当時の彼女好きな人がいたのでモルガンに諦めてもらう為法外な金額を要求したのですが)
彼女は夫以外に頼る人がいない状態で、パリで結婚生活を送った。言葉も通じないしさぞかし大変だったと思います。
ところがこの夫が1915年客死してしまうのです、、。


上はお雪がパリ社交界の花と言われた時代のもの。
かなり結婚前と印象が違います。心無い噂に鍛えられ、慣れない言語や習慣を身につけて、相当に「強い女」になったらしいです。

この彼女は未亡人としての遺産やモルガン家からの給付金を守って何をしたか?
それが愛する人(モルガンじゃないインド系の軍人)の夢を叶える事です。
かって読んだ本によると、彼の研究資金を出して、かつ信仰を共にしたとか。

しかしこの男性にも先立たれて、年老いたお雪さんはふるさと京都に戻って全財産をカトリック教会に寄付して穏やかな晩年を過ごしたそうです。

明治時代の日本女性には外見はごく大人しいけど気骨のある人が多かったようです。




上の写真はお話と全然関係ない料理であります。
鶏の骨付き肉を、醤油、砂糖、酒、酢、味醂、生姜ニンニクのみじん切り、ネギのぶつ切り、水(割合はお好みで)を煮立てた汁で弱火でコトコト煮込みます(長い方が味が良い)。
この日は干し椎茸を戻し汁と共に入れました(味が良くなります)。

煮汁を取って置いてゆで卵を煮た煮卵、これがとっても美味しいです♪(私好みなのです)。

美女の話と全然無関係な日常の食事が愛しいこの頃です。

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