殺人的な気候が列島を席捲していて、このまま茹でガエルになってお陀仏かしらと我が身を案じてます。
皆さん乗り越えてらっしゃるようで何よりです^_^
今日はポッポしてる頭をクールにして、ミステリーのお話をします。
アガサクリスティの『検察側の証人』は人気もあり、作者お気に入りの戯曲です。
短くて読みやすく、あっと驚くドンデン返しが何と3回あります。
ただし、相当な残酷物語なのです。
人生の黄昏迫る大金持ちの老婦人とピチピチと若いイケメン、偶然に街中で出会い親しくなっていく。
何かと親切にしてくれる若者を気に入ったおばあちゃん、血迷ってしまったのか「彼と結婚した〜い❣️」と言い出す。
さらに莫大な財産全部が若者に殆ど渡る遺言を書いてしまう。
そして、、、ある晩老婆は何者かに襲われて殺されてしまった。
他に疑わしい者もなく、若者が容疑者として警察に捕えられ、裁判になる。
若者が助かる道は一つ、妻の証言でアリバイが成立する事。
年上だがしっかりした美人妻を彼は信じ切って自分は絶対助かると言う。
いかにも人の良さそうないい男、周りの女性は「彼程良い人いないんです。人殺しなんかする訳ない」と言ってる。
ところが、美人妻は実は籍に入っておらず、別の男の籍が抜けてないらしい。さらに若者に絶対不利な証言を平然とする。
そして、、この証言の矛盾が暴かれ、若者は無罪判決と遺産を勝ち取った。
さらに、、。
ここで以前紹介した蒼井上鷹のショートショート『あなたは何を信じますか』で証言によって裁判官の心証が変わった事を思い出します。
又、松本清張の『一年半待て』も連想しました。
両方とも限りなく疑わしい容疑者がシロもしくは過失致死と言う判決を受ける話。
「一旦判決が確定した場合、被告人の不利益になる再審は法律で認められてない」のです。
これを法律用語で「一事不再理」と言います。
つまり、これを意図的に「悪用」しているのです。
『検察側の証人』はこれを狙った犯罪というところまでネタバレにしておきます。
つまり、この人の良い(?)若者にとっては「バンザイ」の結末を迎えた筈でしたが、、。
こっからのドンデン返しが怖いし、如何にもクリスティらしいです。
クリスティ作品に限らず、ミステリーと心理学はとても深い関係にあります。
ただし、あまり穿った心理劇はミステリーとしては面白くないみたいです。華やかなメリハリのある心理劇と言えばクリスティに限る、と思う私も古いです。