先日、図書館で借りてきた本、面白そうな題名を裏切らず、思わずニヤリとしちゃう逸話ばかりでした。
著者の進士素丸(しんしすまる)は1976年生まれの多才なクリエイターです。
ふざけた感じの題名で、面白過ぎる文章(文学的と言えない)ではありますが、内容は著者が正確な文献資料を調べ上げた挙句に執筆したものです。
尾崎紅葉、幸田露伴、夏目漱石、芥川龍之介などなど、今に残る著名な作家の、楽しい逸話ばかり、よくもこれほど集めたものだと感心致しました。
さてこの菊池寛先生、ご存知雑誌「文藝春秋」の創刊者であり、芥川賞、直木賞の設立者であります。
この人がいなかったら、今日の日本の文学界は全然違うものになっていたでしょう。
もともとはこの人、一高(東大)に入った秀才であり、純文学を最初書いてた人です。
ほぼ同期に芥川龍之介がいて、その天才ぶりに自分の文学の限界を感じたところから、大きく方向転換した様です(私感)。
この人、義侠心に篤い人で、自分も貧乏なのに困っている他人の盗みの罪を被って一高を退学となってしまいます。
「彼をここで腐らせてはならない」と友人の父親(銀行副頭取)の援助を受けて、別の高等学校(京都の三高)へ進み無事卒業します。
さて、彼は35歳の時「文藝春秋」を創刊します。
友人の芥川龍之介、川端康成、など超売れっ子作家に寄稿させた雑誌を格安(よそが一円の時10銭で)販売しました。
たちまち創刊号は売り切れ、さらに特別創刊号を出したところ、11000部の売り上げとなりました。
当時としては超人気でございます。
ここで社員を増やすべく、公募すると700名超える応募者がありました。
自ら出題した採用試験が又面白い。
「麹町、春日町、雑司ヶ谷、八重洲、これらの地名の由来を答えよ」だそうです。
そして正解者は全員採用されました。
一体何人全問正解したのでしょうね?
この人の面白い逸話は事欠きませんが、風采はイマイチだったらしいけど、相当懐の深く多才な魅力を持った人で、彼を慕って集まる人が多かったらしいです。
桜も散り初めて、若緑の季節に変わる、なんて未だ3月です。
今年は例年に比べても春が急ぎ足で通っていく様です。