神戸のとある道筋の古道具屋さん(昔テレビドラマで見た素敵なレトロな家そっくりの外観に惹かれてふらっと入った)、隅っこの棚でゆかしげな雛土鈴を見つけました。
お宝揃いのその店は、引っ越ししたお家などから譲られた不用品を扱うので、非常にリーズナブルでございます。
又、昔懐かしい家具などが置かれてタイムスリップした感覚にもなれます。
そこで見つけたお雛様はそれなりに日本古来の伝統に基づき、男雛が左(向かって右)、女雛が右(向かって左)に位置します。
関西風という意味だけでなく、戦後女性の地位が向上してから男雛が右、女雛が左の形が定着したようです。
結婚式の男女の並びも男性が右になるのが一般的です。
これは日本では伝統的に左上位で、西洋では右上位が常識的な考え方だからでそうです。
男性が女性を庇う形になりますよね。
そんなウンチクはともかく、この優しい顔した一対はとっても何気なくそこに飾ってありました。
このお雛様は比翼の土鈴で由緒書きが付いてました。
これによると雛形に穢れを移して海や川に流して不浄を払う習わしが雛祭りの起こりだそうです。
この土鈴は家内安全、厄除け開運、夫婦和合のお守りだそうです。
(奈良市手向山八幡宮)
私しっかりこのお雛様の小箱を抱いて帰りました。
実は私、お雛様を買ってもらった事がありません。
幼い時に我が家は貧乏のどん底で、私自分で購入する迄持ち家に住んだ事がないのです。自分が幼い頃立派な雛壇でお祝いしてもらった母は持っているコケシを全部飾って、私に見せてくれました。
昭和28年ごろ、小箪笥の引き出しを紅い風呂敷で覆って可愛いコケシを並べてくれたのです。
珍しくて喜んだ記憶があります。
以来、ずっと雛飾りの約束事も何も無知でした。
いつ頃から飾っていいか、いつ仕舞うかも全然知りませんでした。
それでも、偶然のように入手した小さなお雛様は、婆となった私を優しい目で見てくれてます。