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この地震の恐怖を抱えたまま、日成らずして人々は暴風雨に遭う。
災害は重なり、情け容赦を持たない。
ところが、台風の翌日は美しい十五夜の月を拝むのである。
何事もない例年以上に冴えた月だったと言う。
この時、勿論ネットもテレビもラジオも無い時代である。
泉鏡花の筆になる人々の触れ合いや助け合いは濃い人情が感じられる。
助かった家の食糧を分け合い、寝床を貸す。
泉鏡花という人が孤独で人嫌いかと思い込んでいたら、とんでもない間違いだった。
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その頃のニュースは人から人へと伝わる。
故に風評被害も殊更あるが、幸いな事に信じ切る人は少なかった様だ。
曰く「大津波がやがてくる」(地震の後何日も過ぎては来ない)
曰く「もっと凄い余震が来て全滅する」(本震より強い余震は来ない)
と言うように。
泉鏡花は冷静に人々の言葉を描写している。
極めて情趣的な内容を書きながら、冷静な観察眼を持つ。
事実の背景を見る目を持つ人と改めて感心した。
物語は事実をあからさまに書く事では決してないのだと学んだ。
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大地震がいつ来るか、未だ予知は出来ない。
ただ、本著の随筆を読むと、どんな酷い状況の中でも生き抜いていく知恵を読み取れるのではなかろうか。
恐ろしい惨状を見たその目で、名月を愛でる気持ちが大切ではないかと私は思う。
^_^
修行(?)の為暫くお休みをいただきます。
お会い出来る日までお元気でお過ごし下さい!