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読書の森

『わがひそかなる愉しみ』その2

先日のブログ、アンソロジー『わがひそかなる愉しみ』、今日は森茉莉『貧乏サヴァラン』を紹介します。




内容は孤独な夢見がちなお婆さんのお料理のお話。
この方、卵料理が大好きみたいで、それはそれは美味しそうなレシピが載っています。
例えばオムレット・オ・フィーヌ・ゼルブはただパセリを刻んで入れただけのプレーンオムレツですが、この人の筆にかかると素晴らしく上等なご馳走みたいに思えます。

「銀色の鍋の中に、透明な湯が泡をたてて渦巻いていて、その中に真っ白な卵が浮き沈みしている。それが楽しい」(原文)
なんの事ない、ゆで卵です。
「フライパンを左手に、右手でバタを落とし、卵を割り入れる。
しばらくして箸で軽くかき混ぜ形をこしらえていく。卵がみるみる楽しい黄色の、ふわふわしたオムレツになっていく。
それが楽しい」(原文)

ただのオムレツなのに、美味しそう!

森茉莉さんは文豪森鴎外の長女です。鴎外は彼女を目に入れても痛くないほど可愛がって、相当お父さんっ子だったらしいです。
お父さんが有名な料理店に連れて行ってくれ、美味しいご馳走を食べ、舌が肥えた方です。

ただ、鴎外の死後は不遇をかこち、文筆による僅かな収入で粗末なアパートで暮らしていたそうです。
可愛い頭の良い女の子も歳老いるとただの老女です。鴎外の娘だという誇りも貧乏だと何の価値も無い無いどころか、暮らしの邪魔になったみたいですね。

それでも誇り高く(逆に考えれば鼻持ちならぬ見識の高さで)彼女はお一人様の老後を生き抜いたようです。



彼女、料理は好きでお上手だったらしいけど、片付け下手で散らかし上手(?)部屋の中はたいそう汚かったそうです。
かなりガクッとするものがあります。

こんな話を聞くと、やっぱり私気になります。ゴミこそせっせと処分してますが、毎日ザッと掃除して、お風呂掃除も時々ザッとするだけ。
しかも掃除機が重いので(スティック式でも)昔ながらの箒で掃いてます。

近眼だから、小さなゴミは逃してるかも。なんだか恥ずかしい。

掃除好き、清潔好きのブロ友さんのお話を参考に、先ずは台所から。鍋磨きから始めようと思いました。(今思ってるだけですが、移転するにしても飛ぶ鳥跡を濁さず、という形にしたいです)。
それにしても歳をとればとるほど、掃除となると腰が重くなるみたい(^ω^)


又キーマカレーを作りました。
ゆで卵を添えて、パセリをご飯に振りかけると色どりが良くなりました。

なお、パセリは市販のチャック袋入りの粉パセリを瓶に入れて使ってます。量もモチもこちらの方が良いみたいです。

森茉莉さんの人生、以前は「惨め〜(°▽°)」と思ってましたが、このご時世になると「立派なおひとり様かなあ」と思うようになったのです。






読んでいただき心から感謝いたします。

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