小学生の頃、グリム童話集やアンデルセン童話集をよく読んだものでした。
どちらもお話が盛りだくさんで飽きることはありません。
グリムの『白雪姫』、『赤ずきんちゃん』など、ストーリーはすっかり覚えてしまいました。
ただ、私はどちらかというと世俗的に感じる(めでたしめでたし、勧善懲悪の)グリム童話より、アンデルセンの方がより浪漫に満ちてる感じで好きでした。
アンデルセン代表作『マッチ売りの少女』や『人魚姫』に見られるように、哀しい悲劇が多いのです。
作者自身が幼少時に父の死によって極貧の境涯に陥り、長く困難な道を通ったためもあるのでしょうか?
勿論私は日本語でしか読んでませんが、美しい文章で吸い込まれていく感じです。
この『絵のない絵本』を読むとその文章の美しさが心に染みます。
貧しい絵描きに、天から月が話しかけ、世界中で起きた出来事を短い物語にして届けてくれるのです。
絵描きはその物語の語り部となります。
全33話あります。
19世紀初頭の古きヨーロッパ、アジアを舞台にして、小さな物語が続きます。
とても読みやすく、瞬時に古にタイムスリップできます。
このような昔の本を再度手にしたのも、ここに描かれた豊かな空想力、想像力が今の時代に心を癒してくれるからでしょう。
これは子供の世界を描いたりしてはいますが、大人の心に響く童話です。