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先日図書館で借りた本、内容が多方面に渡りすぎて、まとめるのに躊躇してました。
『大江戸なんでもランキング』は江戸時代の、政治、事件、天災、有名人、美人などなど、をランク付けしたものです。
今も豊富に残る江戸時代の文献資料に記されたデータを基本にしてます。
かなり、複雑で大変そうです。
もっとも、江戸時代の人たちは、おかずや所帯道具まで番付を残していて、著者はかなり面白い作業だったと言います。
江戸の人々はかなり「噂」好き、つまり「情報」好きだったらしく、スキャンダルのランク付けまでしっかり残っているのです。
どこから、紹介しようか、ウロウロしてましたが、「儲かる商売」のランキングと「正しい妻、悪い妻」のランキングにしました。
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相撲の番付表に見立てますが、儲かる商売の一位はなんと飛脚です。
情報伝達の需要拡大により江戸時代に飛脚、即ち通信配達業は労働の過酷さに見合った高給で優遇されたようです。
以下、2位 呉服屋、3位 廻船業者(江戸時代は水路の方がものを大量に運べたからです。今でいうと宅配業者です)4位 米屋、両替商(当時の相場はコメの石高でした。両替商は今の銀行です)、5位 唐物屋、造り酒屋(舶来のブランド品の店、酒造業)。
ということで、日本人は昔からファッションやブランドに弱かったのでしょうかね。
それにしても、現代との共通点が多い事に驚きます。
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さて、興味津々の当時の理想の妻像。
男性のみが選んだ男性のための「女大学番付」によると、気絶しそうな文言が並んでます。
1位 家内をよく守る女房、子を設ける女房。 2位 姑に孝行の女房、仏事を営む女房。 3位 礼儀を守る女房。 4位 万事夫の指示に従う女房 5位 操正しき女房。
「本気でそう思ってたのでしょうね」
更に見ていくと9位になりふりかまわぬ女房が入って、10位に小遣いまで(勿論奥さん自身のものでしょう)倹約する女房、とくるのです。
勝手すぎると怒るのはまだ早い。
悪い妻のランキングが待ってます。
1位 子なき女房(お家第一の時代です)。 2位 義理の子を邪険にする女房。
3位 亭主を尻にしく女房。 4位 悋気深い(嫉妬深い)女房。
5位 針仕事の出来ぬ女房。
ですって。
さらに下位を見ていくと面白い。
8位が流行ものを欲しがる女房 10位 元のXXXXにして出せという女房(これは実際にいっぱいいたのかしら)
読後笑い出すほど、亭主の言い分は勝手です。
きわめつけは「よその亭主を褒める女房」で、悪妻のランク付けにちゃんと入ってます。
私は経験者じゃないので分かりませんが、少なくとも江戸のおかみさん連中がこんなの守ってたとは到底思えません。
それでも、ひょっとしたら、現代の男性の深層心理の中にもそんなランク付けが潜んでるかも知れません。
どうなんでしょうか?
ともあれ、とても興味深く、楽しい本でした。
追記:
かなりリラックスしてランキング紹介してしまいましたが、この女大学、冗談ではありませんよ。
なにしろ江戸時代から大戦前まで、不倫でさらし者になり立ち直れない刑罰を受けるのは妻とその相手だけで、夫側はいくらでも浮気が出来たのです。
そういう土壌への反動が今あるのでは?と思います。