読書の森

川端康成初恋小説集 最終章



初代はその後カフェの支配人と結婚した。
子を成して後、夫が病に倒れた為、カフェで働き女手一つで一家を支えた。
かなり逞しい女性である。

ひょっとしたらであるが、彼女は川端が自分一人で描く無垢な乙女像に嫌気が差したのでないか。

教養も生まれも違う学士の求婚に俗世間の愛と違うものを感じたと思う。

川端が後年それをどう捉えたか知らない。

ただ、市井の垢にまみれた男より、学術優秀と言われる男の方が女の気持ちには鈍感なのではないか。



川端康成の作品の価値はこの事と全く別の次元にある。
又優秀な男性の特質が損なわれる訳でもない。
私自身も思い込みの多い恋ばかりしてきたが、それで想像する楽しみを養ったと思う。

ただ、相手を対等に扱わず、自分のペースで結婚を決めて行くと、かなり相手はしんどいと思う。

一緒に暮らす相手には何でも相談して欲しいし、一緒に事を進めて欲しかったのでないか。



初代の別れの手紙の「非常」、言葉を知らない彼女がわざと使ったと思う。
意味不明の言葉を使えば相手は傷つく事はない。

さて男が出来たのだの、陵辱されたのだの、川端の友人は騒いだが、そんな事でない。
一方通行過ぎて嫌気が差したのだ。

後年の逞しい彼女にとってお人形のような扱いは不満だったと思う。

そういう意味で女は魔物である。

読んでいただき心から感謝いたします。

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