兵庫県の姫路市教育委員会は1月31日、市埋蔵文化財センターが財務会計を改ざんし、未完成の発掘調査報告書の印刷料金として計約330万円を印刷業者に支払っていたと発表した。原稿が間に合わず、担当者が当該年度中の予算執行が必要と考えたという。原稿は現在も未提出のままで、報告書は発行されていない。館長も事実を把握していたといい、市教委は関係者の処分も検討している。
市教委によると、報告書は2022年度に実施されたJR姫路駅周辺土地区画整理事業に伴う発掘(約200ページ)と、網干地区の遺跡発掘に関するもの(約650ページ)で、各300冊の発行を予定していた。
23年3月末に発行されるはずだったが、担当した主任2人の執筆が遅れたため、市内の印刷業者に虚偽の委託業務完了届を出すよう依頼。印刷されないまま、委託料を支払った。
年度内に業務が完成しない場合、翌年度に会計を繰り越すことができるが、館長は「年度内にしなければいけないと思っていた」と釈明しているという。市教委の平田貴洋・教育次長は「市政の信頼を損ね、おわびする」と陳謝した。
市教委は、そのほかの報告書の発行状況についても調査するという。