随分前のことになるが、日光を周遊する外国人向けツアーに参加したことがある。
基本的に外国人向けなので通訳ガイドが乗り込み、日本全般について面白おかしく話し、また
添乗業務もこなすというのを間近で見て
見るは天国、やるは地獄の一面もあるだろうなあと思ったのを思い出す。
まずはガイドが行程を案内しているさなか、質問しまくる中年女性がいた。
一番前から二列目の席に座っていたのでガイドにあれこれと質問しやすかったのかもしれないが
トイレ休憩や日光の概要を案内中に
この方は「あれはどこのビルか?」「向こうに見える山の名前は何か?」などと話の腰を折ってばかりで
旅程案内が全体にきちんと伝わらないようだった。(質問は隣にいた方の訳です。)
自分はというと 通訳ガイドがどんなものか知りたくて参加したわけだが、
大した英語の力もないので正直 ガイドが何を言っているのかわからず
なんとなく外の景色を眺めながら 「おばちゃんにガイドさんが絡まれて大変だなあ。」なんて思っていた。
そんな時、後方の座席から声が聞こえた。
「私たちも正当な料金を払っているのだから、全員に向けて案内するべきでしょ。」(隣にいた方の訳)
と怒りの声が。
この中年女性とガイドのやり取りがどんなものか後方の参加者たちには聞こえなく、ただ一人にだけ
マイクを使わず話しているように見えたため勘違いしてしまったらしい。公平性というのは大切な要素だとも思ったが
「なんか板挟みでかわいそうだな。」と思ってしまった。
この中年女性の質問に対してガイドさんは全体に伝えるべき話でないと判断したわけで よかれと思った行動なのに
それが後方の参加者たちには贔屓に見えてしまった。板挟みではないか?
不穏な空気感があったのでその後は全体に静かめだった。
さらに悪いことに、バスは大渋滞に巻き込まれた。確か往路4時間くらいかかり、食事は30分弱で美味しくない。
日光東照宮見学時間が30分だった。
その後華厳の滝へ。だがいろは坂も混雑プラス曇りで何も見えない・・・。
渋滞で見学時間がなくなったのは誰のせいでもないが、なんとなくガイドさんのせいだと言わんばかりの
険悪ムードな車内となってしまった。復路も渋滞で6時新宿着が11時頃になっていた・・・
それでも笑顔で話そうとしているガイドさんはプロだなあと思った。
自分の英語が達者なら絶対にフォローしてあげたのにと今でも思い返すことがある。
「職業意識が非常に高いぞ、通訳ガイドは。そうだこの資格を取ろう。」
この機会が足掛け3年にも及ぶ資格取得の始まりだったのでした。