塩見岳(3,052m) (つづき)
三伏峠から塩見小屋へと向かいます。まず、15分でハイマツに囲まれた2,615mの三伏山に出ます。
雲がやや多いものの、目指す塩見岳の堂々とした姿を見ることができました。
樹林帯の稜線には、幹の曲がったダケカンバも現れます。強風の通り道になっているようです。
2つ目の小ピーク、本谷山(2,658m)を過ぎると、今度は立ち枯れた木が多く出てくるようになりました。
本谷山からいったん標高2,500m近くまで下り、最後の塩見小屋への登り返しがきつかったです。
塩見小屋は、山小屋では珍しく完全予約制になっています。1人分のスペースが確保されるので安心できます。寝床は寝袋でした。
夕方になると、空の雲が目まぐるしく動き、背後にそびえる塩見岳が赤く染まっています。ずっと遠くの方で雲が湧き上がっています。
山が朝焼けで赤くなるのがモルゲンロート、夕焼けで赤くなるのがアーベントロートです。”モルゲンロート”は山の本でしばしば見る言葉ですが、”アーベントロート”は出てくる回数がずっと少ない気がします。
夜になると小屋から夜景が見えます。甲府盆地だと教えてもらいました。
稜線に建つ塩見小屋は、水の確保が大変な山小屋です。暑いだけでなく、ずっと晴天が続き雨が降っていないとのことでした。
夕方になると、甲府の街に雷が落ちる様子が見えるそうです。凄まじい光景に違いありません。しかし、その雨雲がなかなか山まで来てくれないと話されていました。
それでも真夜中に小屋の外に出てみるとさすがに寒く、ダウンジャケットがほしくなるくらいでした。
「~ もっとも遠くにある星からやってくる光は、もっとも遅く人間に訪れる。 ~」(ニーチェ『善悪の彼岸』(訳:中山元)(光文社))
(登頂:2018年7月下旬) (つづく)