((2)のつづき) 千住は、松尾芭蕉「おくのほそ道」の出発点です。元禄二年3月、旅立ちはこの文章から始まります。
「~ 弥生も末の七日、あけぼのの空朧々として、月は有明にて光をさまれるものから、富士の峰幽かに見えて、上野・谷中の花の梢、またいつかはと心細し。 ~」
(『ビギナーズ・クラシックス おくのほそ道(全)』松尾芭蕉(武田友宏・角川書店編 角川文庫))
「~ これを矢立の初めとして、行く道なほ進まず。人々は途中に立ち並びて、後影の見ゆるまではと、見送るなるべし。 」とあるのを読むと、旅の始まりの中に何かの終わりがあるような、後ろ髪をひかれる気持ちが伝わってきます。
これほどの大紀行であれば、最初に眺める山は富士山が一番ふさわしいに違いないと思います。
北千住駅近くの風景印には、富士山の出てくる図柄が多いです。
足立仲町郵便局の風景印です。チューリップは足立区の花、そして桜は足立区の木ですが、桜は芭蕉が旅立ちの時にまた見られることを願った「花の梢」でもあります。
(つづく)