心が満ちる山歩き

美しい自然と、山に登れる健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山・街歩き・温泉・クラシック音楽‥‥

北アルプス・立山 別山から雄山までの縦走(4) 新室堂乗越から剱御前小屋へ

2020年09月22日 | 北アルプス


立山(別山(2,880m)・真砂岳(2,861m)・大汝山(3,015m)・雄山(3,003m))
((3)のつづき)


 「~ 私がテントを張った台地の端の下には、山腹に硫黄が活発に流れる割れ目がある。そこを地獄谷と呼んでいる。硫気孔と白っぽい岩の側面の裂け目とが交互にあって、前者では、噴出する泥と硫黄とが池となって、ぼこぼこと音を立てて活動し、後者では、硫化水素を交えた水蒸気が絶え間なく噴出している。すぐ近くには、清く澄んだ、二、三のかわいらしい湖が、対照的に平和なたたずまいで、横たわっていた。
    キャンプからの眺めは、たいへん変化に富んでいておもしろい。正面、すなわち、西の方には、立山の斜面が広い富山平野に落ち込み、果ては大きな富山湾の青い水に続いている。一方、他のすべての方角には、巨大な山稜の岩壁が取り囲むようにそびえている。その数多くのピークが雪と岩のさまざまな登攀を待っているのである。その主なものは、多くの巡拝者たちの目的地である雄山と、その隣にあって、はるかに登攀困難な剣岳との登攀である。 ~」
 (『日本アルプス再訪』ウォルター・ウェストン著・水野勉訳(平凡社ライブラリー))


 剱御前小屋へは、三角形の二辺を大回りするように、新室堂乗越を経由するコースにしました。途中の新室堂乗越までは、奥大日岳に登った時の道と同じです。
 9月になると花は少ないですが、それでもリンドウやアカモノが咲いていました。ブルーベリーのような色と大きさの実が成っているのも見つけましたが、何の実かは分かりませんでした。
 花の咲いた後でも、秋を迎えても、チングルマの果穂は数が多くて見ごたえがあります。
 飛行機雲がものすごい高度を描いて、立山連峰を越えていきました。9時25分発の、羽田空港へ向かうANAのようです。富山市街の方向は厚い雲に覆われています。雲海の上に飛び抜けた機内では歓声があがっているに違いありません。富山空港便では、離陸直後からこんな景色を見下ろせるのかと思いました。

 なだらかな立山道路を、室堂に向かってバスが登っていくのも見えます。室堂のバスターミナルの向こうには、2,926mの薬師岳が二つの頂上をのぞかせています。
 噴煙のあがる地獄谷の眺望は、何回見てもまったく見飽きないものです。「ぼこぼこと」いう音は聞こえませんでしたが、百年以上たっても変わらない風景がここにはあると思います。ウェストンが立山に登り、針ノ木峠を越えたのは1914年のことでした。
 登山道にライチョウの親子がいました。天気が悪い時に見られると思っていたので、こんな日でも出会うことができて驚きました。晴天の今日はとてものんびりして見えます。ホシガラスも飛んでいます。ライチョウよりずっと俊敏です。







 (登頂:2020年9月中旬) (つづく) 



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