男体山と女体山の双耳峰、筑波山は見る場所によって様々な姿を見せます。
関東鉄道常総線のディーゼルカーで、下館から取手方面へ南下すると、女体山(877m)が左・男体山(871m)が右に見える風景から始まります。
それが、2駅目の黒子駅あたりに来ると二つのピークがかなり接近し、3駅目の騰波ノ江駅では女体山が男体山に隠れ、シンプルな正三角形の山になってしまいます。
地形図では、筑波山は騰波ノ江駅のほぼ真東にあります。
そして、4駅目の大宝(だいほう)駅で、男体山の右側から再び女体山が姿を現した時の安心感が何ともいえません。
常総線沿線の郵便局では、筑波山が多く風景印に出てきます。三坂郵便局と水海道五箇郵便局の、重厚な茅葺き屋根との組み合わせが一番いいと思いました。山の描かれ方も、同じくらいに重厚です。
二つの郵便局は、風景印のデザインが全く同じでした。
JRでは、常磐線の高浜駅から見る筑波山が素晴らしい風景です。二つのピークが鋭角的で美しく、間の距離も絶妙です。そして、ホームの向こうには田圃が広がり、何にも遮られずに山を眺められます。
「~ 昼の東北線に乗る時は、いつも私は筑波山を見るのを楽しみにしている。頂上は二つの峰に分れている。その形が、一番美しく眺められるのは、間々田と小山のあいだである。小山を過ぎて小金井までのあいだでは、二峰の間が開きすぎて、さっきのキリッとした緊まりが無くなる。 ~」(深田久弥『日本百名山』(新潮社版))
筑波山には、取り囲むように鉄道の路線が走っていて、そこからの眺めもなかなかです。
学生の頃は関西で、筑波山は名前しか知りませんでしたが、その後茨城県に引っ越して15年経ちます。毎日見るたびにいい山だと思っています。