今年の初会話が“物乞い姥”とは...

2009-01-04 16:59:15 | Weblog
 三が日も終わり、天気も良いので昼過ぎにちょっと近所まで買い物に出かけた。
 正月でもあり、外には人影もまばらだった。大通りのゴミ置き場の前を通りかかったところで、いきなり声をかけられた。
 見ると、腰が曲がり折りたたみのスチール杖を突き、つばの広い帽子を深くかぶったバアさん(Around80)が何やらか細い声で話しかけてきた。
(ちょっと、どの家にもいる「お婆さん」なんていうイメージじゃないんだよねぇ。野に生きる野性の「婆さん」といったイメージなんだ。
 「お兄ちゃん。私の話をきいてくれんかねぇ~ッ」
 「どうしたん?」私の語調もバアさんのモードに合わせていた。
 「もらった餅も昨日で食べつくしちまって、もう何も食べるものがないんだよ」
 「少し恵んでくれんかねぇ」....
....物乞いだった。
 いきなりではじめは少々戸惑ったが、今どきこういう人もいるのかと...めずらしさも手伝ってしばし立ち止まり話を聴いてみた。
 .
 すると、泣き落としに話が展開しはじめたので話の腰を折った。

 「ここでわずかな施しを受けても明日からどうするんだい?」
 「役所の福祉課行って、福祉手当もらったほうがまだましな暮らしができるんじゃないかい?」
 「今日は役所まだやっていないから、警察行って少し金借りる方法もあるよッ」
てなことをつらつら、バアさんに話しかけると。
 
 「警察はイヤだよ!警察行くくらいならわたしゃここで舌噛み切って死んでやる!」と今度は語気荒くわめきだした。(まるで時代劇・三文芝居) 
 警察=浮浪者保護⇒強制収容、拘束される恐ろしさがあるのか、顔を覗くと険しくこわばっていた。

 ラチが明かないので、人に施すなどの身分ではない私なのだけれど...
 「私のような者に声かけするのも恥を忍んでよくよくのことだろうネぇ」
 (それが誰にでもしていたとしてもかまわないと思っていた)
 「人に恵むような身分じゃないけれど、あなたがそれで救われるなら...
  2~3百円でもいいかい。(セコッ)
 我ながら金額がちょとセコいと思いつつ(チャリティーや寄付金などお金の行き先・使われ方がハッキリしていたらキッチリ払うんだけどね)、財布を取り出して小銭入れを見ると
 何と小銭は百円玉1つ、50円玉1枚、十円玉3枚、1円玉チラホラッ、
 ヒぇー 小銭がないじゃん
 片や札の方は多くあり、2~3百円と言った手前、小銭かき集めても2百円にもならないんじゃ
 このバアさんに怪訝(ケゲン)な顔をされる「何だ、大の男がこれっぽっちしか持ってないのかよ!」なんて思われるのもどこか尺にさわる(なんて変なプライドにも似た気持ちが瞬時に頭の中をかけめぐり)
 初詣行っても神様に出したこともない千円札を一枚財布から抜き取った。
(神仏は尊ぶけど運命を神だのみにしないのが心情なので、神様へのお賽銭は奮発しないのです。ただのケチじゃないことをつけくわえておきます
 それを四つ折にして、バアさんの手の中にしっかり握り渡した。
「これで2~3日食いつなげるんじゃないかい」
 バアさんは思いもよらぬ金額を手に握らせてくれたことに驚いたようで
「え~ッ、こんなに。
 ....
 兄ちゃんだってこの金は汗水たらして稼いだ金だろうに...
 すまないね~ッ
 ありがとうね~ッ、ありがとうね~ッ
と深々頭を下げられた。
 
 「じゃぁ元気でねッ」と背中をポンポンとかるくたたくと
 風呂に長らく入っていないのだろう異臭(体臭+衣服のホコリ)がし
 その場に長居するのがつらくなり
 早々にその場から立ち去った。
 
 立ち去りながら「施すことが本当にあのバアさんのためになったのか?」
「本当に自分が役に立てたのか?」など
 律儀にも考えていた。
 まッ、“人の世は人情の貸し借り”といった故・香川登枝緒さん(大阪・お笑い作家)のことばが好きな私にとって一杯の酒を我慢した金が人助けになったとすれば、今晩は心おだやかに眠れるというもの。

 しかし、年が明け、親族以外の者とはじめて話を交わしたのがこのバアさんということに気が付き、思わず苦笑い
 
 今年は何か思わぬことでお金が出て行きそうな... 

 

 パラドックス型思考で一見クールな○○型だけど、実は○○型は人情にもろいんだよね~ッ。私はその典型かも

 ああ、明日からまた忙しい毎日が始まる。

 元気を出していかねばッ

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