理乃美

ソフトとハードと論理の覚え書き

PlutoSDR: アナログRF変調波形の観測

2021-01-22 23:34:55 | RF

ADALM-PLUTOとGNU Radio 3.7の組み合わせで、実験をしている。今回は、出力波形をスペクトラムアナライザで見る実験の記録。

GCRでDSB/AM/SSB変調のフローグラフを組み、疑似音声信号をPlutoSDRから送信し、その信号をスペクトラムアナライザで観察した。

周波数は、438.500000 MHz. 実際のところは 438.4971 MHz 付近。PLUTOの周波数基準はただの表面実装のクリスタルモジュールなのでこんなものだろう。

まずは、DSB.

RBW 30Hzで観察したスペクトラムとGRCでPlutoSDRに流し込んだIQ信号のスペクトラムは次のとおり。(スペアナのセンター周波数があっていないのはご愛敬 )

お次は、AM変調

DSBと比較してみると、搬送波にエネルギーを取られている分、左右に広がっている音声信号を運んでいる成分のパワーが落ちているのが見て取れる

ちなみに、フローグラフは以下のとおり。最大音量(±1.0)で100%変調となる設定。

次は、Single SIde Band (LSB)。

SSBの生成方法は複数あるが、まずは DSBを生成したのちフィルタで片側を切り出す方法。アナログ回路なら一番普通の方法だろうか。

使ったフローグラフとPlutSDRに送り込んだ信号のFFTは次のとおり。二つ目のバンドパスフィルタは黄色表示(バイパスされている)ことに注意。GRCでの表示だけを見ると逆サイドへの漏れひどいように見えるが実際に送出されるRF信号はそんなに悪いのだろうか?

ちなみに、フィルタを2段重ねにするとこうなる。GRC上は大きく違うが、PLUTOから送出される信号としてはどうなんだろう?

次は、ヒルベルト変換を用いたSSBの生成。最もSDRらしいSSB生成方法かもしれない。アナログのPSN方式に相当する。

プローグラフとPlutoSDRに送り込まれる信号は次のとおり。

 

なお測定条件の詳細は以下のとおり。

疑似音声信号は、CQ出版社のサイトからRFワールド誌 No42の記事関連ファイルとしてダウンロードできるtest_signal.wav ファイルを使用。(https://www.rf-world.jp/bn/RFW42/RFW42P.shtml) これに、100Hz - 2.7KHz のバンドパスフィルタをかけたものをソースとした。WAVファイルのサンプリング周波数が44.1KHzなので、フローグラムでもサンプリング周波数に44.1KHzを使用した。

搬送波の周波数は、ADALM-PLUTOが正式サポートする帯域の中でアマチュア無線の実験研究用のバンド内である438.5MHzとした。ADALM-PLUTOに搭載のクリスタルモジュールの誤差により、実際の搬送波は 438.4971 MHz付近。

適当なカップラーを持たないため、PLUTOのTxに自作のダミーロードを接続しそこから漏れる電波をスペアナ(Annritsu MS2602A)の入力端子に変換アダプタを介して直付けしたホイップアンテナで受信する方法を取った。そのため、信号強度の絶対値にあまり意味はなく、再現性も乏しいことに注意。


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