前回、B級PP出力段ではバイアス電圧によって0V付近の振る舞いが非線形になっていることを示した。このクロスオーバー歪を歪率としてどうなのかFFTで見てみる。
28.28Vp-p 1KHzの正弦波に対する出力をフーリエ変換し、基本波に対する高調波の比を調べる。成分の大きい順に並べたので通常は3次、5次、7次の順となる。なお、トランジスタはLTspiceのデフォルトモデル。
バイアス電圧 |
3次高調波 |
5次高調波 |
7次高調波 |
0.75 (黄緑 |
-50.78dB |
-55.90dB |
-59.29dB |
0.8 青 |
-53.41dB |
-58.77dB |
-62.34dB |
0.85 赤 |
-57.20dB |
-63.09dB |
-67.08dB |
0.9 深緑 |
-64.05dB |
-71.95dB |
-78.06dB |
0.95 紫 |
5次 -74.79dB |
7次 -75.23dB |
9次 -76.29dB |
1 灰 |
-61.51dB |
-64.71dB |
-67.45dB |
このように、0.95V (よりちょっと低いあたり) で歪率が最良になっているのが見てとれる。