B級アンプは最適値があり不足しても過大でも不適当ということが、黒田氏のテキストに書かれている。(トランジスタ・アンプ設計法 p279)
これをLTspiceで実験的に視覚化してみる。これは、B級出力段で8Ω負荷をドライブした場合の振る舞いで、横軸に入力電圧、縦軸に入力と出力の差をとっている。線が直線であれば入力と出力は比例していて歪がないということになり、線が曲がっていると非線形なので歪が生じることになる。線の傾きは出力インピーダンスともとらえることができるだろう。
ここでは、トランジスタあたりのバイアス電圧を0.75V(緑)から1.0V(灰色)まで0.5Vステップで変えて実験した。
バイアス電圧が不足していると、0V付近で急に出力インピーダンスが高くなりS字にうねっている。逆にバイアス電圧が高いと0V付近では全体に比べて出力インピーダンスが低く逆S字にうねることになる。次の図は0V付近を拡大したものだが、バイアス電圧が0.9V付近だとほぼ直線になっていて、最適のバイアス電圧ということになりそうだ。
[1] 黒田 徹 基礎トランジスタ・アンプ設計法 ラジオ技術社 ISBN4-8443-0200-0