Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

片岡義男.com

2017-09-03 | rayonnage...hondana
片岡義男エッセイをウェブで断片的に読めるようになっていて、ありがたい。
探そうとしてなかなか見つからない、
「あのエピソードはどの本だっけ」
が、思いがけず読める嬉しさ。

むかし好きだったのは、無数の「彼女」たちのプライベートな時間だったけれども、
今は、歴史の証人として、乾いた目線で綴られる“戦後の日本”がためになります。

フランスを見て日本に戻ってきたら、売られているモノが無駄に多いような気が、はっきりと、しました。
以前から感じていたけど、くっきり改めて、質も良くない無駄な量産、と意識しました。

そしてそれは、戦後が作った流れがまだ途切れていないことを、片岡義男エッセイで認識しました。

徴兵、戦闘、敗戦、欠乏、
これらの絶望は特に男性たちにあまりに大きく、誇りを持ちにくい中で、
消費にかける情熱に向かい、
内省を失い、見識を広げ深める意欲を欠き、
ひたすら目の前の生理的欲求を満たすためだけの生活をこなす。
美意識を置き去りにした結果、無駄なモノばかり狂ったように産出し、モノが売れないなどと嘆く。

そんな流れが可視化できる、貴重なエッセイ群です。
高度成長期の映画評も、面白いです。

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