Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

御神体に登った日

2009-03-12 | Kyoto sneakers since 2008
このところいろんな用があり、毎日電車に乗って遠出していました。
春が来たのをあちこちでじかに感じられます。
先週末に一瞬だけ帰った東京は曇り空で寒かったけど、
その翌日に赴いた奈良・三輪山の天気は爽快で、山登りも快適でした。



これは自分の用でなく、ちゃっかり便乗した記録なのですが。

いいところに行くから一緒にいきましょうと、東京にてお世話になっていた方から三輪のお山のパワースポット散策に誘っていただきました。
奈良。
近いけど行ったことなかった。
近鉄京都駅に朝8時半に待ち合わせし、三輪駅に降り立つ。
「入山が許可されていたの、知らなかった!」
と驚く人もいらしたというくらい、管理のきちんとした山です。
山そのものが「ご神体」として祀られています。
登る際は飲食も禁止。登る時間も限られています。
その山に、早朝2人でしゅっしゅっとのぼってきました。



神社に入った瞬間から、澄み切った空気に気分が冴え渡ります。
この木々の豊かさ、静けさ。
頭上を渡る葉のざわめきが、なにかのおしゃべりのように聞こえます。
パワースポットというものを意識して詣でたことは特にないのですが、この美しい空気を浴びることができるなら、何度でもどこにでも行きたくなる、そんな気分にはたやすくなることができました。





ペットボトルで持ち帰り可、
このご神水のおいしかったことと言ったら!
山の草木にろ過され、凍てつくような空気と氷の地面を潜り抜け、地上のわたしたちに届いた水。
乾きを癒すばかりでなく、なにかパワーをみなぎらせてくれる、甘い味でした。

撮影も飲食も禁止というこの御山。
立ち入ると、背中から肩から、身がしゅっと軽くなるような空気の良さです。
「もののけ姫」のシーンみたいな・・・、
くらいしか、その荘厳な雰囲気を伝える比ゆがなくて申し訳ないのですが、
あの、心がすっきりと無になるような美しい空間というのは陳腐な言葉をすべて失わせてしまいます。

ぬかるんだ道のところどころ、注連縄で奉られた岩やスペースがある。
軽く頭をさげ、そっと手を合わせ、そこを通り過ぎる。
こんなところに来られて嬉しいです。健康体でここをこうして歩けることに感謝します。こうして素敵な仲間に恵まれたことに感謝します。
静かな心地から湧き上がってくる幸せな気持ちを、頭を下げるたびにありがたく噛締めました。

山登りをするというのは自分が無力であることを知る身近ないい機会で、
頂上が見えないでいるとき、無性におなかがすいたりしゃべる気力もなくなってしまったり、雑念に見舞われがち。
それが、頂上で美しい空と涼しい風に洗われると、なぜか空腹もおさまり、心もすっかり穏やかになって、欲望が縮んでいき、ただ感謝ばかりが湧き上がるのだから、不思議なものです。



もやもや・・・とするのは心が自然から離れている証拠で、それの埋め合わせに手近なもの、――ムダ食いやムダ使いなどをして心の隙間を塞ごうとするのがよくわかります。
下山したわたしたちは静かな心地で、三輪名物のにゅうめん(だけ!)をおいしく頂いて、明るい気持ちで帰途に着きました。


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