『スウィート・ノベンバー』に感動したという男の子がいましたが、これは、そのヒロイン側の視点で描かれた心の動きの物語かも。
女性にとっては、よりリアリティが増すと思います。
まだ23歳の若さで、死を宣告された女性。
何も考えず、ひたすら夫と二人のかわいい子供との生活を守るため働き、走り続けてきた、淡々とした彼女の人生。
何事もなければ、それは生涯を通じて変わらないものだったかもしれません。
しかしようやく、立ち止まって考える時間というものを、皮肉にも、彼女の体を蝕む病気が与えてくれたのでした。
自分の人生は、どういうものだったのか。
悔いの無い、残された時間の使い方はどうすればよいか。
自分の身に起きていることを、誰にも、何も告げずに、彼女の旅立ちへの準備はひっそりと始まります。
夜のカフェで、彼女はノートの白いページに向かい、つまりは自分の内面と向かい合い、「したいこと」を書き綴ります。
最愛の家族にしてあげたいこと、
自分が、するチャンスがなかったことを実現してみる、・・・。
その項目自体が、大きな願いでもなく、ささやかであることが、切ない。
残された時間があまりに少ないことを置いておいても、ひとの幸せというものが、夢のかなたにあるものではなく、身近なものとの関わりの中で生まれていくということを、彼女はよく知っているのだと思います。
その項目の中に、「夫以外の男性と付き合ってみる」とあることについて、男性はもしかしたら反発を感じるかもしれません。
無邪気に優しく愛してくれる夫とうまくいっているのに?と。
でもここが、死を前にした彼女の度量の大きさというか、愛の深さというか、いちばん、人間力を感じさせるところ。
自分がまだ知らない愛の存在を感じ取りたい、というのは、知らないまま去っていくこの世界に対する情熱です。
そして夫にも、自分がいなくなったあと、愛する人を見つけてほしいと彼女は願うのです。
同時に、子供たちのいいママになってくれる人でもある女性を。
彼女の愛は、エゴなんかではなく、この先の、自分がいなくなった後の世界にまで向けられています。
ダイエット中毒で、拒食症・過食症に悩む友人。
と彼女は仕事をともにしているのですが、悩んでその場に立ち止まる、というのは、元気である証拠、とでもいうような対比が面白く描かれています。
時間がない彼女には、悩んでいる暇などないのです。
行動するしか。
これから先まだ続くその友人の人生より、一瞬にすべてを燃やす彼女の2ヶ月の人生の方が、はるかに輝いているのはいうまでもありません。
しかし、なにも彼女が特別な訳ではありません。
「明日がまだある」と、彼女だって少し前までは時間をただ流れるまま見送っていたのです。
危機感を持ち、一瞬一瞬をぴかぴかにするのは、ただ本人の気持ち次第。
と気づかせてくれます。
いえ、わかってはいるんですけど、なかなか難しいんですよね・・・。
それにしても、女性のなかにひっそりしまわれている、母性、少女性、女性性、男性性、強さ、弱さ、等を優しく掘り起こして見せてくれる作品です。
静かに雨が降るように、自然と涙が出てきてしまう映画でした。
そして雨のように、止んだ後、何かをもたらしてくれる映画です。
女性にとっては、よりリアリティが増すと思います。
まだ23歳の若さで、死を宣告された女性。
何も考えず、ひたすら夫と二人のかわいい子供との生活を守るため働き、走り続けてきた、淡々とした彼女の人生。
何事もなければ、それは生涯を通じて変わらないものだったかもしれません。
しかしようやく、立ち止まって考える時間というものを、皮肉にも、彼女の体を蝕む病気が与えてくれたのでした。
自分の人生は、どういうものだったのか。
悔いの無い、残された時間の使い方はどうすればよいか。
自分の身に起きていることを、誰にも、何も告げずに、彼女の旅立ちへの準備はひっそりと始まります。
夜のカフェで、彼女はノートの白いページに向かい、つまりは自分の内面と向かい合い、「したいこと」を書き綴ります。
最愛の家族にしてあげたいこと、
自分が、するチャンスがなかったことを実現してみる、・・・。
その項目自体が、大きな願いでもなく、ささやかであることが、切ない。
残された時間があまりに少ないことを置いておいても、ひとの幸せというものが、夢のかなたにあるものではなく、身近なものとの関わりの中で生まれていくということを、彼女はよく知っているのだと思います。
その項目の中に、「夫以外の男性と付き合ってみる」とあることについて、男性はもしかしたら反発を感じるかもしれません。
無邪気に優しく愛してくれる夫とうまくいっているのに?と。
でもここが、死を前にした彼女の度量の大きさというか、愛の深さというか、いちばん、人間力を感じさせるところ。
自分がまだ知らない愛の存在を感じ取りたい、というのは、知らないまま去っていくこの世界に対する情熱です。
そして夫にも、自分がいなくなったあと、愛する人を見つけてほしいと彼女は願うのです。
同時に、子供たちのいいママになってくれる人でもある女性を。
彼女の愛は、エゴなんかではなく、この先の、自分がいなくなった後の世界にまで向けられています。
ダイエット中毒で、拒食症・過食症に悩む友人。
と彼女は仕事をともにしているのですが、悩んでその場に立ち止まる、というのは、元気である証拠、とでもいうような対比が面白く描かれています。
時間がない彼女には、悩んでいる暇などないのです。
行動するしか。
これから先まだ続くその友人の人生より、一瞬にすべてを燃やす彼女の2ヶ月の人生の方が、はるかに輝いているのはいうまでもありません。
しかし、なにも彼女が特別な訳ではありません。
「明日がまだある」と、彼女だって少し前までは時間をただ流れるまま見送っていたのです。
危機感を持ち、一瞬一瞬をぴかぴかにするのは、ただ本人の気持ち次第。
と気づかせてくれます。
いえ、わかってはいるんですけど、なかなか難しいんですよね・・・。
それにしても、女性のなかにひっそりしまわれている、母性、少女性、女性性、男性性、強さ、弱さ、等を優しく掘り起こして見せてくれる作品です。
静かに雨が降るように、自然と涙が出てきてしまう映画でした。
そして雨のように、止んだ後、何かをもたらしてくれる映画です。