★BLロック王子小説21-37「ディスティニーアンダーグラウンド」

　でも、麻也はどうにか、
「諒、ここんとこ、本当にごめん。でも俺も誰かに嫌がらせでもされてるとしか思えなくて…」
「…」
　言ってから麻也はちょっと後悔した。鈴音の事務所の社長…あの男のことを諒が思い出してしまったら困る。
「そうだよね、色々あり過ぎたよね」
　疲れ切った表情の諒言葉に麻也は返す言葉が見つからない。
(全部そう、いつもそう、俺に隠し事があるから…)
　その時、けたたましく部屋の電話が鳴った。いつものように諒が出た。が、しかし諒は誘いを断るように、
「あ、すみません、明日の朝伺います。ごめんなさい。もう2人共出られない格好なんで。あー、もう始めちゃったんで…いくら須藤さんでも、この状態は見せられない…」
　諒には済まないと思いながらも、麻也はその受話器を取り上げずにはいられなかった。
「もしもし麻也です。分かりました。今から諒とそちらに行きます。服着てます」
　と言うとすぐに受話器を置き、
「諒、悪いけどつき合って」
「嫌だ」
「何で」
「わかんない？　おかしいでしょ？」
　諒が言いたいことはわかるが、麻也はやっぱり何も言えない。
「じゃあ俺1人で行ってくる」
　2人でなければ用が済まないのは十分わかっていたが、麻也はわざとにキーを持たずにドアを開け…ると、目の前に社長と鈴木の後ろを須藤が急いで追ってきていた。
　そして、半ば強引に部屋に入ってきた。
　そして社長が、
「諒、面倒だから言いに来た。麻也はどの件でも無実だった。麻也にはお前しかいない。これまでと同じ、お前達は幸せなカップルのままなんだ。」
　するとダブルベッドに浅く腰掛けた諒はみんなを見上げ、冷ややかに問いかけた。
「それをどうして、社長がわざわざ言いに来たんですか？」
「いつもありもしない麻也の浮気の噂が立つたびに俺の部屋に泣きに来るからさ
「…」
　今日の諒は本当に冷ややかでかたくなだった。
　それにこの3人が立っている状態はまるで諒を追い詰めるようで…
　しかし諒は、
「何だかこれってかえって怪しいっていうか
…」
　諒はあくまで冷静だった。
　それなのに、なぜ、社長はその時焦ったのか。
「それならまやが誓えばいいのか？　あの女の子とは何もない…」
　諒はその言葉を鼻先で笑うように言った。
「それなら、放送事故まであったのはは何なんですかね？」