それから、この事件を必死で説明する諒からほぼ聞き出すと、恭一は、
「ニ人きりにしてください」
と、社長たちはもちろん、真樹まで諒の病室を追い出したのだという。
そして話が終わったらしい恭一が、真樹だけを病室に入れてくれたのだと…
入ってみると諒はベッドに座り、大きな瞳に涙をこらえて、麻也さんに早く会いたいとか詫びたいとか償いたいなどと言っているそうだった。
(それって…)
麻也は衝撃を受け、どうしていいのかわからなくなった。
(恭一、まさか…)
真樹も…とんでもないことを知ってしまったのかだろう。緊張している。気を使っているらしいのは伝わってくるのがつらい。
(…諒に…知られたんだ…)
麻也は目の前が真っ暗になって…
しかし真樹はうつむいたまま、
「俺にはよくわかんないけど、恭一さんの話を聞いた後の諒は少し落ち着いたように見えたよ。兄貴に拒絶されたら仲立ちしてもらえないかって俺じゃなくて恭一さんに頼んでたようなんだ」
麻也には言葉がなかった。
しかし、もう限界…そう思って目をつぶって真樹から顔を背けようと思った瞬間、こう言われた。
「諒は二人で、元気になってまた二人の部屋に戻りたいって言ってた」
二人の闇の部分が明らかになってしまったんだから、今度は幸せに暮らせるはずだとかなんとか…
(そんなの、本当だろうか…)
真面目な諒は責任を取ろうとしているだけではないのだろうか。
そこまで考えたところで麻也は疲れをいっそう強く感じた。
「ごめん、疲れたでしょ。俺ずっといるから安心して寝てて」
その言葉に麻也は目を閉じた…