アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

第二章 アプリコット プリンセス マリアの気遣い

2013-10-27 08:23:36 | 漫画


となりの王子はアプリコットプリンセスの誕生日に
世界で一番おいしくて、世界で一番大きなケーキを作らせた。

王子
「今日の誕生日は特別大切な日だ」
「ぼくはアプリコットのために最高の誕生日をお祝いする」

アプリコット
「こんなに大きくておいしいケーキは生まれてはじめてよ」

王子
「アプリコットが喜ぶことが一番だ」

アプリコット
「私は国民の幸せが一番の喜びなのよ」

王子
「では、アプリコットの国の国民の喜ぶことを特別な日に実行する」

アプリコット
「どんなことなの?」

王子
「この世界で一番大きくて世界で一番おいしいケーキを
アプリコットの国の国民に食べてもらう」

そう言って、となりの王子は急いで国に帰っていった。

国に帰った王子は大量のケーキを作らせた。
そして、大量のケーキはアプリコットの国の国民に配られたのです。



マリアはスラーダ村の飢饉を心配して村を訪ねていた。

マリア
「みなさん元気を出してください」

村人
「おら達の村は酷い日照りで作物が全滅だよ」
「このままでは食べるものがなくなって飢え死にを待つだけだ」

マリア
「私がチューリップ王に頼んで皆さんを必ず助けてあげます」

村人
「チューリップ王はだめだよ」
「チューリップ王はアプリコット可愛さに国民を見殺しにするんだよ」

マリア
「きっと皆さんは誤解しているのよ」
「私が保証します」
「皆さんを飢え死にさせることは絶対にありません」

村人
「チューリップ王には、おら達を助ける金など少しも
残ってはいないのさ」
「村のもんは皆知ってるぞ」
「チューリップ王は国の金を全部使って
アプリコットに宝石を買い与えたのさ」

マリア
「それは誤解です」
「チューリップ王は宝石を買ったのではなくて
無償で貰ったのよ」
「だから国の金は残っているわ」

村人
「あんたもズンダ婆さんと同じことを言うんだな」
「ズンダ婆さんは嘘つきだから信用できんし、
あんたはズンダ婆さんと同じだから信用するわけにはいかんわ」



チューリップ王は国の惨状の報告を受けて直ちに
救済命令を下した。

城兵
「王様に申し上げます」
「わが国の予算は現状維持が精一杯で
救済資金を用意できません」

チューリップ王
「隣の国から送られてきた宝石を救済資金にするのだ!」

城兵
「おそれながら申し上げます」
「あの宝石は隣の国の王様の気まぐれにより戴いたものと思われます」
「隣の国は宝石を使ったことに難癖をつけてくることは必然です」

チューリップ王
「隣の国は強大であり、わが国は弱小国
難癖をつけられては厄介なことになる」
「しかし、国民を見殺しにすることはできないのだ!」
「至急に飢餓の救済に取り掛かってくれ」

城兵
「ご命令に従います」
「至急に食料を調達するためには城兵だけでは
人員不足です」
「町の者たちにも協力を求める必要があります」

チューリップ王
「わかった」
「城下町にはネローダという優れた若者がいる
彼の父親は町の者に大変信頼されていたと聞く」
「大切な宝石であるから信頼のおける者に託さなければならん」
「早く取り掛かってくれ!」

城兵
「かしこまりました」



王の命令を受けて城兵はネローダの家を訪れた。


城兵
「ネローダ様は居られるか」

ネローダ
「はい 私がネローダです」

城兵
「このたび、王の信頼を受けたネローダ様にお伺い致しました」
「わがチューリップ王は、この大量の宝石をネローダ様に託され、
わが国を飢餓から救い出す事業に協力を要請しております」
「ぜひ王の信頼に応えてくださいますようにお願いします」

ネローダ
「とんでもありません」
「私などが、そのような重役を務めることはできません」

城兵
「ネローダ様が母親を探していることは知っております」
「お母様は、国の機関に依頼して全力で探しています」
「捜索犬も移動経路をくまなく探しております」

ネローダ
「ありがとうございます」
「しかし、これだけ探しても見つからないのは
お母さんが国境を越えて隣の国に行ってしまったからかもしれません」

城兵
「なんとも言えませんが
捜索犬は国境付近で、お母様を見失っています」
「無理は申しませんが、王は貴方様を大変信頼しております」
「ぜひ、この国の危機を察していただき
わが王の信頼に応えて頂きたい」

ネローダ
「やはり、私には町の者の協力を得る自信がありません」

そこへ、騒ぎを聞きつけたアンドレアとゴーガンが現れた。

ゴーガン
「城兵さん、私はネローダの相談役で城下町の責任者を任されている
ゴーガンというものです」
「ネローダの父親は町の者に信頼されておりましたが、
その息子の小僧は泣き虫のへなちょこですよ」
「やはり、ネローダが言うように無理だと思われます」
「代わりに、私がネローダの後見人として王の信頼に応えたいとおもいますが
いかがでしょうか?」

城兵
「ゴーガンさん貴方は黙っていなさい」
「私は王の信頼を得たネローダ様に依頼しているのだ!」

アンドレア
「城兵さん、貴方は町のことがようわからんようだから言っとくが
ネローダは俺とゴーガンさんの言うことしか聞かねーよ」
「ネローダは恥も外聞もねー面汚しなんだ」

城兵はゴーガンとアンドレアを無視してネローダに再度話しかけた。

城兵
「ネローダ様、私は貴方様を信頼しております」
「ぜひ、わが王の期待に応えてください」

ネローダは城兵の期待に応えたくなり使命感を強く感じていた。

ネローダ
「わかりました」
「私が出来る事を精一杯してまいります」
「私は町の者の協力を得て、この国の危機を救う手助けを致します」

城兵
「よかった」
「ネローダ様に託すことができなけれは
わが王にあわす顔がなかった」

使命を果たした城兵は安心して城に帰っていった。



飢え死にを覚悟していた村人に巨大ケーキが届けられた。

村人
「おでれーた」
「これは食いもんなんか?」

村人
「マリアさん、これうまそうじなぁ!」

村人
「食ってもええかのぉ」

マリア
「このケーキは村人のために届けられたのですから
遠慮なく頂いてくださいね」

村人
「このケーキいうもんは口の中がとろけるような
うまかものじゃなぁ」

村人
「マリアさんにお詫びせにゃならんのぉ」
「チューリップ王はわしらを見殺しにするような
薄情な王様ではないことがわかったよ」

マリア
「チューリップ王は情け深い王様よ」
「ただ、このケーキは隣の国の王子様からのプレゼントなの」
「チューリップ王は国民を飢餓から救うために
隣の国からいただいた宝石を使って穀物や乳製品を
確保しようとしてるのよ」

村人
「難しい話はようわからんけど明日からの希望がわいてきたぞ」
「チューリップ王に感謝感激万々歳じぁ!」

村人
「ところでマリアさん」
「なんでじゃろーなぁ?」
「隣の国の王子さまは宝石やらケーキやらをくれるんじゃろーか」

マリア
「王子様はアプリコットプリンセスにプレゼントしているのよ」

村人はアプリコットプリンセスが王子にプレゼントを
せがんでいると思った。
そして、これほどまでに王子をとりこにしている
アプリコットプリンセスが、
どれほどの魅力をもっているのか知りたくなった。

村人
「一度でいいから、わが国のプリンセスに会いたいもんじゃのぉ」

マリア
「一度なんて言わずに、何度でも会えますよ」

村人
「嬉しいのぉ」
「さぞ、お美しいおかたじゃろーて」

マリアは顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。

村人
「マリアさん、
貴方はチューリップ王のことをよく知っているようじゃけど
どういう間柄なんじゃ」

マリア
「わたしは旅をしている間に信頼する方から話を聞いているのよ」

村人
「ところでマリアさん、貴方は何者なんじゃ」

マリアは越後のちりめん問屋の娘と言おうとしたがやめておいた。

              
              第二章
             恐ろしい男




アンドレアとゴーガンは城兵に軽くあしらわれたことに憤慨していた。

アンドレア
「城の者は何も知らんくせに偉そうに指示するが、
町の者はネローダの言うことなんぞ聞かんぞ!」
「あいつには無理なんだ!」

ゴーガン
「ネローダが何をするか高みの見物としておこうや」

アンドレア
「俺達はネローダの計画が失敗するように画策すればよい」
「なにがネローダ様だ!」

ゴーガン
「後で助けを求めてきても無視すればよかろう」

アンドレア
「しかし、あの大量の宝を一度拝んでおきたかったものだ」

ゴーガン
「ネローダのやつ、宝は城に返却すると言いよった」

アンドレア
「俺達のことが、そんなに信用できんのか!」
「ふざけやがって!」

二人が大声で話している横には、恐ろしげな男がいた。


恐ろしげな男

「なんや、面れー話ーしょーるのー」
「お前ーらも城の者ーが嫌いみたいじゃーのー」
「おらーいつも城の者ーに虐められとるけん
城の者ーは大嫌いじゃー」
「おらーが、その宝ちゅう物を奪っちゃるけー」
「宝の在り処を教えーや」

アンドレアとゴーガンは調子にのって話していたので
隣に不審者がいることに気がつかなかった。

振り向いた其処には鬼のように恐ろしい風貌の男が
殺気に満ちて立ち塞がっていた。

アンドレア
「おーーー宝はネローダがもっとる ξξξξ ひひひひぃ」
ゴーガン
「ネローダは城のまわし者だわわ」
「俺達はあんたと同じやや」
「城の者は大嫌いなんじゃよよ」

恐ろしげな男

「そうか、お前らはおらーの仲間ちゅーこったかー」
「そら、よかーこった」

あまりの恐ろしさにアンドレアとゴーガンは逃げ出してしまった。

    第二章
              盗賊退治





ネローダの要請により宝の管理を任された城兵は
宝を奪いにきた盗賊と遭遇して格闘になった。

城兵は村の飢餓により山賊が町にも出没するとの報告を受けており
速やかな対処ができたのである。

盗賊の名はドドンゴという。

ドドンゴは山賊の手下で山奥には多くの山賊が潜んでいた。

山賊は仲間意識が高く結束した強大な勢力になっており、
城兵は山賊退治に苦慮していたのである。

アンドレアは落ちていたヤリを拾って応戦し、
ゴーガンもこん棒を拾って身構えていた。

ドドンゴ
「なぜが 城兵がおるんがー」
「おまえらがー裏切ったがーぁ」

アンドレアとゴーガンは焦った。

ドドンゴはアンドレアとゴーガンが仲間であると信じていたのである。

城兵
「アンドレアとゴーガン!」
「お前達は山賊の仲間なのか?」

アンドレア
「とんでもないでまかせだ!」

ゴーガン
「山賊の手下など有り得んことだ」

ドドンゴ
「嘘を言うがーないがー」
「おめーがー仲間言うたがーろーがー」

城兵
「町の者のなかに山賊の手下がいたのでは物騒でしかたない」
「アンドレアとゴーガン!」
「ドドンゴと共にチューリップ王の裁きをうけよ!」


アンドレアとゴーガンは恐ろしくなって逃げ出してしまった。

アンドレア
「何で俺達が山賊の手下になるんだ!」
ゴーガン
「もうなにもかもお終いだ!」

アンドレア
「しかし、逃げないほうが良かったかもしれんぞ」
ゴーガン
「もう後の祭りさ」

アンドレアとゴーガンは冷静さを失ってしまい
大変なミスを犯してしまったのである。




アンドレアとゴーガンが町を逃れ、村をさまよっていると
ズンダ婆さんとはちあわせになった。

ズンダ婆さん
「ゴーガンとアンドレアじゃねーか」

ゴーガンは気前が悪そうに小さな声でこたえた。
「いやー 村の視察なんだよ」「近頃物騒だから」

ズンダ婆さん
「お二人さん、やけにしけた面してるじゃーねーか」

アンドレア
「婆さん、ドドンゴちゅー者を知っとるか?」

ズンダ婆さん
「ああ知っとるがな」
「ドドンゴは山賊の手下で可愛そうな奴なんじゃ」
「やつは、幼いときに山賊にさらわれて愛情を受けずに
育ったのじゃ」
「だから、悪いことと良いことの区別もできず
族長の言うことだけを聞いて行動しておるんじゃ」

ゴーガン
「山賊は裏切り行為に厳しいのじゃな」

ズンダ婆さん
「あたりまえじゃて」
「族長の命令は絶対なのじゃ」

アンドレア
「仲間を裏切ったらどうなるのかなぁ?」

ズンダ婆さん
「なんか、お前ら変だなぁ」

ゴーガン
「いや、治安が悪くなってるから警戒してるのだよ」

アンドレア
「ドドンゴは城兵に捕らえられて城にいるんだが、
もう出てくることはないじゃろーか?」

ズンダ婆さん
「そげーなこと知るか」
「城兵に聞きゃーえーが」

アンドレア
「婆さん、何をかついどるんか?」

ズンダ婆さん
「杏子の実じゃよ」「おめーらにはやらんぞ」

ゴーガン
「悪いが、少し分けて貰えんかのぉー」
「今日一日何も食べてないんじゃよ」

ズンダ婆さん
「村の者は皆、飢えとるがな」
「おめーらだけじゃねーぞ」

アンドレアとゴーガンは町を逃げ出したことを後悔した。
こんなことなら盗賊の手下として
城兵に捕らえられたほうがましだと思えてきた。



ドドンゴがチュウリップ王の前に差し出された。

通常、些細な事件は王が直接裁くことはありませんが、
山賊や国の大切な財宝に関することであるから
特別に王の前に差し出されたのである。


「そなた、名前は何という」「名前を申せ」

ドドンゴ
「・・・・・・」


「名はドドンゴと聞いておるぞ」


「ドドンゴよ、お前は財宝を盗もうとしたようだが真か?」

ドドンゴ
「おらーが財宝を奪いにいったら城兵に邪魔されたーが」


「では、財宝のことや財宝が置かれている場所は誰に聞いたのか?」

ドドンゴ
「やつらは裏切ったがーや」

城兵
「ドドンゴに情報を漏らした者はゴーガンとアンドレアです」

ドドンゴ
「やつらは仲間を裏切ったがー」


「ドドンゴよ、お前は良き事と悪しきことの区別が付かぬようだな」

城兵
「ドドンゴは親に捨てられて山賊に育てられたので
人の愛情に触れたことがないのです」


「王としてお前を裁かねばならぬが、宝を実際に盗んだ訳ではない」
「しかし、お前を無罪放免とすればたちまち罪を重ねていくだろう」
「ドドンゴよ、お前には愛情が不足しているようだ」
「この城にて良き事と悪しきことを学び真の心を取り戻した後に
無罪放免とする」

ドドンゴ
「・・・・・」

城兵
「我が王の裁きに従います」


「おそれながら申し上げます」
「ドドンゴを無罪放免にすれば国の治安が脅かされる懸念があります」
「山賊は我が国の治安を脅かす大きな勢力になっており、
山賊の撲滅は絶対事項であり見過ごすことはできません」


「そのとおりだ!」
「しかし山賊を全て退治しても、新たな脅威は生まれてくる」
「先ずはドドンゴを更正させ、そして次には山賊の手下を一人ずつ
生まれ返させていくのだ」

城兵
「そのような深き思いを察しできませんでした」
「先ずは、ドドンゴの更正につとめさせていただきます」



アンドレアとゴーガンがお腹を空かして困っていると
マリアが現れて二人に話しかけてきた。

マリア
「アンドレアさんとゴーガンさんですね」

ゴーガン
「何か用かな?わしらは忙しいんじゃよ」

アンドレア
「子供には分からんことでのぉー困っとるんだ」

マリア
「二人で町に帰って来ては頂けませんか?」

ゴーガン
「何だと! それはどういう意味だ!」

マリア
「アンドレアさんとゴーガンさんが山賊のと係わっているとして
疑われていることは知っています。でも安心して下さい」

ゴーガン
「何だと!俺達は逃げたわけではないぞ!変なことを言うな!」

アンドレア
「子供だからといって容赦しないぞ!失礼な奴だ!」

マリア
「チューリップ王は決して貴方達に罪を負わせることは
ありません。絶対に大丈夫です。安心して下さい」

ゴーガン
「・・・・・・」
アンドレア
「心配など・・・・」

アンドレア
「まー心配といえばドドンゴのことかなぁ・・・」

マリア
「ドドンゴさんは実際に宝石を盗んだわけではないので、王による恩赦で
無罪放免になったのよ」

ゴーガン
「おいおいドドンゴが無罪放免かよ! ホントか?」

アンドレアとゴーガンはドドンゴが無罪放免になったことに驚き
ドドンゴの復讐に怯えていた。

ゴーガンはマリアには聞こえないようにしてアンドレアに言った。

ゴーガン
「ドドンゴが出てくると危ないぞ!俺達は町に帰った方が安全だぞ!」

アンドレア
「マリアちゃん おじさんたちは村の治安を守るために見回りを
してるんだよ。だから見回りが終わったら町に帰るんだよ。
もう変な勘ぐりをしないでね・・・」

マリア
「良かったわ お二人ともお腹が空いてるでしょ
宜しかったら何か召し上がりませんか?」

ゴーガン
「マリアちゃんはやさしい良い子なんだねぇ
おじさんたちは好意に甘えようかなぁ」

マリア
「どうぞ パンとミルクを召し上がれ」



アンドレアとゴーガンが町に帰ってくるとアンドレア婦人が心配して
かけ寄ってきた。

アンドレア婦人
「あなた、どこへ行っていたのですか。心配していたのですよ」

アンドレア
「村の視察だよ。山賊が現れたんだ」

アンドレア婦人
「それでしたら、一言、言って下さったら心配しないですむのに」

騒ぎを聞きつけて町の若者もあつまってきた。

町の若者
「ゴーガンさんが留守の間に自警団のことが問題になってます」

ゴーガン
「自警団が問題に?」

若者
「申し訳ないのですが、自警団をやめたいのです」

ゴーガン
「自警団は町の治安を守ったり、防災活動をするもので
全員参加であるから脱会はゆるされないぞ」

若者
「実は、国から自警団の解散命令がでているのです」

ゴーガン
「そんなことを国が決めれるものか!」

若者
「でも、解散しないとお咎めがあると思うのですが・・・」

ゴーガン
「解散は許さん! 国の命令だろうが王の気まぐれだろうが
関係ない俺が買って出てやる」

若者
「でも・・・・」

ゴーガン
「そうか!脱会したい者はしたら良い。
しかし、脱会したものは町に住む資格はないのだから
この町から出て行ってもらう」

若者
「・・・・・・」