アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

第三章 踊り子 スターチャ

2014-03-13 10:54:45 | 漫画


ある日、隣の国からチューリップ王のもとに
パーティーの招待状が届けられた。

チューリップ王
「アプリコット!」

アプリコット
「はい、お王様」

チューリップ王
「隣の国から招待状が来てるから出かけようと思う」

アプリコット
「まぁ素敵 私も連れて行って下さい」

チューリップ王
「今、国の混乱を放置して海外に出かけたくはないのだが
隣の国は強大で疎かにもできない」

アプリコット
「まぁそうでしたら、私が一人で行ってこようかしら?」

チューリップ王
「海外に一人で行くのかい?」

アプリコット
「心配なのね でも大丈夫よ 私 変装するから」

チューリップ王
「変装したら安全なのかい?」

アプリコット
「そうよ変装して名前を変えればバッチリなの」

チューリップ王
「そんなことしない方がいいと思うよ ハハハァ」

チューリップ王はアプリコットの冗談を面白がって笑っていた。



その頃、チューリップ王の信頼を得たネローダは隣の国の農村にいた。

ネローダはチューリップ国の飢餓を救うために大量の穀物を購入するため
村の管理者と商談を交わさなければならないと考えていた。

ネローダ
「皆さんすみません。少しお聞きしたいことがあるのですが・・・」
「この村で穀物等の卸売りをしているのは何処ですか?」

村人
「この村には卸売りなんてものはないぞぉ」

ネローダ
「麦や米、トウモロコシを大量に購入したいのですが・・・・」

村人
「お前は何処のものだね?変なことを訊ねる奴だ」

ネローダ
「私は隣の国から来たので、この国の事情を知らないのです」

村人
「そりゃー大変なこっちやー お前さんすぐにお国に帰ったほうがええぞ」

ネローダ
「はい 商談がまとまればすぐに帰ります」

村人
「商談なんてものはまとまるはずがない」

村人
「この国は偉大なるエゾンベラ王が治めておられる。
そして、我が国は他国のいかなる干渉も受けぬのじゃよ」

ネローダ
「ではエゾンベラ王に会って相談することはできるのでしょうか?」

村人
「馬鹿なことを言うな! 偉大なるエゾンベラ王は誰にも相談などしないのだ!」

ネローダ
「わかりました・・・・」

ネローダは途方に暮れていた。
この国はエゾンベラ王の独裁国家なのだろうか?
もっと情報を集めなければならないが、村人からは何も得られなかった。



ネローダが隣の国に入って活動していると村民から不審者として
訴えられてしまった。

憲兵
「無断で何をしとる!」

ネローダ
「私はチューリップ王の依頼を受けて食料を入手するために
この国に来ました」

憲兵
「この国の食料は全てエゾンベラ王のものなのだ。
我々はエゾンベラ王の好意を平等に頂いておるのだ」

ネローダ
「エゾンベラ王に会うことはできないでしょうか?」

憲兵
「お前の名前は何だ!名を申せ」

ネローダ
「チューリップ国の城下町に住むネローダです」

名前を聞いて憲兵が慌てはじめた。

憲兵
「お前がネローダか!」
「そうか、手間が省けた。お前のような不届き者に
会わせる訳にはいかない」

ネローダ
「私が不届き者なのですか?」

憲兵
「まあよい ちっと来てもらおう」

ネローダ
「何処に行くのですか?」

憲兵
「何処でもよかろう! お前に教える必要はない」

ネローダは不届き者として憲兵に捕らえられてしまった。



ネローダが連れて行かれた憲兵所には行方不明になっていた
お母さんがいた。

ネローダ
「お母さん! よかった無事だったのですね」

憲兵
「見えすぎた芝居はしなくてもよい。母親はネローダに捨てられたのだと
言っておる」

ネローダ
「いいえ、母親は物忘れの病気に罹っているのです。
私は町の人々や国の機関を総動員してお母さんを
探していたのです」

憲兵
「では、お前の母親は一人で海を渡って見知らぬ国に
やって来たとでも言うつもりなのか!」

ネローダ
「私にも分かりませんが、捜索犬は国境付近で
お母さんの行方を見失っていました」

憲兵
「きさまの言ってることは言い訳にもならない
屁理屈だ。親を捨てたうえにチューリップ国の
代表のようなことを言っておる」

ネローダ
「いいえ、嘘など申しておりません」

憲兵
「嘘であろうが、なんであろうが、どうでもよいことだ!
きさまがエゾンベラ王に危害を与えようとした
スパイであることは明白なのだ!」

ネローダ
「決して、そのような者ではありません!」

憲兵
「だから、もう言い訳はするなと言っておるだろうが!
貴様はエゾンベラ王を抹殺するために送り込まれた
チューリップ国のスパイなのだ!」

ネローダ
「チューリップ王は思いやりと愛情深い立派な王様です。
決して他国に危害をもたらすことなどありません」

憲兵
「減らず口だな!
スパイは重罪だ!覚悟しておけ」

ネローダ
「チューリップ国は日照りが続き作物が枯れ果て
村々では飢餓状態が広がっております。
至急、食料を調達しなければ多くの国民が飢え死にしてしまうのです」

憲兵
「そんなこと知るか!
貴様がチューリップ国のスパイだということは明白なのだ!
これ以上言い訳をすれば酷い目に合わせるぞ!」

ネローダ
「チューリップ王の親書もあります!」

憲兵
「うるさい!黙れ!」

ネローダはチューリップ王から約束手形も預かっていたが
憲兵に悪用されることを恐れて隠しておいた。




アプリコットはクリスマスパーティーに招待され海を隔てた隣の国に渡った。
隣の国は豊富な資源と温暖な気候で豊かな強国になっていた。

クリスマスパーティーはとても豪華で盛大なものであった。

隣の王子
「パーティーは盛大に、国民は我らのためにある!」

アプリコット
「この国は豊かなのね・・・」

隣の王子
「わが国の勢力は絶大である!」
「わが国に逆らうは破滅なのだ!」

アプリコット
「王子様はチューリップ国の人々が飢餓で苦しんでいることを
ご存知ですか?」

隣の王子
「アプリコットの国が飢餓なのか?」

アプリコット
「そうなのよ。みんなお腹を空かせて苦しんでるわ」

隣の王子
「では、チューリップ国にクリスマスプレゼントをしよう!」

アプリコット
「まぁ 嬉しい何をして下さるの?」

隣の王子
「アプリコットが喜ぶことが一番なのだ」

アプリコット
「わたしはお腹を空かしている人々に
お腹いっぱいの食事を用意したいのよ」

隣の王子
「アプリコットはいつも国民のためにと言っておる」
「国民は我らのためにあるのだ!」
「国民が我らに尽くせば、我らも国民に施しを与えるのだ」

アプリコット
「チューリップ国は小さな国だから国民はみんな貧しいのよ。
だけど、貧しくともみんな楽しく暮らしていたの。
ただ、今年は日照り続きで雨がふらないの。
作物はみんな枯れてしまったわ。
お願いします。王子様の助けが必要なの・・・・」

隣の王子
「アプリコットの願いは絶対なのだ!
クリスマスプレゼントはチューリップ国の国民に
盛大に届けられるのだ!」

アプリコット
「よかったわ 王子様お願いよ!」




ネローダがスパイ容疑で捕まっている憲兵所に
楽しく踊る、かわいい女の子が入ってきた。

憲兵
「・・・・・・・」

踊り子 スターチャ
「ネローダさんこんにちは」

ネローダ
「あっ マーガレットさん!」

憲兵
「おい お前もネローダの仲間か!」

スターチャ
「仲間というよりもお友達なのよ」

憲兵
「そうか、それなら手間が省ける
おまえも逮捕して強制収容所で酷い目に合わせてやる」

スターチャ
「憲兵さん、それは無理よ、
ネローダさんはすぐに釈放されなければならないのよ」

憲兵
「無理なもんか!
ここの決まりは俺が決めるのだ!」

スターチャ
「憲兵さん、だめよ、
ネローダさんを逮捕すればエゾンベラ王からお咎めがありますよ」

憲兵
「そんな馬鹿な!」

スターチャ
「ネローダさんのお父様は船権の筆頭船権主なのよ」

憲兵
「なんじゃそりゃ」

今の株券に相当するものが、この時代の船権であり、
船権の時価総額は船会社の成長に伴い天文学的なものになっていた。

スターチャ
「ネローダさんのお父様がお亡くなりになったため
筆頭船権主はネローダさんの家族が引き継ぐことになったのよ」

憲兵
「訳の分からんことを言うやつだ
この国のルールはエゾンベラ王が決めるのだ。
筆頭船権主だかペテン師だか知らねーが
そんな権利ははじめから存在しねーぞ」

スターチャ
「船権は全世界に及ぶ権利なのよ
だから大国といえどもその権利を剥奪することは
できないわ」

憲兵
「うるさい!
おまえも強制収容所で酷い目にあわせてやる」

スターチャ
「まー恐ろしい」

憲兵
「エゾンベラ王は偉大なのだ
全世界をエゾンベラ王が支配するのだ」

スターチャ
「でもね、そのエゾンベラ王がネローダさんを
釈放するように命令しているのよ」

憲兵
「えーーーー
それ本当なの
聞いてないよそんなの」

憲兵
「お嬢ちゃん、
おじさんが悪かった
今までのことは全部冗談なのよ
おじさん馬鹿だから頭がいかれてるのよ」

スターチャ
「王子様が隣で聞いてますよ」

憲兵
「ウソー
嘘でしょ!」