アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

赤穂事件 剣豪奥村無我

2023-01-31 12:05:46 | 漫画
     赤穂事件 剣豪奥村無我
 


 松平頼常  正室:松姫 - 酒井忠清四女
光圀は兄の頼重を差し置いて自身が水戸藩主となったことを遺憾としていたため、頼重の次男である綱條を自身の養嫡子とした。寛文4年(1664年)、頼常は頼重の養子となった。
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奥村無我
 東軍流の豪剣、多くの弟子を持ち、門人として播磨赤穂藩家老大石内蔵助、潮田又之丞。
 讃岐高松藩主松平頼常に仕官。


 東軍流(とうぐんりゅう)とは、川崎鑰之助を開祖とする剣術流派である。薙刀術、柔術、砲術、馬術、軍学も伝えていた。
 江戸時代に東軍流は全国に広まっており、篠山藩だけでなく水戸藩、古河藩、松代藩、吉田藩、赤穂藩、岡山藩、鳥取藩、高松藩、中津藩、対馬藩など多くの藩で伝えられた。

 1994年の雑誌『合気道』のインタビューによると、東軍流の柔について「ぱっとやったら腕が折れる。それが柔である。」と平井稔は答えている。
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松平頼常
「儂には、故父より与えられた使命がある」
「水戸学は実史を重んじる学問、
これは、和文・和歌などの国文学、
天文・暦学・算数・地理・神道・
古文書・考古学・兵学・書誌など多岐にわたる。
「其方には、兵学を学びたい」

奥村無我
「喜んで、お役に立ちまする」
「何なりと、申し付け下され」

松平頼常
「其方の兵法、東軍流には
東軍流儀なるものがあるのか!」

奥村無我
「流儀とあらば
水戸学に準ずる故に
実践が主なる流儀に御座います」

松平頼常
「実践の東軍流とは何ぞや」

奥村無我
「まず、流派とは、家や人に存在する、独自の方
式を持つ系統のこと」
「無我の豪剣を求めて門人が集まり、そこに師と弟子の厳格なる差別化が為されます」
「師は優れた剣術を弟子に伝授して多くの門人が我が流儀を共有するので御座る」
「この流儀継承の成立をもって、流派が為されるので御座る」
「東軍流は実践重視」
「残心を以て、敵に止めを刺す」
「たとえ、正式な決闘で勝利しても油断せず」
「隠れた敵にも対応すべく、対処する」
「勝利すれば、敗者が生まれる」
「敗者は、恨みを持ち
勝者は、狙われます」
「恨みをもった敗者は
隠れた敵となります」
「東軍流の流派は多くの門人に継承され
網の目のような監視警戒網を形成し
敗者からの反撃は撃退される」
「これこそ、東軍流兵法に御座る」

松平頼常
「大層にも思えるが
東軍流兵法に弱点は無いのかな」

奥村無我
「弱点など御座いません」
「ただ、この兵法は
使い道を誤れば大変危険で御座います」

松平頼常
「んんゥ」
「強力故、破滅的な結果を及ぼすのか・・」

奥村無我
「同意に」

松平頼常
「儂には、故父より与えられた使命がある」
「其方には、その使命を担う覚悟はあるか?」

奥村無我
「何を仰せで御座いますか」
「我が東軍流は水戸学と共にあり
実践あるのみで御座る」
「勝利以外御座いません」

松平頼常
「敗れれば、悲惨じゃぞ」

奥村無我
「我が東軍流に
敗北という言葉は御座いません」

松平頼常
「其方、
将軍綱吉が、生類憐みの令に拘る意味を知っておるか?」

奥村無我
「仁とのこと」
「疑わしき、仁で御座る」

貞享4年 6月26日
多々越甚大夫(旗本秋田季品の家臣)が、徳川家綱の命日である6月8日に、吹矢で燕を撃ち、5歳児の病気養生に食わせたため死罪。これを見ていた同僚の山本兵衛は八丈島へ流罪。
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松平頼常
「この貞享四年の出来事が
綱吉の執着の根源にある」

奥村無我
「私には何のことやら?」

松平頼常
「貞享元年
生類憐みの令に反対の立場であった大老の堀田正俊が殺された」
「そして、貞享四年の出来事を境にして
生類憐みの令への拘りが強くなり
手に負えなくなっていく」
「綱吉自身も
やり過ぎていることは分かっておるのじゃ」
「しかし、綱吉は止める事は出来ん」
「如何してか分かるか?」

奥村無我
「んんゥ」
「・・・・・」

松平頼常
「儂は、故父より教えられた」
「故父は、大老が政をすれば幕府は安泰だと考えた」
「大老酒井忠清から大老堀田正俊そして、大老井伊直興じゃ」
「しかし、今、その大老は大老格柳沢に引き継がれた
しかし、その柳沢は将軍綱吉の言いなりじゃ」
「儂は、柳沢の玄関番と罵られながら
綱吉の動向を監視していた」
「だから、綱吉の愚かな拘りの原因を知るに至ったのじゃぞ」

奥村無我
「如何なる拘りに御座る?」

松平頼常
「んんゥ」
「驚くではないぞ!」


赤穂事件 事情を知る者達

2023-01-30 10:39:11 | 漫画

       赤穂事件 事情を知る者達



藤井宗茂は3月16日に屋敷を立ち退き、鉄砲洲上屋敷近くの築地飯田町(現在の中央区築地7丁目東部あたり)に安井彦右衛門や用人石槽勘左衛門(150石役料20石)・藩大目付早川宗助(200石役料10石)らと暮らしていた。
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片岡源五右衛門(高房)
「大石殿は仇討ちはせぬと申された」
「儂は、裏切られた思いで
此処へ参った」

藤井 宗茂
「其方は、事情を承知しておるのに
仇討ちを主張するのか?」

安井 彦右衛門
「左様、主は吉良を憎んではおらぬ」
「吉良を討つのは
主の真意では御座らん」

片岡源五右衛門(高房)
「主の仇は、徳川綱吉ぢゃ!」

藤井 宗茂
「うギェエ」
「声が大きいぞ・・」

安井 彦右衛門
「畏れ多き事・・」

片岡源五右衛門(高房)
「畏れ多き事だか
恐れだか知らんが
主の仇は吉良ではない」
「綱吉ぢゃ!」

藤井 宗茂
「おおおォ・・」
「分かった、落ち着け」
「一体、赤穂で何があった?」
「興奮せずに、落ち着いて話してくれ」

安井 彦右衛門
「人に聞かれれば
我らは、囚われるぞ」 

片岡源五右衛門(高房)
「んんゥ」
「済まなかった・・」

「大石は、主の遺言を受け入れようとしないのだ」
「儂は、赤穂では蚊帳の外であった」

藤井 宗茂
「大石殿は、浅野赤穂の再興を放棄なされたのか?」

安井 彦右衛門
「大学様を立てて、浅野家の再興を果たさぬと仰せか?」

片岡源五右衛門(高房)
「いや、再興を望まれた」

藤井 宗茂
「何じゃ」
「それであれば、裏切りでは御座らん」

安井 彦右衛門
「心配させるな・・」

片岡源五右衛門(高房)
「いやいや」
「そうではない」
「大石が、
主の遺言を、蔑ろにしているのが問題なんじゃ」
「これでは、浅野赤穂の再興などありえない」

藤井 宗茂
「しかし、謀反となれば
再興もないのだぞ」
「御上に盾突く訳には参らん」

安井 彦右衛門
「左様」

片岡源五右衛門(高房)
「大石は、籠城して幕府に意地を見せると申した」
「しかし、無抵抗にして
無血開城をしたのじゃぞ」
「切腹して、幕府に抗議すると申しながら
資金の回収をして私腹を肥やしている」
「これを裏切りと呼ばす何とする!」

藤井 宗茂
「資金の回収は、私腹の為では御座らぬぞ」
「幕府に許しを乞うには、資金が必用じゃぞ」
「太傅は、賢明じゃ」

安井 彦右衛門
「左様」

片岡源五右衛門(高房)
「まさか、
其方達は、資金援助を受けておるのか?」

藤井 宗茂
「・・・・・」
「屋敷は、没収され
江戸屋敷の資産は全て奪われ
我らの扶持はなくなった」

安井 彦右衛門
「生きる為には、資金が必用じゃ」

片岡源五右衛門(高房)
「主の無念を晴らすのです」
「主は、浅野赤穂を守る為に
果し合いを演じたのでござるぞ!」
「自らを犠牲にして
浅野赤穂を守ろうと為さったのですぞ!」

藤井 宗茂
「左様じゃ」
「しかしな、沙汰は下された」
「喧嘩両成敗はなかったのじゃぞ
御上が決めた沙汰に逆らってはならぬ」
「主は、殿中で刃傷事件を起こしたのじゃ」
「場所前をわきまえる必要があったのじゃ」
「我らは、御上の沙汰に従う事しか出来ん」

安井 彦右衛門
「左様」

片岡源五右衛門(高房)
「それは、吉良が逃げる準備をしていたからじゃ」
「殿中では手出しが出来ぬと思い込み
油断したからじゃ」
「主の負けでは御座らぬ!」

藤井 宗茂
「左様」
「主の勝じゃ」
「主は、最善の策を講じて対処した」
「吉良はお館様を舐めてかかり
まんまと果し合いに嵌ったのじゃ」
「全ては、吉良の油断から生まれた」
「主は、吉良に勝ったのじゃぞ」
「もう、よいではないか」

安井 彦右衛門
「吉良も、失脚じゃ」
「痛み分けじゃ」

片岡源五右衛門(高房)
「いいえ」
「喧嘩両成敗であれば
浅野赤穂は再興される必要が御座る」
「再興なき時は、
報復せねばならぬのぢゃ!」
「もはや、赤穂城は幕府に刈り取られ
藩士は追放、資産は没収された」
「今だ再興などとほざいている場合では御座らん」
「主の無念を晴らすのじゃ!」

藤井 宗茂
「・・・・・・・」
「ちょと待て」
「無謀な事を考えるな」

安井 彦右衛門
「御上に盾突いても敵わぬぞ」

片岡源五右衛門(高房)
「吉良を討っても
我らは咎めを受ける」
「綱吉を狙っても同じ事」
「本当の仇を狙うべきぢゃぞ!」

藤井 宗茂
「声が大きい」
「もっと、小声で申せ」

安井 彦右衛門
「我らを、道連れにするな・・」

赤穂事件  蚊帳の外

2023-01-29 10:00:05 | 漫画

        赤穂事件  蚊帳の外



片岡源五右衛門(高房)
吉良への仇討ちの同志を募るため、高房は赤穂へ赴いたが、このとき赤穂藩では殉死切腹が藩士達の主流意見であったため、仇討ちの同志は集まらなかった。赤穂で同志を募ることを諦めた高房らは、大石良雄の義盟にも加わらず、開城後に江戸に戻っていった。
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片岡源五右衛門
「儂は、一人でも仇討ちに挑むぞ」

堀部安兵衛(武庸)
武庸は江戸詰の藩士・奥田重盛(武具奉行・馬廻150石)、高田郡兵衛(馬廻200石)とともに赤穂へ赴き、国許の筆頭家老・大石良雄と面会。篭城さもなくば義央への仇討を主張したが、良雄からは浅野長広による浅野家再興を優先することを諭されて、赤穂城明け渡しを見届けた後、武庸らは江戸に戻ることとなった。
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堀部安兵衛
「篭城すると思って我慢しておったが、
儂らは最後まで蚊帳の外じゃった」
「主君の浅野長矩様には忠義を尽くすが
大石殿に従う道理などあるものか!」

片岡源五右衛門
「儂は江戸に行くぞ!」

堀部安兵衛
「高田馬場の決闘で名を上げた儂ぢゃ!」
「此処まで取り立てて下さった主の仇を討たねば
後世までの笑いものになる」

片岡源五右衛門
「殉死切腹が藩士達の主流意見であったが
開城後にも殉死はない」
「儂は裏切られた思いじゃ」

堀部安兵衛
「大石殿は我らを試したのじゃ」
「最初から殉死などする気はなかったのぢゃ」

片岡源五右衛門
「其方は、もともと、
中山姓のままで養子になる事が
許されておった筈」
「中山姓に戻り
他を頼って仕官すればよい」

堀部安兵衛
「今更、何を申す!」
「儂は、赤穂浅野家家臣・堀部金丸の養子
堀部安兵衛ぢゃぞ」

片岡源五右衛門
「吉良を討てば、咎めを受けるぞ」
「止めておけ」

堀部安兵衛
「何ぢゃと!」
「お前ばかり、格好つけるんぢゃねェーや」

片岡源五右衛門
「恰好では御座らぬ」
「儂は、主の遺言を口頭で受けておる」
「しかし、大石殿は、口頭の遺言は受け付けぬと申された」
「儂は無念なのじゃ」
「せめて、主の無念を晴らしてやりたい」
「其方の忠義は分かった」
「しかし、もう義理は無い筈じゃぞ」
「遺言は、唯一、儂にだけ仰せられたのじゃぞ」
「誰も、その遺言を信じないのであれば
儂が一人で主の無念を晴らしてあげたいのじゃ」

堀部安兵衛
「何じゃ、何じゃ」
「一人で忠義振るんぢゃーねェエや!」

片岡源五右衛門
「主は、吉良殿を憎んではおりませんぞ」

堀部安兵衛
「また、嘘を付く」

片岡源五右衛門
「嘘ではない」
「遺言を受けたのは、儂一人じゃ」

堀部安兵衛
「では、何で主の仇などと申す!」

片岡源五右衛門
「主は、計画的に嵌められたのです」
「幕府に陥れられたので御座るぞ!」

堀部安兵衛
「また、それか」
「何度も嘘を付いておれば
嘘が本当に思えて来る」
「しかしな、儂にはそんな嘘は通用しないぞ」
「お前は、遺言など受けてはおらぬ」
「全てお前の戯言ぢゃ!」

片岡源五右衛門
「其方は信じてくれたではないのか」
「幕府に一泡吹かしてやると、申しておったではないのか」
「如何した?」
「何で疑う?」

堀部安兵衛
「それは、其方が逃げておるからじゃ」
「其方は、命が惜しくなったのじゃ」
「じゃから、そんな嘘を付いて
逃げようと思っておる」
「手の込んだ、命乞いじゃ」

片岡源五右衛門
「幕府は、主を命を奪い
我らを追放して、浅野家の資産を没収した」
「全は幕府の計画なんじゃぞ」
「騙されてはならぬ」

堀部安兵衛
「では、何で主は吉良を討つ必要があったのじゃ」
「主は、吉良を討ちそこなって
無念である筈ではないのか」
「何で、主が吉良を憎んでないと言い切れるのか!」

片岡源五右衛門
「何度も同じことを申しておるぞ」
「主は、吉良を討ってはおらぬ」
「主は山鹿流儀で御座るぞ」
「自ら進んで災いの火中に入る事はない」
「吉良は無傷であったのじゃ!」

堀部安兵衛
「だから、何で吉良を襲う必要があったのじゃ!」

片岡源五右衛門
「其方には言いたくない」

堀部安兵衛
「あァア」
「儂は信用為らぬと申すか!」

片岡源五右衛門
「いや」
「誤解するな」
「その理由は、微妙な事、故」
「其方には知られたくはないのじゃ」

堀部安兵衛
「どうせ、儂は外様じゃからな」
「仲間外れじゃな」

片岡源五右衛門
「危険が大きすぎるのじゃ」
「幕府の陰謀じゃぞ」
「身内にも話す訳には参らぬ」

堀部安兵衛
「ふん」
「一人で恰好付けやがって」
「儂は、忠義の義士じゃぞ」
「大きな危険があるのであれば
共に共有すればよい」
「何でも話してくれ」

片岡源五右衛門
「大石殿にも話してはおらぬ」
「順序があるのだ」

堀部安兵衛
「お前!」
「どの口が言う!」
「さっきは、大石に騙されたと申しておった」
「今度は、順序があると言う」
「儂は、情けないぞ!」
「儂を信じてくれ」
「さぁ」
「本当の事を申せ!」

片岡源五右衛門
「んんゥ・・・・・・」
「左様か・・・」
「では、申そう」
「お館様は、大奥に忍び込み
御台所様と密会為されていたのじゃ!」

堀部安兵衛
「・・・・・・・・」
「はァア」
「あっははははは」
「馬鹿を申せ!」
「戯言じゃ!」

片岡源五右衛門
「・・・・・・・・」
「やはり、申さねばよかった」

堀部安兵衛
「二度と、嘘を付くな!」
「お前の嘘は聞き飽きた!」

片岡源五右衛門
「儂は、一人でも仇討ちをする」

堀部安兵衛
「吉良を討て」

片岡源五右衛門
「主は、吉良を恨んではおりませんぞ」

堀部安兵衛
「もうよい」
「儂も江戸に行く」

赤穂事件 強い味方

2023-01-28 09:45:40 | 漫画

          赤穂事件 強い味方



将軍綱吉
「桜田上屋敷に行っておるのか?」

鷹司 信子
「近衛熙子様に、会っておりますのじょ」

将軍綱吉
「お前が行かずとも、
呼び寄せればよいではないか!」

鷹司 信子
「あら?」
「何処へ?」
「三の丸に呼びましょうか?」

将軍綱吉
「あのなぁ」
「黒書院に呼べ」
「城に居付くのは困るぞ」

鷹司 信子
「何故ですか」
「近衛熙子様は、高貴なるお方じょよ」

将軍綱吉
「儂は、あの者が怖い」

鷹司 信子
「まァア」
「貴方様は、雷も、政も、おなごも怖いのですか」
「少しは、慣れては如何でしょう」

将軍綱吉
「んん」
「慣れるのか・・」

鷹司 信子
「怖がる事など何もありませんじょよ」
「わらはに、全てを任せなさい」

将軍綱吉
「あぁあのな」
「母君の官位が遅れておる」
「何でかなァ」
「壱万両も用意した」
「京と奈良の寺社も再建を約束した」
「他に何が出来る?」

鷹司 信子
「近衛熙子様を、三の丸に呼び為され」

将軍綱吉
「えぇ」
「だから、儂は、あの者が怖いと申しておろうが」
「呼んではならぬ」

鷹司 信子
「黒書院は政の場所ですじょよ」
「三の丸が適しております」

将軍綱吉
「 いずれにしろ
居付いては為らぬ」
「しばらくだけにしておけ」

鷹司 信子
「いずれ三の丸にお迎えいたしますじょよ」
「その間に、おなごに慣れて下さいませ」

将軍綱吉
「いやいや あのな」
「おなごが怖い訳ではないぞ」
「儂はな、あの近衛熙子が怖いのじゃ」
「絶対に近づけては為らぬ」

鷹司 信子
「きっと、そうだわ」

将軍綱吉
「えェ?」
「何じゃ?」

鷹司 信子
「玉の官位が遅れている理由が分かったわ」

将軍綱吉
「おおおぉオ」
「理由は何じゃ?」

鷹司 信子
「きっと、近衛家が反対していると思うわ」

将軍綱吉
「真か?」
「何故、反対する?」

鷹司 信子
「貴方様が、
近衛熙子様を嫌っているからですじょよ」

将軍綱吉
「いやいや、そうではない」
「嫌っているのではないぞ」
「・・・」

鷹司 信子
「では」
「三の丸にお迎え下され」

将軍綱吉
「ああァ・・・」
「あのな、ちょっと待て」
「直ぐには無理じゃぞ」

鷹司 信子
「左様ですか」
「では、約束為さいませ」
「将軍は近衛熙子様を
近々、三の丸に迎える事にしたと
約束為さいませ」

将軍綱吉
「約束だけなら・・・」
「約束すれば母君の官位を貰えるのか?」

鷹司 信子
「必ず、賜わる事が出来ますじょよ」

将軍綱吉
「よし」
「約束する」
「母君の官位の為じゃ」
「辛抱しよう」

鷹司 信子
「ただし、約束を破れば官位を没収しますじょよ」

将軍綱吉
「おおォオ」
「約束は守る」
「守るぞ」

鷹司 信子
「貴方様は最近、
玉を敬遠さなっておられるようじょな」

将軍綱吉
「あぁぁ・・・」
「そんな事はないぞ・・」
「気のせいじゃ」
「気にするな・・」

鷹司 信子
「いいえ、誤魔化しても無駄です」
「玉は、貴方様に愛想を尽かしておりますじょよ」

将軍綱吉
「儂は、此処にしか居場所がないのじゃ・・」
「追い出さないでくれ・・」

鷹司 信子
「あっははは」
「情けないお方じょよ」
「でもね、安心為さいませ」
「貴方様は、わらはが守ります」
「わらはに、全て任せなさい」

将軍綱吉
「そうか・・」
「儂を追い出さぬと約束してくれ」
「儂は、此処にしか居場所がないのじゃ」
「柳沢の屋敷も居心地が悪い」
「もう、嫌じゃ」

鷹司 信子
「まあ、まあ」
「かわいい、御方じょよ」
「大奥にしか、其方の安住はないのかえ」
「情けないお方じょよ」

将軍綱吉
「そう・・・」
「なにやら、恐ろしい事が起りそうな・・」
「怖い・・・」

鷹司 信子
「大丈夫じょよ」
「わらはに全てを任せるのじょよ」

将軍綱吉
「お前は、強いおなごじゃな」

鷹司 信子
「まァア」
「わらはなど、大した事は御座いませんじょよ」
「近衛熙子様は、
わらはなどとは、比べ物に為らぬほど強いお方じょ」

将軍綱吉
「そんな強きおなごを
三の丸に入れても大丈夫なのか?」

鷹司 信子
「大丈夫じょ」
「近衛熙子様は、わらはの味方じょよ」

将軍綱吉
「おおおォオ」
「恐ろしい!」

鷹司 信子
「まァア」
「わらはに任せ為され」

赤穂事件 仁の勧め

2023-01-27 11:50:41 | 漫画

        赤穂事件 仁の勧め



将軍綱吉
「朝廷は勿体振っておるのか?」
「母君の官位はまだか?」

隆光
「急いではなりません」
「桂昌院様の
女性最高位従一位の官位に於かれましては
譲与では御座いません
一万両で買い上げる官位で御座います」
「勿体振っているのではなく
驚いてたじろいたのです」
「大金を前にして
圧倒され、しりごみをしているのでしょう」

将軍綱吉
「母君が怒っておる」
「催促せねばならぬぞ」

隆光
「では、京・奈良の寺社の再建を約束為さいませ」
「再建と引き換えにして、官位を取り急ぎ賜りたいと
申し伝えれば宜しいかと、存じ上げます」

将軍綱吉
「では、京・奈良の寺社の再建を約束する故
取り急ぎ、
官位をもらえるように手配せよ」

隆光
「では、御指南に申し伝えておきます」

将軍綱吉
「あっ」
「吉良は如何しておる?」

隆光
「吉良殿は静養なさっておられます」
「近く、隠居届が出されるかと?」

将軍綱吉
「そうか・・」
「あ奴は隠居か・・」

隆光
「吉良殿を、お救い為さいますか?」

将軍綱吉
「隠居したいのであれば
すきにすればよい」

隆光
「僧は
浅野赤穂の再興を申し受けております
浅野殿を許せば吉良殿も救われます」
「両者を許す事は
将軍様の徳の高さを示す事に御座います」

将軍綱吉
「あのなァ」
「浅野長矩は母君に選ばれたのじゃぞ」
「あ奴は、生贄じゃ」
「あ奴が、城内で刃傷沙汰を犯さぬとも
あ奴は、切腹じゃ」
「全ては、計画通りなのじゃぞ」

隆光
「桂昌院様のお怒りの原因は
嗣子殿だけでは御座いません」
「浅野長矩殿を生贄にした事を
責任転嫁なさっておられる事に御座います」

将軍綱吉
「儂の所為か」

隆光
「責任転嫁は良く御座いませぬ」

将軍綱吉
「では、如何すれば良い!」

隆光
「素直に、御謝り為さいます事が肝要と存じ上げます」

将軍綱吉
「儂は将軍じゃぞ!」
「何で謝らねば為らん!」

隆光
「将軍様は、仁に乱れが生じておられる」
「仁を正せば、自ずと道は開かれます」

将軍綱吉
「じゃからな
生類憐みの令を出しておるのじゃぞ!」
「生類を憐れむ事は、仁じゃぞ!」

隆光
「左様に御座います」

将軍綱吉
「お前が、儂の代わりに謝れ!」

隆光
「僧は、将軍様の身代わりとなって
謝罪致します」

将軍綱吉
「よし」
「これで、母君は許してくれるな」

隆光
「残念ですが、僧が謝っても解決する事は御座いません」

将軍綱吉
「お前が、謝れと申したのじゃぞ」
「戯けが!」