アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

第六章 アプリコットプリンセス クリスマスの奇跡

2014-12-25 12:02:08 | 漫画


世界は貿易の重要性に気が付き、造船業が急激に成長していた。

エゾンベラ王
「我が国は更なる強大化を進めるにあたって
造船技術を獲得しようとおもっている。

チューリップ王
「実は私の国のネローダという若者は
世界を網羅する造船業の筆頭船権主です。
今回、御大王様のご好意は
ネローダの所有する大量の船で
我が国に輸送できることになったのです」

エゾンベラ王
「いやァ 御小王殿
私も大量の物資を輸送することの
不安があったのだが
ネローダ殿が手配してくれたので
助かったのじゃよ」

チューリップ王
「御大王様の好意に甘え過ぎてしまいました」

「そろそろ帰国の準備に取り掛からねば・・・」

エゾンベラ王
「いやーァ
そうじゃったなー・・・」

「実は、そなた達をお送りする船が
一隻も残ってないのじゃよ
迂闊じゃた 済まない、済まない」

チューリップ王
「いいえ私達が帰ることよりも
より多くの食料を迅速に輸送して
頂いたことに感謝しております」

エゾンベラ王
「まーァ
船も直に帰ってくるだろうから
暫くこの国にいてもよかろーて」

こうして、チューリップ王はエゾンベラの国に
長期間足止されることになってしまった。

アプリコット
「クリスマスには皆がサンタさんになって
子供達に素敵なプレゼントをしてくれるのよ」

王子
「ねーぇ
サンタって何あに?」

アプリコット
「サンタクロースのことよ!
「サンタクロースは
白い大きな袋にクリスマスプレゼントを入れて
肩に担いでいるのよ
八頭立てのトナカイがソリを引いて、
子どもたちが寝ている間に
煙突から入ってきて
プレゼントを配るのよ」

王子
「僕にもプレゼントくれるかなァ・・・・」

アプリコット
「王子様が良い子にしていたら
サンタクロースが来ますよ!」

王子
「僕はアプリコットに喜んでほしいんだよ」

アプリコット
「わたしたは皆が楽しくしていることが
大好きなのよ
王子様は皆が幸せになれるように
願っていてくださいね」

王子
「僕はね
アプリコットと一緒に遊べることが
一番幸せなんだよ
いつまでも一緒に遊んでいたいなァ・・」

アプリコット
「クリスマスには奇跡が起こるそうよ
ロマンチックな素敵な奇跡が起こるのよ!」

王子
「奇跡って何あに?」

アプリコット
「奇跡ってね
たまたま起こる
偶然の出来事ではないのよ!
幸せの種を蒔いた時にだけ
幸せの花が咲くのよ
その幸せの花を
奇跡と呼ぶのよ!」



王子
「船がないから帰れないね♪」

アプリコット
「王様のご好意で船がたくさん必要になったのよ
しばらく帰れなくなっちゃったけど
王子様!仲良くしましょうね!」

王子
「よかった♪」

アプリコット
「まーァ 王子様!うれしそう!
楽しいクリスマスにしましょうね!」

王子
「ぼくはアプリコットがいれば
楽しいんだよ♪」

アプリコット
「私も王子様と話ができて幸せよ
でもね・・・・
お友達と会えないのが寂しいの・・・
もっと自由に羽ばたいていたいのよ!」

王子
「友達?」

アプリコット
「そう♪
お友達よ♪
世界にはたくさんのお友達がいるのよ♪

王子
「ぼくには友達がいないんだ!
なんでかなァ・・・・」

アプリコット
「私がお友達よ♪」

王子
「アプリコットは友達じゃないよーーーー
アプリコットはとくべつなとくべつな
ぼくの宝物なんだよ!」

アプリコット
「まーァ
王子様ありがとう
アプリコットは特別な宝物なのね!」

王子
「ぼくにも・・・・・
ともだちがほしいなぁ・・・・」

アプリコット
「お友達はたくさんいるわよ♪」

王子
「んー・・・・
でもね、けんかしてね
閉じ込めちゃたの・・・・」

アプリコット
「・・・・・
閉じ込めたの?
お友達を?」

王子
「そう・・・
だってね・・・
その子たち
ぼくのこときらいだって
いうんだよ・・・」

アプリコット
「まーァ
それは大変なことだわ!」

王子
「たいへんなこと?」

アプリコット
「王子様は
お友達のことが嫌いなの?」

王子
「ぼくは
ともだちがほしいんだよ・・・・」

アプリコット
「王子様はお友達に嫌われたと思ったのね!」

王子
「ぼくにはアプリコットしかいないんだ
ぼくにとって
アプリコットはとくべつなとくべつな
たからものなんだよ!」

アプリコット
「嫌よ!」

王子
「・・・・・・」

アプリコット
「私は物ではないわ!
お友達を収容所に閉じ込めて
王子様は酷いことをしたのよ!」

王子
「おこったのアプリコット?」

アプリコット
「いいえ、怒ってないわ!」

王子
「そう・・・・
アプリコットも
ぼくのことがきらいなんだ・・・・」

アプリコット
「王子様!
収容所に閉じ込めた
お友達を解放しなければ駄目よ」

王子
「だめだよ
ぼくのことがきらいな物は
閉じ込めて出てこれなくするんだ!」

アプリコット
「そぉ
それなら
私も強制収用所に入って
お友達と一緒に酷い目に合うわ!」

王子
「アプリコットは
とくべつなとくべつな
ほくのたからものなんだよ
だから
だから
いつまでも一緒に
いてほしいんだよ・・・」

アプリコット
「嫌よ!」

王子
「やっぱり・・・・
ぼくのことがきらいなんだ・・・」

アプリコット
「王子様はどちらにするか選ぶ必要があるわ
私を強制収用所に入れるか
お友達を強制収用所から出してあげるか
王子様はどちらを選ぶの?」

王子
「ぼくのことがきらいな物は
閉じ込めておかないと
後で仕返しされるんだよ
だから
だから
ともだちは出したらためなんだ!」

アプリコット
「私は仕返しなんてしないわよ!」

王子
「アプリコットは
とくべつな
とくべつな
ぼくのたからものなんだ・・・
だけど
ともだちは
駄目なんだよ・・・・」

アプリコット
「分ったわ
王子様は私を監禁したいのね!」


王子
「アプリコット!
おこらないでよ!」

アプリコット
「お友達を解放しなければ
私は強制収用所に入ります」

王子
「仕返しされないかなァ・・・?」

アプリコット
「仕返しされますよ
きっと」

王子
「・・・・・」

アプリコット
「だけど
未来は変えることが出来るわ
王子様はお友達と喧嘩して
お友達を閉じ込めてしまったのね
この過去の出来事は変えることが
出来ないけれど
お友達を出してあげて
『ごめんなさい許して下さい』という
ことは出来るわ」

王子
「あやまるの?」

アプリコット
「そうよ謝罪するのよ!」

王子
「ぼくにできるかなァ・・・」

アプリコット
「出来ますよ!
王子様のお友達を
私にも紹介してくださいね!」



チューリップ王とエゾンベラ王は暫らくの間は穏やかに話をしていたが
后の話で険悪な状況に陥っていた。

エゾンベラ王
「あいつのことは、もう忘れたのだ!」

チューリップ王
「后様は立派な方だと内外で評判ですが?」

エゾンベラ王
「そうだろーな!」

チューリップ王
「・・・・・・・」

チューリップ王は何を話せばよいか分からず
凄い形相で睨み付けているエゾンベラ王と対峙していた。

エゾンベラ王
「俺はな、クリスマスは大嫌いなんだ!」

チューリップ王
「そう言えば、沿道にはクリスマスの飾り付けがありませんな?」

エゾンベラ王
「この国の神は俺様なんじゃ
クリスマスは国民を混乱させ
如いては、この国を破滅に導くのじゃ!」

チューリップ王
「それでは、今回のクリスマス晩餐会は
私どもに考慮して頂き特別に催されたのですね」

エゾンベラ王
「まさしく、その通りじゃ!
この国ではクリスマスを祝うこと自体
禁止されておるのじゃ!今回は特別なんじゃ!」

チューリップ王
「それでは、何故、大王様はお怒りなのでしょうか?」

エゾンベラ王
「俺は酷い男なんじゃ!
今、奴はバラダッグ強制収用所に入っておるわ!」

チューリップ王
「なんと!
后様はバラダッグにお入りになったのですか?」

エゾンベラ王
「去年のクリスマスじゃった!
奴はクリスマスには奇跡が起こると風潮してな・・・」

チューリップ王
「風潮されたのですか?」

エゾンベラ王
「国民は后の言うことに歓喜して
この国はお祭り騒ぎになったのじゃ!」

チューリップ王
「奇跡が起こると言っただけで
大騒ぎにはなりますまいに?」

エゾンベラ王
「奴の奇跡は大問題なんじゃ!
奴はクリスマスにエゾンベラ王が改心して
バラダッグの囚人が開放されると風潮したのだ!」

チューリップ王
「そんな事情がお有りでしたか・・・
ところで、罪を犯した犯罪者が開放されて
国民がお祭り騒ぎになるものなのか・・・・
私には分かりませんが?」

エゾンベラ王
「バラダッグの囚人は大きな罪を犯したのじゃ
先ず、奴らはこの国の転覆を目論んだのじゃ
また、奴らはこの国の危険因子なのじゃ
だから、奴らはバラダッグに閉じ込めておく必要があるのじゃ!」

チューリップ王
「エゾンベラ国が滅ぶことを望む人々が
開放されることが風潮されると
国民が歓喜するのは不自然ですな?」

エゾンベラ王
「その通りじゃ!
だから俺様は怒りが収まらんのじゃ!
后であろうが王子であろうが
バラダッグの開放を求める者は容赦しないのだという
強烈なメッセージを国民に知らしめる必要があったのじゃ!」

チューリップ王
「なんと・・・・
お后さまは
そのような事情でバラダッグにお入りになられたのですか・・・」

エゾンベラ王
「バラダッグは入るのは容易いが、出ることは禁止されておる
奴らはバラダッグからは絶対に出ることはできんのじゃ!」



エゾンベラ王が怒りをぶちまけているころ
アプリコットは王子と一緒にクリスマスの奇跡を
計画していた。

アプリコット
「閉じ込められているお友達は悲しい思いをしているわ!」
「王子様はお友達と一緒に遊びたいでしょ!」

王子
「だけど・・・
閉じ込めている友達は
ぼくのことが嫌いなんだよ・・
ぼくもあまり好きじゃないんだ・・」

アプリコット
「クリスマスは特別な日なのよ
だから、たくさんの人達が特別なお祝いをして
神様を祝福するの♪
皆が楽しいクリスマスをお祝いすれば
王子様も楽しくなりますよ♪」

王子
「ぼくのママ王妃も同じことを言ってたよ」

アプリコット
「まーァ 王妃様ね!」
「王子様のお母様は如何なさっているの?」

王子
「パパ王さんが閉じ込めちゃったんだよ・・・・」

アプリコット
「・・・・王妃様は収容所にいらっしゃるの?・・・・」

王子
「内緒だよアプリコット
言っちゃ駄目だよ
絶対に駄目だよ」

アプリコット
「いいえ、駄目よ!それは絶対に許されないことよ!
王子様はお母様をお救いにならなければならないわ!」

王子
「ぼくは毎日悲しくて泣いていたんだ
だけど絶対に許してくれないんだよ・・・・」

アプリコット
「分かったわ!
私は収容所に入ってお母様にお会いします!」

王子
「駄目だよ
絶対に駄目なんだ・・・・」

アプリコット
「クリスマスには奇跡が起こるのよ
王子様も奇跡を信じてくださいね!」



チューリップ王がエゾンベラ国で足止めを受けている間に
ブルドクタスは赤炎兵に指示してダム建設を進め
クリスマス前に完成に漕ぎ着けていた。

ダムの完成により深刻な旱魃の心配がなくなった国民は
ブルドクタスの偉業を称え
熱狂的に革命を推し進めようと赤炎兵への志願者が殺到し
革命の機運が最高潮に高まっていた。

革命に懐疑的な人々さえもお祭り気分に流されて
革命の歌を大声で歌っていた。

♪ 私の理想はブルドクタス ♪
♪ 私の愛するブルドクタス ♪
♪ 私の希望はブルドクタス ♪ 
♪ 私の命はブルドクタス ♪
♪ 私は誰よりもブルドクタスが好きです ♪
♪ 私は誰よりもブルドクタスに忠実です ♪
♪ ああブルドクタス ♪
♪ ああブルドクタス ♪
♪ 私の愛するブルドクタス ♪



ブルドクタスが発動した超全体強制は順調に進んで
ダム建設から灌漑施設まで一気に完成させていった。

閑散士
「予想以上の成果に国民の支持は最高に高まっているが
危機的な食料事情は解決できていない
このままでは、革命勢力の士気も落ちてしまう」

間延士
「革命派の幹部だけが優遇されていると思われるとまずいぞ!
赤炎兵の不満が蓄積して暴動を引き起こすぞ!」

ブルドクタス
「心配するな!
新たな超全体強制を発動する!」

閑散士
「いよいよ、決戦か!」

間延士
「この国の政策が悪いから飢饉が起きたのだから
この国の王に責任をとらせるのだな!」

ブルドクタス
「今が好機だ!
一気に城を奪い取り、権力を移管するのだ!」

間延士
「やっと、俺達の理想国家が樹立するのだ!
この時をどんなに待ち続けてきたか!
今まで、俺達を支配していた特権階級を蹴散らして
跪かせてやる!」

閑散士
「いままで虐げられた弱い立場の労働者は
革命を歓迎してくれている。
彼らに報いるために絶対に政権を奪取しなければ
ならない!」

ブルドクタス
「今、城を力ずくで奪うことは容易い
しかし、権力を強固なものとして持続させるには
国民を嘲る敵を作っておく必要がある」

間延士
「なるほど、チューリップ王が国民を
嘲っていると風潮するんだな!
それならば、町で噂されていることを
正式な形で国民に発表すればいい!」

閑散士
「町や村ではアプリコットが贅沢三昧をして
国の財政を圧迫しているとの噂がある
また、チューリップ王は国の危機的な状態を
放置して海外に家族旅行に行っている」

ブルドクタス
「その通りだ!
俺達が力ずくで政権を取ればチューリップ王に
仕えるもの達は謀反として叛旗する口実を与えるのだ!」

閑散士
「長期安定の革命勢力による新しい政権を
作っていきましょう!」

間延士
「我々の敵がチューリップ王だと分かれば
国民の怒りの矛先は国王にむけられるからなァ
俺達は民衆の支持を受けて政権を奪えば
後々の政権安定にも繋がる訳だ!」

閑散士
「どうやら俺達にとって
最も素晴らしいクリスマスプレゼントが
間もなく到着する予感だよ。
俺達の理想国家の樹立を多くの国民と祝う日が
クリスマスなんだ!」

ブルドクタス
「さあ、新しい理想国家の樹立に乾杯しよう!
そして、大衆と共に歓喜に満ちたクリスマスを
迎えようではないか!」



その頃、アプリコットと王子は強制収用所に内緒で
忍び込んでいた。

強制収用所は暗く寒くじっとりした洞穴の中にあって
恐ろしい場所だった。

明かりが殆どなかったので辺りの様子が暫らくの間
確認できなかったが、目が暗闇に慣れてくると
人影が見えてきた。

アプリコット
「みなさんはじめまして!
わたしアプリコットです!」

人影
「・・・・・・」

王子
「はやく帰ろーよ!」

アプリコット
「なんだか、周りにいるのは
小さな子供達みたいだわ!
すごく痩せてて元気がないわ!」

王子
「あの子たちは、ぼくのことが嫌いだって言うから
閉じ込めたんだよ・・・・」

アプリコット
「この洞窟の奥の方にも、たくさんの人影が見えるわ!」

王子
「怖いよ・・・・
こんなところにいたくないよ・・・」

アプリコットは近くにしゃがんでいた女の子に
ポケットから飴玉を出して渡した。

アプリコット
「おいしいわよ!」

するとたくさんの子供達がアプリコットの近くによってきた。

アプリコットは近くに来た子供達に優しく語りかけながら
クッキーや飴を手渡していった。

アプリコット
「みなさん安心してくださいね!
わたしはチューリップ城のアプリコットプリンセスよ!
みなさんと一緒にお家に帰りましょうね!」

痩せた子供
「家は無いよ・・・・
取り上げられたんだよ・・・・」

アプリコット
「お父さんやお母さんが心配してるわよ!
一緒に行きましょ!」

痩せた子供
「みんな一緒に、ここに入れられたんだ・・・
帰る場所はないんだ・・・・」

アプリコット
「それでしたら、みんな一緒に行けばいいわ!
みんなでここから出ましょうよ!」

痩せた子供
「何度も逃げ出そうとしたけど
出口がないんだよ
みんなで探しているけど
出口が見つからないんだ!」

アプリコット
「変ね、ここへ入った場所から出れるはずよ!」

痩せた子供
「きっと落とされたんだ!
出口は高い場所にあるから登れないんだよ!」

アプリコット
「そういえば、ここに入るとき滑り落ちた感じだったわ・・・」

王子
「ねー・・・・はやくかえろーよ!」

アプリコット
「王子様!
大変よ!
私達ここから出れないわ!」

王子
「はやくお城に帰ろーよ・・・・」

アプリコット
「困ったわ・・・・・
私達も閉じ込められちゃたみたいだわ!」

アプリコットと王子は暗くて寒い洞窟に閉じ込められてしまった。

王子
「ここから出られないんだ・・・・」


ちょうど、その頃
チューリップ国では奇跡が叫ばれていた。

食料危機が深刻なチューリップ国ではブルドクタスが
クリスマスの奇跡を宣言していた。

クリスマスには奇跡が起きて全国民に
素晴らしいクリスマスプレゼントがあるだろう!

そして、奇跡が現実のものとなっていた。

エゾンベラ王が大量に運び込んだ食料や物資が
クリスマスに届いたのである。

国民はこれをブルドクタスの奇跡として称え賞賛した。

そして、クリスマスソングと共にブルドクタスの革命ソングが
声高らかに響き渡っていた。