アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

第五章 アプリコットプリンセス ドレスの女性

2014-11-27 15:24:39 | 漫画


王子はアプリコットが国に帰ってしまうのが
悲しかった。

いつまでも一緒に遊んでいたかった。

王子
「アプリコット・・・・
この国で僕のお嫁さんになってよ
お願いだから」

「今日パパ王に頼んで
大きなダイヤモンドを貰ったんだけど
これプレゼントするね」

マリー アンデレア
「今日の私はマリー アンデレアよ
マリー アンデレアは素敵な王子様と幸せになるの」

王子
「んー
マリー アンデレアなのか
アプリコットは名前が代わるんだね」

マリー アンデレア
「でもマリー アンデレアは魔法が解ければ
村の娘に戻ってしまうのよ」

王子
「僕は村の娘でもなんでもいいんだよ
アプリコットが好きなんだ」

マリー アンデレア
「私も王子様のことが大好きよ
この国の人たちも
私の国の人たちも
王様や国を支えている多くの方々も
みんな大好きなのよ」

王子
「僕はアプリコットだけが大好きなんだ
だから
僕だけのアプリコットになってよ」

マリー アンデレア
「王子様はこの世に生まれる前のことを
覚えてますか?」

王子
「生まれたときも覚えてないよ!」

マリー アンデレア
「生まれる前は皆一緒だったのよ」

「この世に生を受けてから
個が現れたの」

王子
「個ってなあに?」

マリー アンデレア
「個はね、自分というものなのよ
個は愛を学習するために
神様が与えてくださった試練なの」

王子
「試練ってなあに?」

マリー アンデレア
「王子様は転んだり
怪我をしたりしたことはありますか?」

自分が転んだり怪我をすれば痛いし
辛い思いをするでしょ

でもね、ほかの人が痛い思いをしても
王子様はいたくないでしょ」

王子
「ほかの人が痛くても関係ないよ!」

マリー アンデレア
「わたしは痛いのよ!
わたしはほかの人の痛みが感じられるの
胸が苦しくて辛いの!」

王子
「アプリコットが苦しいのか?」

マリー アンデレア
「そうよ、でもね反対に皆が幸せならば
私も幸せになれるのよ」

王子
「分かったよアプリコットが幸せになれるように
皆が幸せになれたらいいんだね!」

マリー アンデレア
「そうよ、王子様の力で
皆を幸せにしてあげてね!」

王子
「皆が幸せになったら
僕と結婚してくれる?」

マリー アンデレア
「私は王子様と一緒なのよ
そして、全ての人と
一緒なのよ」

王子
「だめだよ
僕だけのアプリコットになってよ」



マリー アンデレア
「この世の結婚は形式なのよ
この世の結婚は試練なのよ
心は一つになっても
魂は別々なの

個と個が一緒になることが
結婚ならば悲しいわ

愛のある結婚が欲しいわ!」

王子
「僕はどうしたらいいの?」

マリー アンデレア
「愛を皆に与えてください
無償の愛が多くの人たちを救います」

王子
「やだよ!
僕はアプリコットと一緒じゃなきゃ
やだよ!」

マリー アンデレア
「もしこの世で一緒になれても
魂が別々ならば不幸なのよ
魂が一緒になれば
形式は関係ないのよ
いつでも結婚できるのよ」



王子
「どうすれば魂が一緒になれるの?」

マリー アンデレア
「簡単よ
神様の愛を分かち合えばいいのよ♪」

王子
「分からないよ!」



城に出向いたアンドレアとゴーガンは
城兵の態度にあきれて
開き直っていた。

アンドレア
「城兵のやつ
首を洗って出直して来いだとよ」

ゴーガン
「やっぱりチューリップ王は
海外旅行で留守のようだな」

アンドレア
「なあァ ゴーガンさん
民衆が飢餓に苦しんでいるのに
王は俺達に山賊の世話をさせて
自らは海外へ遊びにいっとるんだよなァ」

ゴーガン
「そうとも
民衆を見方にすれば
城兵など怖くないと思うぞ」

アンドレア
「まーァ 問題は
ネローダに任せているドドンゴだなァ・・」

ゴーガン
「奴は山賊だから
野放しにしておいては危険だと言って
座敷牢に閉じ込めておけば
どうだろうか?」

アンドレア
「さすが!ゴーガンさんだ
町の者たちも山賊を野放しにすることには
反対だろうからなァ」

ゴーガン
「それから
チューリップ王が帰ってくる前に
自警団を使って城兵をやっつけて
やるのだ!」

アンドレア
「ほ・・・本気なのか!」

ゴーガン
「冗談だよ心配するな!」

アンドレア
「でもなァ・・自警団は俺達の見方だから
城兵なんか怖くないんだけどなァ!」

二人が調子に乗って喋っている隣で
不審な人物が話を聞いていた。

不審な人物
「おい お前ら物騒な話をしとるのォー」

アンドレア
「ひィーーー」

ゴーガン
「!」

不審な人物
「おいおい 肝っ玉が小さいのー
びっくりせんでもええぞ」

アンドレア
「いきなり大きな声を出すから
驚くではないかァ」

ゴーガン
「今、この国が危険な状態なのに
ここの王様は海外に家族旅行なんだよ
これは本当のことなのだ
物騒な話ではないのだよ」

不審な人物
「話は聞いたぞ
自警団を使って革命を起こそうとしとるのだろ」

アンドレア
「・・・・
何が言いたいのだ!」

ゴーガン
「あれは冗談だよ 冗談」

不審な人物
「いや
そんなに警戒しなくてもいいんだ
俺はお前達に協力したいのだ
力になるぜ!」

ゴーガン
「だから
冗談だと言ってるだろ
俺はこの町の有力者なんだ
自警団は俺の指示で動き
この町の治安を守るのだよ
革命など起こるはずがないのだよ」

不審な人物
「いや
いきなり話に割り込んで
すまなかった
警戒するのは当たり前だ
革命を成功させるには
秘密厳守だからな」

ゴーガン
「だから
冗談なんだと言ってるだろ」

「この国では冗談も言えないのか!」

アンドレア
「ゴーガンさんの仰るとおり」

ゴーガン
「アンドレアさんナイスカバーね
だはははは」

アンドレア
「にひひひ」



チューリップ国では混乱と飢餓が蔓延していた。

そして、この恐ろしい状況から民衆を救おうとする口実で
革命勢力が力を付けてきたのだ。

アンドレアとゴーガンの話を聞いていた不審人物の名は
ブルドクタスといって元城兵であった。

革命勢力は亡命者や退役兵、犯罪者などを取り込んで
チューリップ国の転覆を目論んでいた。


ブルドクタス
「町で面白い話を聞いた」

閑散士(中央)
「あァ 俺も聞いたぞ!」

間延士(右端)
「どうやら噂は本当のようだな!」

ブルドクタス
「俺達のような日陰者にも活躍の場が
訪れたようだ」

間延士
「なんだと!
俺は自分を日陰者だとは思ってねーぞ」

閑散士
「まーァ
俺達は生まれが違うからな 
しょうがねーわ
まーァ
この国で生きていけるのは
ブルドクタスのお陰だよ
感謝しとる」

ブルドクタス
「俺も日陰者だとは思いたくねーよ
だからやってやるんだ」

閑散士
「ところで
軍資金のめどはついたのか?」

間延士
「ネローダというやつが
持っとるらしいぜ」

ブルドクタス
「そのネローダのことだが
どうやら自警団に拘束されているようだ
座敷牢に入れられているらしい」

間延士
「へー
ネローダも相当の悪なんだ」

閑散士
「自警団が軍資金を確保しているとすれば
アンドレアとゴーガンを利用する
必要があるぞ」

ブルドクタス
「それなら問題ねーよ
奴らの弱みは握っとる
奴らは城兵を恐れて
保身のために自警団を使おうとしとる」

閑散士
「なるほど
奴らを利用して自警団を動かせそうだ」

間延士
「俺は自警団なんぞ必要ねーな
同志で実行すればえー」

ブルドクタス
「仲間は多いにこしたことはない
自警団が使えるかどうかは
別問題だ」



閑散士と間延士は理想国家の樹立を求めて
立ち上がろうとしていた。

ズンダ婆さん
「おめーら
見かけん面しとるけーど
どこの者じゃ?」

閑散士
「俺達は理想の国づくりのために
日の出国からやって来たのです。

間延士
「まー悪く言えば国を追われて
亡命してきたんだがね!」

ズンダ婆さん
「ほんなら
おめー達は、お国で悪りー事でもして
チューリップ国に逃げてきたんじゃな!」

閑散士
「やだなーァ
間延士が変なことを言うから
俺達は悪人扱いだよ・・・」

間延士
「俺達はなにも悪い事などはしていないさ
だだ日の出国の社会思想と
我々が求めている理想国家の
ありかたが違っていたんだ」

ズンダ婆さん
「ふへーぇぇー
理想国家を求めて
チューリップ国に亡命してきたのかぇ
この国は食い物のねー
哀れな貧乏国家じゃ
おめーらが欲しがっとるよーなもなーァ
何もねーがょ」

閑散士
「ねぇ おばあさん
おかしいとは思わないかい?」

「村の者は懸命に農作業をして
食べ物を作っているのに
皆飢えているが
食べ物を作っていない
お偉方達は裕福に暮らしとる
変だとは思わんか?」

ズンダ婆さん
「ほーォ
おめーらちったー
わかっとるじゃーねーの」

「まーァ
アンドレアやゴーガンは別格の
あほんだらじゃけどなー
飢えとらんわなぁ
ほんまじゃなぁ・・」

閑散士
「俺達は皆が平等に裕福に暮らせるような
理想国家をつくるためにやって来たのです。

ズンダ婆さん
「ほんじーぁ
日の出国は貧しくて
平等じぁねーのかのーォ」

閑散士
「日の出国は豊かで
平等な国ですよ
ただ資本主義が気に入らないのです」

ズンダ婆さん
「ほーォ
豊かで平等なら文句はねーじゃろーが
おめーらの言っとるこたーァ
訳ゃー分からんわ」

閑散士
「俺達は一生懸命に働く人たちの為の
国をつくろうとしているのです」

「一部の特権階級が利権をもって
社会をつくるのではなくて
皆が平等に働いて
皆が平等に社会恩恵を受けれる
共同国家をつくりたいのです」

ズンダ婆さん
「おめー達は自惚れとるのーォ
自分の理想を皆に強制しよーとしとるがな
おめー達の言う理想というもなぁ
誰が決めるのかのーォ
まさか!
おめー達が決めるんかァ?」

間延士
「なんだと貴様!」

ズンダ婆さん
「でけー声出さんでもえー
おらーは耳は良ー聞こえるけーのーォ」

閑散士
「確かにお婆さんの言う通りだ
俺達は自惚れていたのかも知れんわ
なァ 間延士」

間延士
「おいおい
婆さんに言い包められていては
革命は成功せんぞ!
この事があかるみに出たら
お前は粛清を受けることになるぞ!
俺は知らんぞ 閑散士君」

閑散士
「内部告発は頻繁だからな!
身を引き締めて
革命戦士として
戦っていかねばならない
わかっとるよ 間延士君」



閑散士と間延士は村の若者を自分達のアジトに
招き入れた。

閑散士
「俺達は貧困や差別が無い理想国家の
樹立を目指して活動している」

「活動拠点は随所に点在しており
大きな組織に成長している」

「君達は農村で一生懸命働いているが
それに相当する利益を得ていないのだ!」

「利益は一部の特権階級に集約し
国の統治機能は村人の暮らしを犠牲にして
豊かな者たちを優遇しているのだ!」

「君達は我々と一緒に戦うか
国の犠牲になって従うか
どちらかを選ばなければならない」

村の若者
「俺は誰の犠牲になるのもやだな!」

間延士
「我々は強い結束で団結している
だから裏切りや組織の規約に反する行為には
厳しい処罰が科せられることになる
さらに、革命を成功に導くために
互いに監視する内部告発制を導入しているのだ」

閑散士
「まァ
難しく考えなくても我々の指示に従って
行動すればなんの心配もないよ

ここには豊富な資金と食料、資材や武器が揃っている
君達は我々の命令で任務を実行すれはよい

村にいたのでは家族揃って飢え死にするぞ
ここにいれば食べることも家族の暮らしも
まとめて面倒を見ることができる」

村の若者
「俺はここで一緒に活動したい!」

閑散士
「そうか、皆、我々と一緒に戦ってくれるのだな!」

間延士
「よし、赤炎兵の結成を祝って乾杯するか!」

この物語はフィクションです。
登場人物も物語設定も架空のものです。




ネローダは赤炎兵の召集を受けて尋問されることになった。

間延士
「お前がネローダか!」

ネローダ
「はいそうです。
私は今、山賊のドドンゴとお母さんの三人で
自宅に設置された座敷牢に入れられています」

閑散士
「君は何故強情をはるのですか?」

ネローダ
「・・・・
私が強情なのですか?」

間延士
「まーァ
君が頑固なのは分かるが
我々はのんびりとお前に
付き合う訳にはいかんのだ」

ネローダ
「・・・・・」

閑散士
「我々は全ての者達に
平等を与えるという
理想国家を目指している」

「ただし、平等は全て者達の
対等な努力の結果であるから
怠け者や金持ちは自己批判をして
我々の偉大な革命を理解することから
始めなければならないのです」

間延士
「お前は莫大な金を汚い方法で
手にしたのだ!
先ずは、その汚い金を浄化する
必要がある」

「それから
お前は村の者が飢えているときに
食料を独り占めしていたのだ!
これは平等の精神に反している
お前も飢えの苦しみが必要なのだ!」

ネローダ
「私の父親は人の二倍働くことを
有言実行してきました」

「父親は無理な労働がたたって
病を患い亡くなってしまったのです」

閑散士
「貴方の父親が残した遺産は
膨大なものです」

「人の二倍働いたとしても
簡単に稼げる金額ではありませんよ」

ネローダ
「父親は貿易の重要性にいち早く気づいて
初期投資をしていたのです」

間延士
「そうだ!分かってるではないか!
お前の父親は人を働かせて
全てを奪ったのだ!」

「その奪った金はお前個人の物では無いのだ!」

ネローダ
「父親は貿易をするための船を建造する資金を
捻出していたのです」

間延士
「わからん奴だな!
お前の父親が船を造ったのでは無いのだ!」

「先ずは自己批判の前に父親の搾取を認めて
弾劾を受けることになるぞ!」

ネローダ
「弾劾ですか?」

閑散士
「貴方は王から特別な計らいを受けているから
弾劾になるのです」

間延士
「閑散士君!
こんな奴に丁寧な言葉を使うな!」
こんな奴を甘やかすと
資本主義が蔓延して平等が脅かされるのだ!」

閑散士
「間延士君! 分かっているとも!
ネローダ!
貴様は貧しい人々を苦しめた
極悪人なのだ!
この場で父親を批判して
罪を認めよ!」

ネローダ
「父親を批判する理由が分かりません!」

間延士
「閑散士君!
よく分かっただろ
こいつは強欲張りの極悪人なんだ!」

ネローダ
「私は村の惨状を救うために
隣の国に行って食料を確保しようとしたのです」

「資金は、この国から支給されましたが
約束手形で交渉に臨んだのです」

間延士
「なんだと!
聞いたか閑散士君
こいつは我々の国の状況を
隣の国に漏らしていたのだ!」

「この国は理想国家であるから
他の国の干渉は受けないのである!」

「こいつは、我々の理想国家の秘密事項を
海外に売り飛ばしたのだ!」

ネローダ
「私はチューリップ王の使いとして
飢餓に苦しむ国民を救うために
交渉にあたったのです」

間延士
「ふざけた事を言うな!
こいつは、相当頑固な奴だ!
我々には時間が無い
しかし、お前の頑固な態度にめげる
ことも有り得ないのだ!」

「いいか!」

「お前が罪を認めない限り
お前達の食べるものは制限される」

「お前が罪を認めない限り
お前達への尋問は続くことになる」

「お前が罪を認めない限り
お前の扱いは厳しさを増していくのだ」

閑散士
「早く自己批判をして
罪を認めなさい」



ブルドクタスは赤炎兵の規律に反して
お気に入りの女性を引き入れていた。

間延士
「あの女は何だ!」

閑散士
「ブルドクタスが酒場で見つけた女だよ」

間延士
「しかし、あの女は革命の支障になるぞ!」

閑散士
「確かに、他の革命戦士が影響を受ければ
大変なことになる」

間延士
「ブルドクタスをたしなめたのか?」

閑散士
「んー・・・・・
彼が言うには
彼女は我々の良き理解者だと言っている」

間延士
「そんなことは如何でもいいことだ」

閑散士
「今は長い髪とドレスを着ているが
髪を短く束ねて作業着を着て
行動をともにするらしい」

間延士
「俺が行って怒ってやろーか?」

閑散士
「怒ろうがなだめようが駄目だよ」

間延士
「しかし、困ったことになった・・・・
あの女がここに近づかないように
注意する必要があるぞ」


間延士
「ところで
ブルドクタスが発動した超全体強制は
如何なっているんだ?」

閑散士
「あァ・・・そうだったな
資本主義に対抗する超全体強制だよなァ・・」

「先ず、灌漑施設を整備することになる
一番肝心で先決にする事として
農業用水を溜めておくダムの建設がある」

間延士
「ほーぉ・・・・
俺達がダムを造るのか?」

閑散士
「ほーぉって何だよ!」

間延士
「ダムを皆で力を合わせて造るのかァ?」

閑散士
「ブルドクタスは皆でやれば出来ると
言っている」

間延士
「そうだよなァ
旱魃はダムがあれば防げるもんなァ・・・」

閑散士
「この超全体強制が成功すれば
この国の国民は救われるのだよ」

間延士
「そうだよなァ・・・・
よっしゃーー
国民総動員でダム建設だぁーー!」