Apu の All That I Am

公開備忘録のような投稿です。もしご興味をお持ち頂けましたら、PC版でご覧下さいますと嬉しいです!

ソナム・チェリンの臨終

2011年09月24日 | チベット 死者の書
師僧 : 「この人はポアの修行をしていたかな?」

家族 : 「いいえ、商売が忙しかったもので…」

師僧 : 「ならばポアで解脱させるのは難しい。バルドの教えで救うしかないな。」



師僧 : 「(泣いている家族を諭して)泣く事は何の役にも立たない。ただ死にゆく者の意識を混乱させるだけです。大切な事はソナム・チェリンの心を静かで平和にしてあげる事です。まず、この涅槃像のように身体の右側が下になるように横たえてあげてください。そうすれば身体の中の気の流れ「ルン」を落ち着かせることが出来るです。」



小僧 : 「先生(師僧)によれば人は死んでも耳の働きは最後まで残っています。死に行く人はその耳でバルドの教えを聞くことができるのです。」



師僧 : 「ソナム・チェリンよ、良くお聞きなさい。ソナム・チェリンよ、良くお聞きなさい。」

師僧 : 「ソナム・チェリンよ、良くお聞きなさい。決して不安に思うことはない。これからあなたの感覚は少しずつ失われていくのです。身体を作っていた物質が元の元素に戻っていくのです。あなたは重いものに押しつぶされていくように感じていくのです。」



師僧 : 「もうすぐ、あの時が来る…」

小僧 : 「(読経をして)いまぞ その時が来た 汝自身を悟る時が!」



小僧 : 「(視聴者に向けて)死の瞬間こそが、人生でもっとも大切な時とバルド・トゥドルには書いてあります。死とは私たち人間にとって悟りを得る最大のチャンスなのです。」



バルド・トゥドルの声 : 「死は悲しみのときではない。大いなる解放のときである。死後のバルドの体験を通して、未熟だった者も純粋な生命そのものに出会うことが出来るのだ。だから、死はすべてを奪うものではなく、汝自身に本当の豊かさを与えてくれるチャンスなのだ。」





※出典 … 1993年 NHKスペシャル「チベット死者の書」 第2回 死と再生の49日 脚本/中沢新一




 
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