投資家の目線

投資家の目線153(Jパワー株買増中止命令、ブルドッグソース株)

 政府がTCIに対し、Jパワー株買い増し中止命令を出した。その中に気になる項目があった。TCIの提案にROEやROAの経営指標目標値の具体的な実現方法が明確ではないというのだ。しかし、ROEやROAの目標値をどうやってクリアするのかは本来経営陣の仕事だ。そうでなければ、株主は報酬を支払って経営してもらう意味がない。数値目標が非現実的ならともかく、目標が達成できなければ内容を吟味し、納得がいかなければ経営陣を取り替えることが株主の仕事である。

参照:経済産業省HP「電源開発(株)に対するTCIの投資に係る外為法に基づく中止命令について」【別添1】TCIファンドに対する命令について

http://www.meti.go.jp/press/20080513001/03_01.pdf


 TCIは英国が本拠地だ。英国企業が日本の公の秩序に維持を妨げるおそれがあるということは、同盟国ではないにしても、英国が日本の公の秩序に維持を妨げるおそれがあると政府は考えているのだろうか?

 さらに5月15日に、「日本経済や資本市場の長期的成長に企業統治改善が不可欠」として、欧米機関投資家が提言したそうだ。その投資家の中には年金基金もある。年金基金の意見を聞きリターンが改善できれば、経済厚生が向上して社会的には望ましい。

http://news.livedoor.com/article/detail/3640188/



 また、しばらく前のことだが、3月末でスティール・パートナーズがブルドッグソース株をすべて売却していた。なお、同ファンドは明星食品とともに日清食品株にも購入していた。明星食品は日清食品の傘下となり業界再編の一歩となった。
 スティール・パートナーズはブルドッグソースとともにキッコーマン株にも投資していた。明星食品と日清食品との関係から考えると、スティール・パートナーズはブルドックソースをキッコーマンに購入してほしかったのではないだろうか。しかし、キッコーマンの茂木会長のソース事業関心なしとの発言が伝えられた(2007/6/6産経新聞)。業界再編に寄与しないため、スティール・パートナーズはブルドッグソースとともにキッコーマン株を売却したように思う。
 最近の資源価格高により、食品業界は商品価格の値上げが報道されている。ソース業界は対応できているのであろうか?

 5月12日の日本経済新聞の法務インサイドには、ブルドッグソース事件での、明星食品の永野社長の陳述書の内容が一部掲載されていた。そこには 「『役員の派遣を拒めば株主代表訴訟やTOBのほか会社売却、分割売却等々の選択肢がある』と極めて強い圧力を掛けてきた」「繰り返し執拗(しつよう)にMBOを持ちかけられた」「『MBOを受けなければTOBを掛ける』と、業務上の目的もなく不当な圧力をかけた」、「事業への知識や関心が薄い投資家に付け入られた、という苦渋や反感がにじむ。」そうだ。
 同業他社に比べて低いROEやROAしか稼ぎ出せなかった低レベルの経営者がこの言い草とは・・・。そんな経営者のいる企業の商品では購入する気も失せるというものだ。
----------------------------------------------------------------------
・5月15日のBloombergの記事で、『国会でアイヌ民族を先住民族として認めるという動きをめぐり、官房長官談話などを出すという報道があるが:「国会の動きは承知しているが、今、それに対して政府としてどうするかは決めていない」』とあった。海外の少数民族問題には敏感だが、自国のこととなるとなかなか難しいようで・・・。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「M&A」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事